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着実に成長できる職場環境とは?映像編集に特化したポストプロダクションSTUDに聞く

株式会社スタッド

株式会社スタッド

テレビCMなどの広告映像、イベント、サイネージなどの映像編集を手がけるSTUD。収録された素材を尺に合わせて調整し、広告の目的やコンセプトに沿って編集、演出する映像編集に特化したポストプロダクションです。未経験からでもイチから技術を習得し、先輩たちが手がけた作品から多彩な表現方法を吸収しながら腕を磨いてきたSTUDのエディターたち。着実にエディターを育て、質の高いアウトプットを生む。そんな会社の環境について、若手のエディター4名に伺いました。
  • 取材・文:榎並紀行(やじえろべえ)
  • 編集:佐伯享介

撮影素材を「映像作品」に仕上げる職人集団

―STUDはポストプロダクションのなかでもオフライン編集に特化した会社ということですが、映像制作における「ポストプロダクション(以下、ポスプロ)」は、どのような役割を担っているのでしょうか?

濱田:映像制作において「ポスプロ」というのは、「撮影後の技術的仕上げ作業」を指す言葉で、同時に「コンテンツ制作を技術面からサポートする業種(会社)」という意味もあります。収録された素材をお預かりしたところから、編集や音響の仕上げなど、映像作品を納品する前までのすべての工程を行なうのがポスプロの役割です。

私たちSTUDは広告映像を中心としたお仕事が多いので、テレビCMをはじめ、WEB広告や、屋外サイネージなどに使われる映像の編集を行なっています。

濱田慎太郎さん。大阪府出身、2021年入社。前職はプロダクションPM。休日も個人で映像をつくるなど、とにかく映像をつくることが好き。リズム感やスピード感のある演出、格好いい編集も得意。

―単に映像を切ったりつないだりするだけではなく、クライアントの要望に合わせ、より広告の意図が伝わるような味付けをしているんですね。

濱田:はい。大まかな流れとしては、代理店あるいは制作プロダクションがあいだに入り、まずはクライアントの意向をふまえた方向性や、完成イメージをお聞きします。そのうえで、僕たちがさまざまな技法を用いながら編集し、そのときどきに求められる映像に近づけていくという感じです。

また、「完パケ」と呼ばれる、実際にCMとして世の中に流れるものを編集する仕事以外に、企画段階のラフなコンテ「Vコン」をつくることもあります。Vコンの段階ではポストプロダクションのエディターも交えてディスカッションするので、僕らからも積極的に意見を出して方向性を固めていくことが多いですね。

―数あるポストプロダクションのなかで、STUDさんならではの強み、得意なことというと、何が挙げられますか?

濱田:お客様からよく言っていただくのは、納品物の質の高さです。「一定以上のクオリティが見込めるから安心して任せられる」とおっしゃっていただくことが多いですし、僕自身もそこは胸を張れる部分だと思います。また、個人的にも意識しているのは「早さ」です。もちろん、最初から素晴らしいものを提出することも大事ですが、早めに出して監督や代理店、クライアントに見ていただくと、そのぶんさまざまな意見を取り入れることができます。思考回数を重ねるほど、よりブラッシュアップされていいものができると思うので、そこは僕自身の強みとしても大事にしていきたい部分ですね。

―どの仕事でも一定以上の質を保てるのは、会社としてクオリティを管理する体制ができているからなのでしょうか?

濱田:それもありますし、若いエディターが日頃から先輩たちの仕事に触れていることも大きいです。僕もそうですが、入社直後から先輩が手がけてきたすごい映像をたくさん見させてもらい、多くの刺激と学びがありました。その積み重ねが、一人ひとりの仕事の質の向上、会社としてのクオリティの担保につながっているのではないかと思います。

また、技術面でいえば、「Premiere Pro」はもちろん、「After Effects」を使った複雑な動きやエフェクトもしっかりつくり込むことができます。経験が浅いエディターも含めて、スキルを要するソフトを使いこなせるのはSTUDの強みですね。

