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面白いクリエイティブの秘訣は「好き」に自覚的であること。クリエイティブ集団・スキーマの仕事術

株式会社スキーマ

株式会社スキーマ

クリエイティブ業務全般を幅広く担当する「制作ディレクター集団」の株式会社スキーマ。WEBサイトやイラストレーションなど、クリエイティブに関する幅広い制作を請け負うなかで、パフォーマー・橋本健太郎氏は趣味のサウナを活かしたサウナ企画を実現するなど、メンバーそれぞれが自身の個性を案件に活かしている点が特徴だ。

仕事と趣味や「好き」が地続きであることは、簡単なようでクライアントワークにおいては難しさもあるはず。今回は独特なスキーマの仕事のあり方について、ディレクター・なかむらしんたろうさんにお話しをうかがった。

取材通して、仕事で興味を持ったことをプライベートで、またプライベートで得た知見を仕事に活かす、スキーマならではの仕事と「好き」の好循環が見えてきた。

  • 取材:山本梨央
  • 撮影:kazuo yoshida
  • テキスト・編集:吉田薫

自由度高く働く橋本を見て、スキーマへの入社を決めた

ーなかむらさんは物流の会社で働いていたのですよね。スキーマに転職した経緯からおうかがいしても良いでしょうか?

なかむら:大学時代から、趣味で写真を撮ったりしていたこともあって、クリエイティブ業界で働きたいという漠然とした思いがありました。でも、新卒のタイミングではそういった会社に入る機会が得られなくて。まずは社会人として成立するようになってから転職しようという考えで、大きい会社であればどの会社にもある人事として入社しました。就活が終わった直後から「自分が本当にやりたいことってなんだろう」と改めて考えるようになり、いつかはクリエイティブな仕事に挑戦したいなと思っていました。

なかむらしんたろうさん

なかむら:自分なりにクリエイティブ業界にいくための方法を考えるなかで、コピーライターの養成講座に通ったり、クリエイティブ業界の人と交流したりしていて。そのなかで、「ねじ山」というイベントに、あるとき参加したんです。

「ねじ山」は、WEB業界の人たちが年に1度集まって、高尾山に登ってビールを飲むという非常にオープンな雰囲気のイベントです。AR三兄弟の川田十夢さんやデザイナーの佐藤ねじさん、Rockakuの森田哲生さんや弊社の橋本などを中心に開かれていたんですけど。毎年参加するなかで、橋本さんの仕事についてもお話を聞くようになって「WEBディレクターって面白そう」と思うようになりました。

ーイベントを通してWEBディレクターという職種に興味を持ったんですね。

なかむら:そうですね。橋本さんはWEBディレクターからプロデューサーまで職域関係なく仕事をされていて。自分の好きなものや知識をいろいろと掛け合わせて企画・制作する、みたいな働き方をしていらっしゃって、それが面白いなと思って入社を決めました。

ー面白い経緯ですね。なかむらさんご自身も幅広い仕事に携わられているんですか?

なかむら:スキーマはディレクターの集団ではあるんですけど、ディレクターにプラスアルファで何かしらスキルを持っている人が集まっていて、みんなそのスキルを活かしながら働いています。例えばイラストとデザインができるディレクターがいたり、僕の場合だとフォトグラファーのスキルがあったり。ディレクターという肩書きはありますが何でも屋さんとして働ける会社だと思っていて、そこが楽しさでもありますね。

ーちなみに、なかむらさんはカメラマンとしてもお仕事をされていますよね。スキーマのお仕事とのバランスはどうされているのでしょう?

なかむら:基本的にはフォトグラファーの仕事も会社のお仕事につながるように考えて受けていますね。営業として撮影に行った先でつながった人からお話をいただくこともありますし、僕が社員としてフォトグラファーの仕事を受けることで会社の認知やお仕事の幅を広げる効果があるかな、と思っています。

会社で受けられないような案件は、自分がプロジェクトとして楽しめるかどうかや、成長できるかどうかという点を考えて受けていますね。

プライベートと仕事がゆるやかにつながり広がっていく。好循環な関係とは

ー自由度高く働かれているんですね。先ほど橋本さんの「自分の好きなものや知識をいろいろと掛け合わせて企画し制作する」というスタイルが面白いと思ったとお話しされていましたが、なかむらさんも、お仕事に自分の好きなことや興味のあることを反映されているのですか?

なかむら:例えば、クライアントへの提案でストレートなA案とB案を出したあとに遊び心のあるC案を自由につくることもあります。僕の場合は、イラストレーターさんや写真家さんなど周りに才能のある人たちがたくさんいるので、そういったメンバーと協業できるような提案をすることが多いですね。

この日、なかむらさんが着ていたTシャツも、なかむらさんがイラストレーター・鈴木旬さんとつくったもの。行きつけの居酒屋のTシャツを自主的につくられたとのこと

なかむら:これまでのスキーマの実績や橋本のユニークな案件もあって、依頼してくださるクライアントも「スキーマにお願いしたらどうなるのかな」と期待していただいていると感じています。そういった土壌もあって、自由度の高い提案ができるんだと思いますね。

ーいわゆるC案が採用されることも多いのですか?

