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「ホテルを通して世の中に新しい選択肢や価値観を実装していく」ホテルプロデュースカンパニー水星の現在

株式会社水星

株式会社水星

  • #ユニークな福利厚生
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2015年の設立以来、「ライフスタイルの試着」をコンセプトにした「HOTEL SHE,」(大阪、京都)や蒸溜所を併設した「香林居」(金沢)など、ユニークなホテルをつくってきた株式会社水星。コロナ禍以降、その事業は自社のホテルの企画・開発にとどまらず、地域のブランディングやホテルの自社予約システムの運営などに広がっている。

そういった多岐にわたる活動を可能にしているのは、水星のメンバーのバックグラウンドの多様さだという。今回は、代表の龍崎翔子さんに加え、木村由佳さん、望月美那さん、荒木拓也さん、高見将大さんの5名にお話をうかがい、多様な人々が尊重し合う会社のカルチャーや、メンバー一人ひとりのスキルがどのように会社と掛け合わされているのかを聞いた。

インタビューは水星がプロデュースしたレジデンス「SOCO HAUS KORAKUEN」で実施。ソファに座りながら和気藹々とした空気の楽しい取材となった。

  • 取材・文:辻本力
  • 撮影:前田立
  • 編集・リードテキスト:吉田薫

「泊まれる演劇」や産後ケアができるリゾートホテルーーコロナをきっかけに拡張する水星の仕事

―水星は、「ホテルを通して人生の選択肢を広げる」という理念を掲げていらっしゃいます。水星という会社にとって、ホテルとはどのような位置づけなのでしょうか?

龍崎:私たちにとって、ホテルとはただの「旅先の寝床」ではなく、「ライフスタイルを試着できる場所」だと思うんです。水星ではよく、「ホテルとはメディアである」と言っているのですが、人が生活を営む滞在型空間メディアとして捉えることで、世の中に新しい価値観や選択肢を実装していく会社でありたいと思っています。そういう意味で、水星はいわゆる「ホテルビジネス」のイメージとはかなり違う会社だと思っていただいたほうがいいと思います。

龍崎翔子さん。株式会社水星 代表取締役CEO

―現在、第二創業期を迎えているとうかがっています。創業から現在に至る、水星の変遷を教えていただけますか。

龍崎:2015年に北海道・富良野でのペンション経営から事業をスタートし、京都や大阪で「HOTEL SHE,」ブランドのブティックホテルを展開したり、全国各地のホテル・温泉旅館の事業承継・リブランディングを手がけるなどをして事業を広げてきました。スタートアップ企業ですので、人員や資金、ノウハウなど経営リソースが十分にあるわけではない状況のなかで、従来のホテル経営の正攻法を離れ、独自の世界観を纏い、ユニークな宿泊体験を通じてバイラルを生み出していくような宿泊施設を開発してきました。宿泊型のオールナイトフェス「平成ラストサマー」を開催したり、客室内に最果タヒさんの詩を散りばめた「詩のホテル」を実施したり、カルチャーとの交差点になるような企画も多く行なっていましたね。

―旅行先があり、その場所の近辺にあるホテルだから利用される、という王道的なホテルの在り方から脱却しようとしたわけですね。

龍崎:その通りです。ただ、施設の世界観や宿泊体験にこだわっていくなかで、いくつかクリアしなければならないマーケティング上の課題に直面するようになりました。その一つが、ホテルの予約導線がイケてない、という状況です。従来の、宿泊料金や広さなどの定量的な価値で訴求するのではなく、より定性的な価値を通じて訴求することができる販売経路が必要だと考えるようになり、2020年に「CHILLNN」という自社予約プラットフォームを立ち上げました。私たち自身がホテルを経営している、という事業者目線の課題から生み出されたこのプロダクトは、現在では1000以上の施設様が使ってくださっているサービスへと成長しています。

宿泊施設予約プラットフォーム「CHILLNN

―ホテルをプロデュースするのみならず、それを利用するためのインフラづくりにも着手された、と。

龍崎:はい。加えて、全国各地の事業者さまから開業支援や経営改善へのお引き立てが増えてきたことで、水星のナレッジに普遍性・再現性があることにも気づいていきました。そこをしっかり事業化すべく、2020年にはホテルプロデュースとブランドプロデュースを二軸とした、プロデュースに特化したチームを立ち上げました。

こうした動きの背景には、2020年のコロナショックの影響があります。水星は、その時点で約95%がホテル事業だったため、コロナなどの社会情勢の変化が事業に大きな影響を及ぼしかねませんでした。外的環境が変わっても経営を続けるために、事業軸を分散させる必要がありました。また、こうした問題意識から、観光に依存しないホテルのかたちも模索し始めました。