若手が考える「信頼されるエディター」の条件

―映像監督などから指名で仕事が来るようなエディターは、特にどんな点が優れていると思いますか? また、そんなエディターになるために、みなさんが意識されていることがあれば教えてください。

アリンダ:まずは監督がやりたいことを正確に把握し、そのうえでエディターの視点からも提案ができることですね。監督が必要だと考えて撮影した素材でも、エディター目線で不要だと感じればしっかりとそう伝え、よりいい提案を返していくことが重要です。先輩たちを見ていても、それができる人は信頼されますし、よく指名されているように感じます。

アリンダ ヘルフィニンシさん。インドネシア出身、2020年入社。編集からモーショングラフィック、グレーディングまでこなすマルチなトリリンガルエディター。

アリンダさんがオフライン、Motion designを担当した「BeliEVE | あなたの可能性は、この世界の可能性だ。菜々緒さん出演『とある私の物語』 【エスエス製薬】」

テン:エディターには編集技術以外にも、さまざまな要素が必要だと思います。たとえば言葉の丁寧さも含めたコミュニケーション能力が高い人は、やはり一緒に仕事をしたくなりますよね。

鄧 宇真さん。台湾出身、2019年入社。編集はもちろん、AEを使用したモーショングラフィックも得意。日本語、中国語(台湾)、英語も少し話せます。

テン:それから、個人的に大事にしたいと考えているのは「提案力」です。アリンダさんのお話と少し似ていますが、絵コンテ通りに素材をつなぐだけでなく、たとえば「ここでこんなアニメーションを入れたら、より効果的じゃないか」と、自分なりのアイデアを盛り込んだパターンもつくって監督に提案してみる。編集しながらアイデアが浮かぶことも多いので、それをしっかりかたちにして意見できるエディターは重宝されると思います。

テンさんがモーションデザインで関わった「HELLO NEW DREAM. REPORT MOVIE」

―永井さんは未経験に近い状態でSTUDに入社し、今年2年目と伺いました。現時点で自分の武器、あるいは「ここを伸ばしていきたい」といった何かは見つかりましたか?

永井:まだまだ技術的に足りない部分が多いので、まずはそこを伸ばすこと。そのうえで、コミュニケーション能力を磨き、武器にしていきたいです。

永井康介さん。千葉県出身、2022年入社。編集の現場では物怖じしない精神力を持つ。様々な映像作品を吸収し、日々感性をアップデートしている。

永井:以前、先輩エディターのアシスタントに付かせてもらったのですが、その方は監督となごやかにコミュニケーションをとりつつ、ハイクオリティな映像を一緒につくり上げていました。現時点ではあまりにもレベルが違いすぎるのですが、いつか自分もあんなエディターになれたらいいなと思います。

なぜSTUDではエディターが育つのか?

―エディターとして成長していくためには本人の努力だけでなく、会社の環境も重要だと思います。STUDの「育成環境」については、どうお感じになりますか?

永井:数か月だけ所属していた前職の会社はどちらかというと放任主義で、「仕事は実践で覚えなさい」みたいな方針でした。でも、STUDは真逆というか、いい意味で人同士の距離が近いんです。先輩たちも気さくに話しかけてくれますし、入社から半年くらいは、マネージャーの甲斐さんが自分の仕事もあってお忙しいなか、つきっきりで業務に関する研修や実習を行なってくれました。

ソフトも以前はPremiere Proくらいしか触ってこなかったのですが、入社後にAfter Effectsを覚えて、できることがグッと増えたのが嬉しかったですね。仕事自体も、各自のレベルに合わせてマネージャーが業務を調整してくれるので、いま自分にできることで会社に貢献しながら成長していける実感があります。

濱田:永井が言うように、接しやすい先輩が多いのはSTUDの良さです。いつでも気軽に質問できますし、みなさん経験豊富なので納得できる答えが返ってくる。すぐ回答できない場合でも、あとで一緒に考えたり、調べたりしてくれるんです。疑問点を先送りにせず解消できることも、若い人の成長につながっていると思います。

規模が大きい会社だと、基本的には1人のメンターがついて、その人から仕事を教わりますよね。STUDの場合は少人数ということもあり、特定の人にすべて教えてもらうというよりは、先輩たち全員がメンターという感じです。結果的に、より多くの人の考え方や知識を吸収できる環境になっていると感じます。

―ちなみに、新人はどのような流れで仕事を覚えていくのでしょうか?

