CINRA
|
マイページ「応募履歴」機能追加のお知らせ 詳しくはこちら

チームワークで勝っていく。体験をデザインする会社・右脳事件が語る、これからのコンテンツ制作とチーム力

右脳事件株式会社

右脳事件株式会社

2021年「映像制作の会社から、体験コンテンツ全体のEXPERIENCE Designを担う会社へ」という新たなビジョンを打ち立てた右脳事件。これまでの映像制作の枠組みを超え、「ターゲットの体験をつくる」という方向へシフトし、3年の月日が経った。クライアントへの浸透も進み、現在は映像以外の案件を手がけるケースが増えてきたという。

実際に右脳事件のメンバーは、どのような変化を感じているのだろうか。話をうかがうのは、プロデューサー兼プランナーの森永悠仁さん、スペースデザインの案件を担うプロデューサー兼空間デザイナーの伊藤祐樹さん、そしてディレクターの厚味潤弥さんの3名。案件獲得のための取り組み、仕事内容ややりがいの広がり、これからのコンテンツ制作について語られるなかで、メンバーのしなやかなマインドと右脳事件のチーム力が見えてきた。

  • 取材:宇治田エリ
  • テキスト:宇治田エリ、吉田薫
  • 撮影:鈴木渉
  • 編集:吉田薫、廣田一馬

「忘れられない体験」をデザインする。新しいチャレンジへのマインドとは

―2021年に「映像制作の会社から、ターゲットの体験すべてをデザインするEXPERIENCE Designを担う会社へ」というビジョンを打ち立てた右脳事件。なぜ映像から、さらに広い領域へと事業を広げるという方針を設定されたのでしょうか?

森永:当時、YouTubeやTikTok、トレインチャンネルやデジタルサイネージなど、映像が流れるメディアや場所が多様化したことで、映像制作のニーズは急増していました。市場が急成長したことで、私たち右脳事件もたくさんの仕事の依頼をいただけていました。一方で、そのようなバブルとも言える時期が終わったあと、AIやテクノロジーの進化が一層進んでいく未来、いかにこの業界で生き残っていくかということも考える必要がありました。そこで、「体験」の領域に踏み出していくことを決断したんです。

プロデューサー / プランナーの森永悠仁さん。武蔵野美術大学 映像学科を優秀賞で卒業。株式会社アマナに入社しテレビCMの現場で制作の経験したのち、右脳事件に参加。自ら企画立案やプレゼンテーションを手がけ、制作進行まで行なう

―それが、現在行なっているEXPERIENCE Designにつながるのですね。

森永:そうですね。たとえば、昨日テレビで流れていたCMや今朝見たトレインチャンネルの映像を、みなさんはどれだけ覚えているでしょうか? 日々、大量の映像コンテンツがつくられ、それが瞬間的・刹那的に消費されている現代において、ただどこかに映像をアップロードしたり、広告配信したりするだけでは、ほとんどの映像が忘れられていってしまう。

一方で、自分で体験して得た感動は記憶への定着率が非常に高く、結果的に広告効果やブランディング効果も高くなります。だからこそ、我々は、その映像がどこでターゲットと触れるべきか、その映像をご覧になる人はどういう体験をするべきか、そしてそこからどういう行動を起こすだろうか、というところも含めてデザインするということをやっていこうと考えたのです。

右脳事件が掲げる体験デザインのラインナップ。従来の映像制作を行なう「FRAME Design」、イベントや展示、ステージパフォーマンスなどの空間演出や設計を行なう「SPACE Design」、メタバースやXRを活用する「VIRTUAL Design」、複合領域にまたがった演出クリエイティブを実施する「COMPOSIT Design」、そして企画の上流から携わり、ブランディングの観点から中長期的にコンテンツの制作をする「CONSULTATION Design」という5つのデザインフィールドで活動している

ー新しい方針を打ち出してから3年、順調に案件の幅が広がっているそうですね。会社として新しいことへのチャレンジは大変なことも多かったと思うのですが、皆さん戸惑いなどはなかったですか?

