SONICJAMが予想する2020年。デジタルクリエイティブの世界で変わること、変わらないこと

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デジタルクリエイティブの世界は、トレンドの移り変わりが激しい。なかには時代の波に乗れず、沈んでしまう会社もある。しかし、SONICJAMはこの荒波を約15年にわたりサーフしつづけている。こんな離れ業ができるのも、新たな波が来る度に彼らが進化しているからにほかならない。そして今、次のビッグウェーブが来ようとしている。その波は、彼らの瞳にどう写るのだろうか?
代表である村田健氏、デザイナーの中川博文氏、テクニカルディレクター兼フロントエンジニアの池田亮氏、そしてデベロッパーの泉田隆介氏に、先が読めないデジタルクリエイティブの未来、そしてSONICJAMのビジョンについて話してもらった。
  • 取材・文:村上広大
  • 撮影:永峰拓也

2020年に向けて訪れるテクノロジーの新しい波

—本日は「デジタルクリエイティブの未来」をテーマに話を伺いたいと思います。普段から社内でそういう話をすることはありますか?

村田:3年とか5年とか、そういう長いスパンで話すことは意外と少ないかもしれないですね。そもそもこの業界は先が本当に読めない。SONICJAMも5年前と今を比べると、仕事の内容がまったく違いますから。ただ、これからの5年間が違うのは、東京オリンピックに向けて世の中が動いていること。そこに向けて僕たちは何をしていけばいいのか、何ができるのかをある程度予測して未来のSONICJAMの姿をイメージしています。

SONICJAM代表取締役・村田健氏

SONICJAM代表取締役・村田健氏

—この先5年も、大きな変化が起こりそうな予感はあるのでしょうか?

村田:感覚値として7年くらいの周期で過渡期がやってきているんですね。僕がネットの仕事を始めたインターネット黎明期から、2001年くらいにiモードが登場、2008年頃になるとFlashでリッチな見せ方が主流になって、さらに7年後の現在はスマホでノンFlash化が進んでいる。今はAI、VR、ウェアラブル、IoTなど混沌としていますが、個人的にはサイネージと小型プロジェクターの進化で人とスクリーンの関係性が変わるんじゃないかと注目しています。

受発注の関係から、クライアントと“共に創る”デジタルプロダクションへ

—では、2020年に向けてデジタルクリエイティブはどのように変わっていくと読んでいますか?

村田:スマホの性能がPC並に進化して、今以上に全盛を迎えると予想しています。携帯電話って2001年なんてみんなガラケーだったし、2007年にしてもようやくiPhoneが発売された頃。本当に目まぐるしく変化しています。最新のスマホと2年前のスマホを比べても性能の差が歴然ですから。

—みなさんはいかがですか?

池田:最近は、スマホで3D映像を再生できるようになっていますしね。5年前はあんなに小さなデバイスがここまで進化するとは想像もつかなかったですよ。

テクニカルディレクター兼フロントエンジニア・池田亮氏

テクニカルディレクター兼フロントエンジニア・池田亮氏

泉田:そういうデバイスの進化もあると思うんですけど、僕は制作環境もガラリと変わると思っています。今だとサイトを制作するのに、デザイナーもエンジニアもパソコンに向かうのがスタンダード。でも、今後何年かしたらそういう作業もなくなって、タブレットとかで事前に用意されたプログラムを掛け合わせるだけで簡単にサイトが作れるようになっているかなと。すでに直感的な操作で編集作業ができるアプリも出てますしね。

—すると、個人でも簡単にサイトが制作できるようになると思います。そのとき、現在のいわゆる「WEB制作会社」はどのように差別化をはかっていけばいいのでしょうか?

泉田:WEB制作だけを請け負うスタイルのプロダクションは、先ほど言ったようなアプリなどの登場に取って代わられる可能性も高いし、今後淘汰されていくのではないかと感じています。

池田:そういう意味では、SONICJAMで担当した仕事自体が未来の話につながると思います。たとえば、絢香さんの新しいアルバムのキャンペーンサイトは3Dでサイトを構築しています。iphone 6で3Dが閲覧できるようになったということでさっそくチャレンジしてみたのですが、これから先、スマホでできることはもっと増えていくはずです。

絢香『レインボーロード』スペシャルサイト

絢香『レインボーロード』スペシャルサイト

村田:最近では、商品企画や売り場の設計などについても相談を受けることが増えてきました。「どうしたら商品が売れるか?」という課題に対して、技術的なアプローチを提案することも多いです。スマホやデジタルサイネージの普及により、デジタルな解決策でユーザーのよりリアルな動きを誘導できるようになったのは大きいですね。