その一環として、エンタメ事業部を立ち上げ、宿泊型エンターテイメントの可能性を追求する「泊まれる演劇」を企画したり、産後ケアを目的としたホテルリゾート「HOTEL CAFUNE」を開業したりと、観光業にとどまらないホテルの利用シーンを生み出し続けています。

宿泊型イマーシブシアター「泊まれる演劇

デベロッパーからクリエイティブエージェンシーまで。多様なバックグラウンドを持つ人が集まる場所

―水星では、さまざまなバックグラウンドを持ったメンバーが活躍されているそうですね。そんななかから、本日はプロデュース事業部の4名に来ていただきました。ご経歴と現在担当されているお仕事からお聞かせください。

木村:私は、大学時代は建築を学び、卒業後はイベントや展示会などを請け負う会社に入社しました。そこでは、空間デザイナーとしてイベントプロモーションや展示会、ショールームや店舗のデザインを担当していました。転職を考えたきっかけは、新型コロナウイルスの流行で、イベント関係の仕事がゼロになってしまったことです。そのタイミングで、あらためて「自分にとって空間をつくる仕事とは」「仕事を通して成長し続けるには」を自問自答するようになって。そんななかで目に留まったのが、水星のプロデュース事業部の仕事でした。

現在は、ホテルの開発と、企業さまからのブランドプロデュースのご依頼に応えるお仕事との二軸でやっています。

木村由佳さん。プロデューサー / ブランドディレクター

望月:私も木村同様に大学では建築を学び、卒業後は空間デザインの会社に入り、プランナーとして主に企業様の魅力を伝えるための施設や展示会、イベントの企画・開発などを担当していました。水星への転職を決めたのは、自分の関われる領域を広げて、スキルアップしたいという思いがあったからです。

いまは、企業のブランディングと、ホテルの新規開業の二軸でやっています。直近の実績で言いますと、台湾のマットレスブランド「Sleepy Tofu」の日本進出時のプロモーション支援を担当しました。

望月美那さん。プロデューサー / ブランドディレクター

荒木:私は元々クリエイティブエージェンシーで、プロデューサーやクリエイティブディレクターとしてさまざまな広告案件やブランディング案件に携わってきました。

転職のきっかけは、いわゆる「クリエイティブな仕事」というものの本質を考え直してみたくなったからです。「クリエイティブ」というと、一般的にはコンテンツをつくる仕事を指すように思われがちですが、それ以外の領域にもそう呼ぶにふさわしい仕事をしている人たちはたくさんいます。いまいる環境の外に出て、新たなクリエイティビティに触れること。そこに、これまで自分が培ってきたものをぶつけて、面白く掛け算させること――そうした挑戦のできる理想の場所として、水星という会社が目に留まりました。現在は、ホテル系の案件と、それ以外のブランディング的な案件を半々くらいずつ手掛けています。

荒木拓也さん。プロデューサー / ブランドディレクター

高見:私は前職では大阪の総合不動産デベロッパーで働いていました。地元では歴史のある会社で、私も、スーツとネクタイ姿で働いていました。最初の仕事は、新築マンションの営業でした。仕事も面白く、充実した毎日を送っていましたが、ただ、少し不満だったのは、新築マンションという商材の画一性です。間取りにも設備にもパターンが決まっていて、あとはその微細なバリエーションでしかない。事業そのものにやりがいは感じていたものの、もう少し面白い空間づくりに関わってみたい、という思いもありました。

転機は、完成したばかりの「HOTEL SHE, OSAKA」に泊まりに行ったことでした。この水星のホテルに感銘を受け、SNSにその感想を綴ったところ、代表の龍崎から連絡を貰い縁あって入社する運びとなりました。前職での経験を活かし、不動産業との親和性の高い新規のホテル開業や、ホテルのリニューアルを中心に仕事をしています。

高見将大さん。 ビジネスプロデューサー

20年先見据えたコンセプトをつくる。ホテル仕事と非ホテル仕事の共通点

―皆さんは異業種への転職だったと思うのですが、もともとホテルに関心が?