森永:正直、プロデューサーはそこまで負担はないと思っていて。課題と目的は見えているので、これまでとやることは大きく変わらないですね。でも、ディレクターやデザイナーなど、つくり手たちは大変だろうと思います。だからこそ、チャレンジングな案件でも2つ返事で「やりたい!」って言ってくれる厚味くんとかは、本当に気持ちいいな、ありがたいなって思いながら一緒にプロジェクトに取り組んでいますね。

厚味:でもそれは、新領域に限った話ではないかもしれないです。いつもそのスタンスでいます。

森永:気持ちいい人なんですよ(笑)。

ディレクターの厚味潤弥さん。愛知県生まれ。上京後専門学校で美術を学ぶなか、映像表現の魅力に惹かれていき右脳事件へ参加

ー素敵ですね。厚味さんはディレクターという制作を統括する立場ですが、新規領域に取り組む際、心がけていることはありますか?

厚味:新しい領域にチャレンジする案件は、進行の仕方もいままでとは少し違います。なので、社内外問わずチームとして一緒に進めていくパートナーとはより親切なコミュニケーションを意識しています。

「これがあれば誰でもわかってもらえるかな」ぐらいにはしようとしていますね。まだ共通言語がない中での制作なので、よりお互いがやりやすくなったらいいなと。

森永:ホスピタリティがすごいですよね。

空間デザイナーがジョインしたことで、制作領域と仕事の面白さが広がった

―伊藤さんは、前職でも空間デザイナーとして仕事をされていたとうかがいました。なぜ右脳事件への入社を決めたのですか?

伊藤:空間デザインといってもいろいろなジャンルがあって、僕の場合、前職では物販店舗やショールーム、アミューズメント施設などの空間デザインを多く手がけていました。そんななか、映像のニーズが高まってきていることを肌で感じていて、「空間における映像の可能性を探りたい」という思いから、転職活動を始めたんです。右脳事件で面接したとき、「これから新しいビジョンを掲げてやっていく」という話を聞いて、これまで自分がやってきたことと、これから自分がやっていきたいことが、右脳事件ならうまく結びつくんじゃないかと感じて、ここでチャレンジしたいと入社を決めました。

プロデューサー / 空間デザイナーの伊藤祐樹さん。大学では建築を学び、卒業後は空間デザイナーとして、店舗 / ショールーム / オフィス / 博物館 / アミューズメント施設など、多岐にわたる内装設計を行っていたほか、マッピングやインタラクティブを使ったデジタルコンテンツの演出も手がける。その後、「空間における映像の可能性」を見いだすために、右脳事件に参加。

ー実際に求めていたチャレンジができた案件や経験はありますか?

伊藤:いま進めている案件で、商業施設の一角にオープンする、ショールームの空間デザイン / コンテンツ制作です。映像はもちろん、ファミリー層をターゲットにしているため子どもも楽しめるようなギミックのコンテンツを、ディレクターとアイディアを出しあいながら進めています。

右脳事件では、空間デザインのスキルを活かしつつ、空間で見せるコンテンツづくりまで映像を絡めながらトータルでやりたかったんですけど、まさにその実現に向けて楽しんでいるところです。

前職だと、無意識にある制約のなかで実現しうるアイデアを出しがちだったんです。でも右脳事件だと、複数人のディレクターが一緒にアイデアを考えてくれている中で、いい意味で何にも囚われていないというか。「それはできないだろう」みたいなことを気にせず自由にアイデアを話してくれるので、そこから生まれてくる企画がとても新鮮で面白いです。

森永:伊藤さんが入社してからは、「空間も制作できます」ということを積極的にアピールできるようになりましたね。右脳事件では、企画からご依頼いただくことが多いので、「YouTubeでこういう動画を流しましょう」と映像単体で提案するのではなく、「こういうイベントも一緒に実施したらどうでしょうか」と提案したり、動画を制作したあとの展開や戦略も含めて一緒に提案したりすることで、フィールドを広げられています。

ー伊藤さんのご入社や新しい方針への転換で案件の幅が広がった分、やりがいにも変化があったのではと思うのですがいかがですか?