中川:共同通信デジタルのコーポレートサイトでは、同社が配信する膨大なニュースのデータを分析し、それをインフォグラフィックスとして可視化する試みも行いました。それと併せて、ニュー新橋ビル宝くじ売り場横にある共同通信ニュースのデジタルサイネージの表示画面の設計と背景演出も担当しています。最近は、こういう従来のWEBの枠組みをはみ出した仕事も多くなっていますね。特にクライアントの持つ情報を活用して新しい価値を生み出すようなインターフェイスのデザインは、これから可能性を感じます。

村田:そのなかでSONICJAMは、やっぱり幅広い技術を使ったオーダーメイドにこだわっていきたいと思っています。受発注の枠を越えた共創型のパートナーとして、クライアントと一緒にプロジェクトを企画からつくりあげていくのが自分たちのスタイルですね。

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今までにない体験を生み出し続ける、研究開発チームの存在

今までにない体験を生み出し続ける、研究開発チームの存在

—そんななか、SONICJAMは昨年から研究開発チームを新たに立ち上げたと聞きました。

泉田:先ほどのサイネージのように、今まで取り扱わなかったような領域にまでデジタルの技術が必要とされるようになっているんですね。しかも技術的なことから相談されることが多い。

デベロッパー・泉田隆介氏

デベロッパー・泉田隆介氏

—と、言いますと?

村田:ここ数年でチームラボさんやライゾマティクスさんなどのテクノロジーに強いプレイヤーの活躍が目立ったのも、業界の動きとしてはかなり大きかった。それに伴い、顧客からの要求レベルも相当に上がってきているように感じています。

泉田:SONICJAMの研究開発チームは、案件での企画やクリエイティブの表現に役立つような最新のテクノロジーの研究・開発に励んだりしているんです。受託だけではなく、自発的な研究開発を行っていることで、常にデジタルとリアルの融合を意識できている気はしますね。

—現在はどのような取り組みを行っているのですか?

泉田:新しいデバイスやセンサーの可能性をテストしながら、それを動画に残すようにしています。ある程度こういう使い方ができるよっていう状態まで持っていって、社内に共有すれば、それを使って何かやりたいって言ってくれる人が現れると思うので。

村田:実際に最近も、あるテーマパークから依頼があって、このチームで生まれた新しい試みを提案する予定です。そうやって、これまでとは違った方面から声を掛けられることが本当に増えています。

—社内に研究開発チームができたことで、他のメンバーがなんらかの刺激を受ける機会は増えているのでしょうか?

中川:それは確実に増えていますね。そうした新しい技術に直面しながら、デザイナーが活躍できる業務領域の広がりも実感しています。それらに対応できるスキルを身につけるだけでなく、状況に応じて最善の表現を提案することが求められてくる。ただデザインが上手い、見せ方が面白いとか、流行りの表現を追いかけているだけでは通用しなくなっていくのかな、と。逆に、時代の変化を楽しみながら「作ること」と真摯に向き合える人なら、作り手として、きっと面白がって働ける環境だと思います。

村田:今は技術的な面で新しいことを試したりしているんですけど、もちろん僕たちだけでできることには限界があるので、横のつながりで他社とお互いの技術を活かした合同プロジェクトを立ち上げるとか、いろいろな可能性を考えながら活動していきたいですね。

フラットな働き方の究極! ボスのいない会社への道

—最近は社内のフラット化も進めているそうですね。その一環として村田さんは最近、名刺の肩書から「代表取締役」を取ったそうで。

村田:もともとクリエーター気質ということもあって、こういうものを作りたいとか、現場のことを率先してやっていきたいなと。そうなったときに「代表取締役」という肩書が邪魔な気がして。

—邪魔、ですか。

村田:ときどき社長として指示をほしいと言われることもあるんですけど、僕としては個人が自由に動ける環境のほうがいいんじゃないかと思うんですね。もちろん先頭に立って号令を掛けることもあります。だから肩書から「代表取締役」はなくなっても、実際は会社をまとめる代表取締役であり、チーム全体を統轄する事業部長であり、いちチームを束ねるリーダーです。まあ、代表取締役は他のスタッフに譲ってもいいと思っているんですけどね(笑)。

—そういう社長のスタンスに対して、社員のみなさんはどう考えているんですか?

泉田:大変ですよ。

一同:(笑)。

—社長のスタンスに対して「大変ですよ」と言えるのがそもそもオープンな社風ですよね。

泉田:うちの会社では基本的に互いのことをニックネームで呼び合うんです。それで社長のことも「健さん」と呼ばなくてはいけなくて。

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池田:僕も入社してすぐにニックネームで呼んでって言われて、動揺しましたね(笑)。

—どうしてニックネームで呼ぶことにしているんですか?