木村:関心はありましたが、あくまでゲストとして泊まりに行く立場において、ですね。でも、思えば私は、水星へ転職するにあたり「ホテル業界に飛び込んだ」という意識はほぼないんですよね。自分の人生を豊かにするということにつながりそうな仕事や出会いがありそう、という可能性に賭けた、というほうが大きいです。

龍崎:ホテルのスタッフも含めて、水星で働いている人で「ホテル業界で働こう」と思って来ている人はいないように思います。そもそもホテル業界出身という人も全体の1割未満ですし、しかもホテル業界出身者たちも前職ではどちらかというと異端な存在だったと聞いています。

―アウトサイダーだらけの梁山泊、みたいな。

龍崎:世の中に「ホテルのイデア」みたいなものがあるとしたら、それとは対極の方向に向かっていきたいという強い欲求があるチームだと思います。伝統的なホテルの様式や在り方にはもちろんリスペクトがあるのですが、私たちはまだ若い会社ですし、業界の垣根を越えていくようなチャレンジをしていく会社でありたいな、って。

荒木:あくまで「ホテル」が会社の軸にはあるんですけれど、やはり見据えているのはお客さまの「ライフスタイル」であり、そこにアプローチするうえでホテルのナレッジが武器になっているのが水星という会社のユニークな点だと思います。

望月:実際、意外な局面でホテルの知見が活きてきたりもするんですよ。例えば、前述の台湾のマットレスブランド「Sleepy Tofu」のポップアップを担当した際、「寝ころび台湾料理店」というイベントを行ないました。ちょっぴりお行儀が悪いのですが、マットレスの上で寝ころびながら台湾料理を食べられるという企画で。このときは、当日の予約の確認や、お客さまの入れ替えとマットレスの再セッティングを我々が担当したのですが、入社時に参加したホテル研修での経験が活きる機会が何度もありました。

「寝転び台湾料理店」キービジュアル。

荒木:それで言うと、ホテル仕事と非ホテル仕事との間にもさまざまな共通点があると思います。例えば、ビジネスにおける耐久性のあるコンセプトをどれだけつくれるか、という点にこだわっているところとか。いわゆる広告の仕事なら、1シーズンのみのコミュニケーションという場合も多いのですが、ホテルはそうはいきません。同じ土地で長い期間にわたって営業することになるので、10年、20年先までもを踏まえてコンセプトを考えなくてはなりません。

同様に、僕がいま手掛けている企業さまのブランディングの仕事も、刹那的に盛り上がればいい、という性質のものではありません。つまり、どちらも「これ、なんかちょっと面白いかも」くらいのコンセプトでは通用しないのです。

―より強度が問われるわけですね。

荒木:はい。そしておそらく、そうした時間に耐えうる強度と、新しいものへ挑戦する心、多彩で面白い人材の掛け合わせこそが水星という会社の魅力であり、強みだと思っています。

ブティックホテル「HOTEL SHE, OSAKA」。「ライフスタイルの試着」をコンセプトにレコードなどヴィンテージカルチャーの魅力を発信する

「オープン&共有」「相互尊重」が駆動する水星カルチャー

―水星の皆さんが社内で共有しているカルチャーとはどのようなものなのでしょうか。

高見:自分の領域外のことにも強い興味関心があり、何でも面白がれる――そんな感覚は共有しているように思います。水星にはいろいろなお仕事の相談が寄せられますし、初めての試みもしょっちゅうですが、そうしたマインドの集団なので、意外なボールが飛んできても尻込みすることなく楽しめてしまうようなところはあるかもしれませんね。なおかつ皆、相談し合って進めることへのモチベーションも高い。 1人では大変なことでも、チームでなら何とか乗り越えられますから。

望月:お客さまから類のない新しい価値をつくることに、期待を寄せていただくことも多いので、条件反射的に「できないです」「無理です」みたいになってしまう人よりは、イレギュラーな機会も楽しめる人のほうが向いている職場かもしれません。

荒木:多くの会社では一人ひとりの役割が固定されていて、自分の仕事と「それ以外」をはっきり分けて考えてしまいがちです。結果として、仕事で貯めたナレッジや人材のネットワークなどをクローズドにしてしまうことも。

対して水星は、情報を全部オープンにして、ナレッジを共有しながら全員で上がっていこうぜみたいなカルチャーがあるので、それで得意・不得意を補完し合い、PDCAサイクルを高速で回すことに成功しているように思います。

望月:実際、私も、前職では担う仕事が部署や職種によって細かく分かれていました。なので、基本は営業さんが取ってきてくれた案件に対応することが多く、手掛けた空間をお客さまに納品したら、手離れすることがほとんどでした。でも実際にオープンして空間が現実のものとなると、その後の運営の仕方によって想定していた世界観と少しミスマッチするような部分というのがどうしても出てきます。もし自分が運営にまでタッチできる立場ならば、アフターケアもできるし、より精度の高い空間を提供することも可能になるはず。そうした自分の求めているような働き方とマッチしたのが水星だったんです。

働く人の個性が水星のコンテンツをつくる

―水星のメンバーは、バックグラウンドも個性もさまざまとのことですが、そうすると当然「好きなもの」もさまざまということになると思います。そうした個人的な嗜好を、水星という組織のカラーと調和させていくうえで何かコツのようなものはありますか?