森永:もちろん変化はありましたね。右脳事件全体のソリューションが増えていっているということもあるし、個人としても新しい経験やスキルが身につくことで幅広い提案力がついてきたのかなと思っています。自分が活躍できるとやっぱり嬉しいじゃないですか。

あとは、個人的には繰り返しの仕事だとどうしても飽きてくるので、どんどん新しいものに挑戦していける環境は、仕事の面白さにつながっていると思いました。

厚味:わかります。自分もトライする領域が増えたこと自体がやりがいにつながっていますし、「自分のできることが増えていっている」ということが感じられることも嬉しいですね。

『CONTENT TOKYO』出展で感じた「体験」を生み出すことへの手応え

―ここまでEXPERIENCE Designやそれを実現する体制についておうかがいしてきましたが、実際の制作物についてもお話を聞かせてください。右脳事件は2年連続で『CONTENT TOKYO』に出展しています。ブースは、まさに右脳事件のEXPERIENCE Designを体現するような内容だと思いました。

伊藤:『CONTENT TOKYO』への出展は、僕とバディを組んでいるプロデューサーと一緒に「新規のSPACE Design案件を増やしていくためには、もっと認知が必要だ」とイベント出展を社内に提案し、決まりました。

―社員からの提案なんですね。

森永:そうですね。出展決定後は、伊藤と僕も実行委員の一員としてプロジェクトを担当することになって。営業戦略の観点からステートメントを整理したり、コンテンツの企画を考えたりして、展示制作に関わる社内メンバーとコミュニケーションを取りながら進行していきました。

伊藤:2023年はブース中央に設置されているボックスが目玉コンテンツです。来場者の方自らそのボックスに頭を入れてもらう仕掛けを施したのですが、外から見たときにその光景がアイキャッチになり、「人が人を呼ぶ」コンテンツとなるよう意識しました。展示会はどうしても説明的なテキストが多くなりがちなので、映像とコピー、会社のロゴがクリアに見える空間にすることで、他のブースとの差別化を図りました。また、「企画演出ができる」という我々の強みがパッと見てわかるよう、アイデアを連想させるアイテムでもある付箋をモチーフとして使いました。

2023年の『CONTENT TOKYO』展示ブース。白を基調とした空間には、右脳事件の会社ロゴと、通路側の壁にはエクスペリエンスデザインEXPERIENCE Designのステートメントも書かれている。展示ブースの中には、右脳事件のロゴを使ったアニメーションが流れているキューブ状のモニター、突き当たりの壁には大きなモニターを設置。

ー2024年は、壁がほとんどなく、青い単管パイプと蛍光灯で構成された空間で、前年度とは異なるインパクトがありますね。

伊藤:空間は、昨年とはガラリと印象を変えて、単管パイプを使い、壁をつくらずに空間を仕切ることで、昨年以上に「人が人を呼ぶブース」にしようと考えました。

森永:昨年の展示では、「体験をデザイン」することをお客様に体感していただき記憶に残していただくことはできましたが、いざ自社の施策にどう使えるかという観点ではあんまりピンとこない方が多かったのか、短期的には想定よりも案件化する数が少ないという課題がありました。それを解決するためにも、2024年は「映像をアップデートする」というわかりやすいテーマを設定し、僕たちの強みである映像を武器に、映像を体験するバリエーションを提案していくことにしたんです。

2024年『CONTENT TOKYO』の出展ブース。青い単管パイプとライン照明が印象的な躯体のなかに、映像が並ぶ

厚味:バリエーションが必要だったこともあり、今年は企画段階からディレクターも積極的にプロジェクトに入り、アイデアを出し合ってかたちにしていきました。

ー社員のみなさんで自社コンテンツをつくるのは楽しそうですね。

厚味:会社の理念が「Take FUN,Make FUN」ということもあり、自分たちがまず楽しむことを大切にしています。アイデアを提案するときは、制約をあまり気にせず自分たちがやりたいことを発信していました。実際に採用されるかどうかは別として、提案するのは自由なので(笑)。自社企画だからこそ自由に意見をぶつけ合って、みんなで話し合う。その過程もとても楽しかったですね。

「チームワークで勝っていきたい」。右脳事件でチーム力が育つ理由

―ここまでお話しを聞いてきて、右脳事件はみんなで協力しながらつくることをとても大切にされていらっしゃるな、と思いました。

森永:そうですね。ものづくりの側面でいうと、右脳事件には、「名前を聞けば誰でも知っている」みたいな超有名クリエイターはいません。でも、そのクリエイターに勝ちうる術としてチームワークを活かすべきじゃないかなと思っていまして。「超有名クリエーターと僕」だったら当然敵わないと思うんですけど、「超有名クリエイターと右脳事件」だったら、右脳事件を選ぶ人もいると思っています。個々の力で戦ってくっていうよりは、チームとしてものづくりをして、いいもの / いいサービスを提供することで勝っていける、勝っていきたいと思っています。