村田:年功序列になってしまうと、チームのなかで決定される事項やアイデアが平等に質で判断されるのじゃなく上の人の意見になることが多いと思うんです。そういう状況を作らないようにしたいなと。だから、リーダーやマネージャーに対しても、若いスタッフが平気で「いや違うでしょ」みたいな発言をしたりする。そういう雰囲気を作るのが大事だと思っています。

—でも、それだけフラットな関係だと、一人ひとりが自発的に動く重要性が増すように思います。

中川:うちの会社は良くも悪くも自由。自発的な行動が求められるけど、自分がやりたいと思ったことをできていれば、積極的に動けるんじゃないかと思います。

デザイナー・中川博文氏

デザイナー・中川博文氏

—フラットすぎて意見がまとまらず、時間がかかるということはないですか? 年功序列がきちんとしていると、裁量権のある上司の決断だけで動けることも多いような気もするのですが。

池田:トータルで考えると速く作業できることのほうが多いですね。リーダーが1から10まで全部決めるということは、その人が1から10まで決め終わらないと始まらないということでもあると思うんです。それよりもみんなである程度のことは決めて、あとは個人の意思決定で動く。逐一誰かの承認をもらうためのネゴシエーションとか、そういう余計な時間が減るのでスピード感を持って動けると思います。

—そういうフラットな働き方が浸透していくと、一人ひとりがフリーランスのような存在になっていくような気もします。それでもなお会社に属するメリットは、どこにあると思いますか?

泉田:みんなが集まれる場があることでしょうか。インターネットの普及によってどこでも仕事ができるという流れができたと思うんです。でも、やっぱり同じ場所で仕事をすることでしか生まれないシナジーがあるし、ちゃんとグループに属しているからこそ、職域じゃないことにもチャレンジできます。

中川:あと、フリーランスだとプロジェクトのある一端を任されることはあっても、プロジェクト全体を考慮しながら作業することは基本難しいですよね。そういう意味で、一歩踏み込んだ仕事ができるのかなと思います。

池田:それは僕も感じますね。場があることで自分が作ったものをすぐにデザイナーに見てもらって、すぐに意見をもらいながらより良いものに仕上げていくことができる。しかもプロジェクトへの参加意識が高いので、自分の作業が終わったからいいやで終わらない。プロジェクトのなかでの自分の動き方が変わってくるのかなと。今後は、フリーランスのあり方が「個人」ではなく「複数の会社に所属する」という風に変わっていくかもしれませんね。

これまでも、これからも、変わらないのは「人を驚かせたい」遊びゴコロ

—今はSONICJAMにないけれど、これから活躍できるフィールドがありそうな職種などはありますか?

村田:編集者は可能性があると思います。あとは放送作家も面白いかも。

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池田:僕はロボットエンジニアとか将来性があると思います。そういった、これまでクローズドな環境で働いていた人が活躍する場が増えていくと思います。

村田:これまで関わりがなかった職種の人たちとコラボしていくことで、まだまだ新しいことができる気がしますね。

中川:もしかしたら、何年か先になったら、自分たちとはバックボーンがまったく違う人たちがSONICJAMで活躍しているかもしれない。

泉田:最終的には我々もテクノロジーを活用して、エンターテインメントと同じように人の気持ちをしっかり動かすところまでできるようになっていたいですね。

村田:結局、「仕事が好き」ということは「人が好き」ということだと思うんです。いくら技術が進歩しても、それを活かすためには人をよく知っていないといけないし、人が好きで喜ばせたいという気持ちがないと自己満足で終わってしまいますから。

—それはこれまでのSONICJAMの歴史のなかで唯一変わっていないことであり、これからも変わらないことでもありますよね?

村田:そうですね。技術や手段は変わるかもしれないけど、根幹にあるものはずっと同じです。最新の技術を使って、人に新しい体験を提供するということは、この15年変わっていません。その根底にあるのは、人を驚かせたいといういたずらゴコロ、遊びゴコロですね。

  • Profile

    株式会社ソニックジャム

    SONICJAMはWEB・インタラクティブコンテンツの制作で17年以上の実績を積んできました。最近では、デジタルサイネージ、イベント演出、デバイス開発、IoT、VRなどの相談が増えている中、未来につながる価値あるコンテンツを提供していきたいと考えています。

    ・クライアントのブランディングとサービスをデザインとテクノロジーでサポートする
    ・クライアントと新しいサービスを開発する
    ・自社プロジェクトで新しいコンセプトを提案する

    ……など、様々なプロジェクトにチャレンジし、ポスト・インターネット時代のクリエイティブ業界をリードする存在を目指します。

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