龍崎:水星には、「愛せるものをつくろう」というバリューがあるんです。多くの人は、働く時に「仕事人格」になると思うんです。そうやって、気持ちの切り替えをする。でも、私はそれはもったいなあって思うんですよ。それよりもむしろ、仕事にどれだけその人の「私性」を持ち込めるかが「面白い仕事」「いい仕事」へと向かう鍵なんじゃないかな、って。その点、水星のメンバーは、みんな日常生活で面白い経験をしたりしたら、そのときの上がった気持ちを「どう仕事に活かせるか」と考える人たちばかりな気がします。

高見:そうした在り方を肯定するようなカルチャーをはっきり感じますし、その延長線にこそ水星の目指すクリエイティブがある気がしますね。だからみんな、自分の「好き」を密かに蓄えながら、活かせる機会を虎視眈々と待っている(笑)。

水星 プロデュース事業部のメンバー

龍崎:会社の雰囲気を、私はよくサファリパークにたとえることがあります。バックグラウンドが多様であることも理由でしょうけど、本当に同じタイプの人間がいない。得意分野や出自こそ似ていても、皆がそれぞれキャラ立ちしている。そのくせ、大きなところでの価値観はすごく近いものがあって、それぞれがそれぞれの行動原理に基づいて動くのだけど、不思議と全体としては調和してしまうんですよね。それぞれの持ってるナレッジや経験みたいなものを、水星という一つの大きな世界のなかにもたらし合って共存しているようなイメージですね。

―では最後に、水星で働くことに関心を持っている読者の方たちにメッセージをお願いします。

龍崎:ホテルって面白い箱だと思うんです。

ただ寝泊まりするだけでなくて、そこで過ごす時間を通じて、自分にフィットする生活のあり方を発見することができる、いわば「ライフスタイルの試着室」だと思っています。そういう意味で、ホテルは人の人生をデザインすることができる、「空間メディアである」と言えるのではないかと考えています。

ホテルに泊まっていただく、ということは、すなわちお客様の人生の一部をお預かりするということ。ホテルの滞在のあり方をコーディネートすることは、その方の生活、ひいては人生をデザインすることにつながると思うのです。

私たち水星はただのホテル運営会社ではありません。ホテルというメディアを通じて、世の中に新しい選択肢を生み出していく会社。社会実装されていないさまざまな課題を解決し、そして選択肢にあふれ、「誰もが自分らしい意思決定をできる社会」をつくっていく会社なのだと思っています。

まだこの世界にない価値あるサービス・プロダクトをつくり上げる、クールな頭脳と熱いバイブスを併せ持った方をお待ちしています。

Profile

株式会社水星

株式会社水星はホテルの企画・開発・運営を起点に、ライフスタイルと観光の領域で社会に多様な選択肢をつくるホテルプロデュースカンパニーです。

私たちは、「ホテルはメディア」だと考えています。人と人、人と土地、人と文化をつなぐ空間メディアとしてのホテル。

ホテルは、衣食住遊学働、人の生活にまつわるあらゆる選択肢を提案することができます。

また、ホテルは、人の生活環境をハード(空間)とソフト(体験)の両面からコーディネートすることができます。

ホテルに泊まるということは、ゲストの人生の一部をお預かりすること。

ホテルの体験をコーディネートすることは、ゲストのライフスタイル、人生をデザインすることにつながると考えています。

私たちは、そのような可能性を秘めたホテルというアセットを通じて、社会実装されていないさまざまな課題を解決することで、選択肢にあふれる、誰もが自分らしい意思決定をできる社会をつくっていくことを目指しています。

ホテルの運営をするホテル事業部、ホテルの企画・開発やさまざまな企業、自治体のブランド開発やコンサルティングをするプロデュース事業部、ホテルの魅力を最大限に引き出し、理想の予約体験を実現する自社予約エンジン「CHILLNN」などの ITサービスを展開するプラットフォームの3つの事業を柱に、そのほか、宿泊型イマーシブシアター「泊まれる演劇」を運営するエンターテイメント事業部や新たな命を授かるすべての家族のための産後ケアリゾート「HOTEL CAFUNE」など、「ホテルとクリエイティブとテック」を人の人生の可能性を広げるさまざまな事業を展開しています。

事業の内容についてもっと詳しく知りたい方はこちらをご覧ください。
https://suiseiinc.notion.site/SUISEI-RECRUIT-8170e106b08548f885e6d34679e6eaa3

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