森永:僕らがイメージするチームワークはトップダウンでプロジェクトが動いていく感じではなくて、フラットな関係で意見が言いあえるとか、上下関係なくお互い協力し合いながらやっていくのがチームワークだと思っています。なので「こうなっていたほうがあの人が助かるだろうな」みたいなことをお互い想像しながら、ホスピタリティを発揮することは大切にしていますね。

厚味:いろんなことを言いやすい雰囲気や、自由に自分の意見を言える機会がちゃんとありますよね。あと、新しい考えや方法を柔軟に取り入れていく風土もある。例えば、プロジェクトを推進していくとき、役割として一人ひとりに責任の範囲が設けられているけど、職種によって何かが制限されているわけではなくて、僕らディレクターもプランニングや進行についても自由に意見を言います。

伊藤:わかります。僕は案件に取り組んでいるとき、1人になることがないなって思いますね。いろいろな人が関わるタイミングが多くて、気がつくと最終的にはすごく多くのメンバーが関わってくれているってことがよくあります。

―お互いを思いやるところからチーム力が育まれているのですね。では最後に、これからの右脳事件に求められる、空間デザイナー、ディレクター像について教えてください。

森永:自分のやりたいことと右脳事件がやろうとしていることを、掛け算的に考えていける人がいいですね。そのためには、柔軟に多くのことを取り入れて、チャレンジする姿勢が必要だと思っていて。もともとあるスキルを武器にしながら、新たなスキルや考え方を柔軟に取り込み、チームワークを発揮していける人が理想ですね。

伊藤:そうですね。右脳事件のメンバーはポジションの垣根がなく、プランナーだけじゃなく、ディレクターもプロデューサーも、みんながそれぞれ違った視点でアイデアを出してくれる。だから、いままでの自分の経験を活かしつつ、さまざまなアイデアをうまく融合させて、新しい提案をしていくことにやりがいを感じる人が求められていると思います。SPACE Designの分野も、案件が増えてきたとはいえ、まだまだ手探りの部分が多いですから、積極的に自分をアップデートできる人が必要だなと感じます。

厚味:応募に際して「いままでのスキルを活かせるのか」という不安を抱える方がいるかもしれませんが、右脳事件はいま、多彩なバックグラウンドを持つ人を受け入れる時期です。これをチャンスだと捉え、自分のスキルがポジティブなかたちで活かせると思ってぜひ挑戦してみていただきたいです。ディレクターとしては、演出、編集、撮影はもちろん、WEBディレクションやグラフィックデザインなど幅広く担当することができるので、広く能力を伸ばす機会が欲しいという方にもぜひ来ていただきたいですね。

Profile

右脳事件株式会社

右脳事件は映像制作に特化した制作チームとして、これまで20年間、5,000本以上のコンテンツを世に送り出してきました。

そのこだわりは「自分たちの手でコンテンツを生み出す」こと。

他人のものではなく、自分たちのアイディアをもとに、自分たちの手を動かしながら、コンテンツを生み出すこと。そしてそれをもって、誰かに喜んでもらうこと。

それが、右脳事件が大切にしてきたコンセプトです。

だから、これまでに制作してきたコンテンツすべてが、紛れもなく「自分たちがつくったもの」と考えています。

2023年、創業から20周年を迎え、右脳事件は新たなフィールドへの「拡張」を始めています。

コンテンツのデザインだけではなく、コンテンツから生まれる受け手のあらゆる「体験」そのものをデザインするチームへ。

これまで通り、映像をメインとした「FRAME Design」を主軸にしつつも、これまでに培った映像制作スキルを武器に、空間演出を軸とした「SPACE Design」、メタバースやXRを活用した「VIRTUAL Design」、メディアミックス演出を行なう「COMPOSITE Design」、そして動画マーケティングやクリエイティブコンサルを行なう「CONSULTATION Design」へとフィールドを「拡張」し、あらゆる「体験」を「デザイン」するチームへ「進化」しています。

「右脳」は「創造性を司る」もの。
「事件」は「人々の記憶に残る」もの。
これが、私たちのチーム名。

あなたがつくりたいものは、「コンテンツ」なのか?
それとも、「体験」なのか?

さあ、右脳事件へ。

気になる

おすすめ求人企業

PR