濱田:新卒の場合は、まず「ポストプロダクションとは何か」ということから始まり、ソフトの使い方などの基本を一通り習得してから、実際の案件ではどういうことをするのか学んでいきます。段階を踏んで、本当に一つずつ教えてもらえるので、未経験でも安心して飛び込めると思います。

新人エディターは、一般社団法人日本ポストプロダクション協会(JPPA)による映像音響処理技術者認定試験に合格するため、基礎知識を身に着けながら試験勉強もしていく

アリンダ:私は前職で結婚式の映像をつくる仕事をしていたものの、Premiere ProやAfter Effectsは使ったことがありませんでした。それでもイチから教えてくれて、すぐに仕事で使えるレベルにまで到達することができたので、早く技術を習得したい人にとってはすごくいい環境だと思いますよ。

―アリンダさんはインドネシア出身ということですが、STUDに入社する前、日本の映像制作会社に対してどんなイメージを抱いていましたか?

アリンダ:海外の人からすると日本の会社は「働きすぎ」というイメージがあって、最初は少し不安でした。でも、STUDはワークライフバランスがちゃんと実現できている会社でプライベートの充実も叶うので、本当に入ってよかったです(笑)。

アリンダ:ただ、そうはいっても繁忙期に残業が増えることはあります。入社間もない頃は忙しくなると気持ちが沈んでしまっていたのですが、そんなときにある先輩が「真面目にやりすぎなくていい」と言ってくれたんです。それは適当に仕事をするという意味ではなく、「もう少し肩の力を抜いてみたら?」というアドバイスでした。それからは、繁忙期でも仕事を楽しめるようになって、仕事のクオリティも上がったように感じます。

―ちなみに、先輩から教わる以外で自主的に勉強したり、仕事に生かすために実践したりしていることはありますか?

濱田:僕は仕事に関係なく、そもそも映像作品が好きで、なかでも広告系の動画や図形が動くモーショングラフィックス、ミュージックビデオなどを日頃からよく見ています。国内の映像やプロがつくった動画だけでなく、海外のクリエイターや学生がSNSで発表している作品もチェックしますね。それは意識的にやっているわけではなく、もはや生活の一部みたいになっていますが、新しい技術や表現について勉強になることも多いですし、結果的に仕事にも生かされている気がします。

テン:濱田さんと少し似ていますが、私も日頃から色んな映像をエディターの視点で見ています。テレビドラマのオープニング映像も必ず毎回見て、使われている技法や表現を学んだり、商業施設にある大きなパネルにアニメーションが映っていたら、そこに立ち止まって5分くらいじーっと眺めたり。どんな編集や演出をしているのか、ついチェックしてしまいますね。

オフィスには仕事や勉強に役立つ資料だけでなく、メンバーたちの好きなアイテムも飾られている

オフィスには楽器も。仕事の合間に演奏するメンバーもいるとか

経験を積めば積むほど、映像の仕事が好きになる

―最後に、みなさんが考える「STUDのエディターに向いている人」、あるいは「こんな人と働きたい」という希望があれば教えてください。

アリンダ:まずは映像が好きなこと。今は知識やスキルがなくても、学びたい気持ちがあればやっていけると思います。個人的には、考え方が面白い人と働きたいですね。

テン:映像が好きなこと、好奇心を持っている人、新しいことが好きな人ですね。映像業界の編集のトレンドは毎年のように変わりますし、表現もどんどん新しくなります。そういうものに興味を持って、つねにアンテナを張れる人は向いていると思います。

―永井さん、濱田さんはいかがでしょう?

永井:アリンダさん、テンさんが言うように映像が好きなことは絶対条件だと思いますが、STUDは「興味はあるが、大学や専門学校等で専門的に学んだ訳ではなく、現時点でのスキルにはあまり自信がない」くらいの人でも全然ウェルカムな会社です。最初はそのレベルでも、「頭の中すべてが映像の宝庫」みたいな先輩たちから学んでいくうちに仕事がどんどん楽しくなっていくので、少しでもやりたい気持ちがあるならトライしてほしいです。

濱田:向いていると思うのは、映像に限らず、スポーツやアイドルなどなんでもいいので、夢中になるくらい好きなものがある人ですね。何かに熱中する気持ちは、必ず仕事でも活かせるはずですし、そういう人はSTUDの仕事を通じてどんどん映像を好きになると思うので。未経験の方でも僕たちが持っている技術はすべて教えますので、ぜひ一緒に働きたいですね。

Profile

株式会社スタッド

■私たちについて
スタッドはテレビCMやWEBCMなど、主に広告の映像制作を行なう会社です。映像制作の最終工程である「ポストプロダクション」を手がけています。

これまでの実績として、サントリートリスハイボールのCMや、三井住友銀行「Olive」のCM、Google Play Musicや、SPY×FAMILYのプロモーション映像など、数々のロングヒット作品や大型案件に携わってきました。

映像制作には大きく3つのフローがあるのをご存じでしょうか? まず最初に、企画立案から脚本・構成、キャスティングや納品までのスケジューリング、各種手配など、撮影に入るまでの作業を「プリプロダクション」。次に、現場で撮影を行なう「プロダクション」。そして最後が、私たちの分野である「ポストプロダクション」。収録した素材をお預かりしたところから、完成作品を納品する前までの最終的な仕上げを行なうプロセスです。スタッドでは、このポストプロダクション業務のなかで、主に編集の工程を手がけています。

ポストプロダクションの映像編集と一口に言っても、その作業はさまざま。スタッドが特に強みとするのがオフライン編集の領域です。オフライン編集とは、撮影素材を選別し、並べながら、構成やストーリーを組み立てていく、映像作品の根幹となる編集作業。

さらにモーショングラフィックスやVFXなどにも力を入れているため、エディター一人ひとりの表現力に幅や奥行きがあることも大きな特徴です。

■スタッドの歴史
スタッドは、まだCM制作においてオフライン編集がそれほど重要視されていなかった時代から、「オフライン編集に特化したポストプロダクション」としてしっかりと軸足をおき、事業を拡大、前進してきました。しかし柱はそれだけではありません。

オフライン編集のノウハウを活かしつつも、絶えず3DCGやゲームエンジンなどの知見を融合しながら先端技術の研究開発に取り組み、革新的なビジュアライゼーションを実現する部門「sync.dev」を内包しています。

映像作品の根幹である「オフライン編集」という強みに磨きをかけながらも、研究部門では先端技術を研究する。このような2本の柱を持つことにより、日進月歩の映像業界で着実に歩を進めてきました。

■仕事のやりがい
この仕事のやりがいは、仕事の成果が次の仕事の指名として返ってくること。指名制のスタッドでは「〇〇さんだからお願いしたい」というかたちの依頼がほとんど。実力がつきリピートされるようになれば、監督や関係者とのタッグが長く続いていくこともあり、それもまた喜びの一つです。自身のスキルを実感しながら、モチベーション高く伸ばしていきやすい環境と言えるかもしれません。

年代は20代〜30代前半が多く、音楽好きな人や、映像が大好きでプライベートでも積極的に映像制作に打ち込む人、USJの年パス会員の人、ファイナルファンタジーが好きすぎて仕事につながった人など、興味関心はいろいろ。どんなジャンルであっても、自分の「好き」を深く掘り下げ、どこまでも追求するのが好きな方は楽しみながら活躍できるでしょう。

日頃から何気ない会話がしやすい雰囲気であったり懇親会が開催されたりと、社内コミュニケーションの機会も豊富。何気ない雑談から、互いの仕事や技術的な情報の交換まで、いろんな会話が飛び交っています。一人ひとり自身の持ち場で活躍しながらも、お互いに頼り合い高め合える環境です。

映像業界に興味がある方、編集で高みを目指したい方、多くのメンバーの意図を汲み取りながら作品をつくりあげたい方のご応募をお待ちしております。

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