なかむら:採用いただくことももちろんあります。プレゼンのときに、やっぱり自分の好きなことなので、いきいきしているんだと思うんですよね。自分が本当に興奮しているアイデアを提案すると、クライアントにもそのエネルギーが伝わって「やってみようかな」と思ってもらえるんだと思います。

ー実際に自分の「好き」を詰め込んだ案が採用された例はありますか?

なかむら:「さいたまつり」がわかりやすいかもしれないです。埼玉県ってめちゃくちゃ祭りが多いんですよ。その祭をもっともっとアピールするという公示案件があり、提案して勝ち取ることができたんです。SNSなどを活用して祭りをさらに広めるために、ご提案の時点で僕の友人のイラストレーターさんにイラストを制作してもらう案を入れていて、採用していただきました。ビジュアル的なインパクトを出すこともできましたし、友人たちも楽しんで取り組んでSNSなどで拡散してくれて、プロジェクトとしてもすごくいいかたちになったと思います。

ポスター印刷もされて、いまでも埼玉県庁に飾られているんですよ。埼玉県庁の方からも数年経ったいまでも「いいプロジェクトだったね」と言ってもらえてますね。

ー素敵ですね。たくさんのイラストレーターさんが協力してくださるのは、やっぱりなかむらさんの人間力があるんだろうと思いました。

なかむら:関係づくりを意識しているわけではないですが、友人や知り合いの展示やイベントには足を運ぶようにしていますね。やっぱり、自分が頑張ってやっていることに対して、友達や知り合いがリアクションしてくれるのは嬉しいじゃないですか。そういうことはすごく大切にしています。

それに、僕は本当にクリエイターの方たちを尊敬していて。いつも彼らの作品や彼ら自身に触れるたびにそのパワーがすごいなと思っているんです。そのパワーを社会で活かすこと、そしてお金として彼らに還元していくことが、僕の一つの仕事というかやりたいことでもあって。そういうプライベートでの彼らからもらう刺激がスキーマの仕事にも活きているように思います。

ー仕事とプライベートが地続きなんですね。

なかむら:そうですね。プライベートの話なんですが、仕事でご一緒したしらたきさんというグラフィックデザイナーとソフビ人形をつくっているんですよ。しらたきさんとは、JOYSOUNDの30周年公式キャラクターのキャラクターデザインの案件でご一緒したんです。JOYSOUNDさんに提案するとき、平面のデザインだけでなく3DCGでキャラクターの動きがついたときのフォルムなども提案して。結果、20数組の提案があったなかから社内投票で「ジョイオンプー」を選んでいただけたという案件でした。

30周年を迎えたJOYSOUNDの公式キャラクター「ジョイオンプー」

なかむら:そのしらたきさんが、そもそもキャラクターがすごい好きな方で話が合って。この熱量と知見を活かしたいな、と思っていま一緒にソフビをつくっているんです。プライベートのこういったプロジェクトを通して、関わる人も僕自身の知見も増えるので、それをまたスキーマの仕事に活かしたいですね。

クライアントもスタッフも、関わった人が幸せになることを考える。ディレクターとしての矜持

ー楽しみながら仕事をしていてすごく素敵だと思いました。とはいえクライアントワークのなかでは難しいことも多々あると思うのですが、WEBディレクターとして気をつけていることや心がけていることはありますか?

なかむら:時間も予算もない、という難しい状況のときはやっぱりありますね。基本的に、商談スタートのタイミングからプロデューサー兼ディレクターというかたちで入ることが多いんですけど、「どういう体制ならできるか」「予算はどうか」といったことをその場で即座に判断するようにしています。「持ち帰って1週間後に」みたいなことがない分、制作時間を確保できるのが利点です。営業から制作まで一気通貫でできる自分の強みでもあると思っています。

なかむら:あと、一気通貫して担えることで、クライアントと齟齬が減らすこともできているのかなと思っていますね。基本的にクライアントの課題解決や要望に対して120点を出すことを目指します。でも、だからといって、制作に関わる人にスケジュールやお金面で無理を強いることはしたくない。どのくらいの予算と期間があれば、これだけできる、というのが具体的に描けるので、予算と制作期間に見合ってない要望があったときには「それは難しいけれども、こういったかたちで実現できる」というポジティブな会話ができています。

ークライアントの要望に全力で応えながら、イラストレーターさんやデザイナーさんをはじめとした制作の皆さんも守る姿勢があるんですね。

なかむら:そうですね。その姿勢を守ることはディレクターとして絶対だと思っています。仕事に関わる人全員が幸せを感じられることが大切ですね。

ーでは最後に、どういう方がスキーマに向いていると思いますか?

なかむら:個人で仕事をしていたけどチームでも挑戦してみたいという方や、デザイナーとしての経験を活かしつつディレクション業務にステップアップしたい方などが向いていると思います。仕事内容としては大きく変わらないかもしれないですが、仲間と相談し合える環境やパートナーさんとのつながりが増えると思うので、より楽しく働けるんじゃないかなと。

あと若手の方で、デザイナーやディレクターとして経験は浅いけど、「いろんなことをやってみたい」「企画から入りたい」という意欲のある方もいいのではと思いました。いろんなことに挑戦させてもらえる自由な会社なので、好奇心旺盛な方は向いているかもしれないです。

Profile

株式会社スキーマ

株式会社スキーマではホームページの企画・制作・コンサルティングやスマートフォンアプリの UI / UX デザインなど、デザインを軸としたクリエイティブ業務に携わっています。制作ディレクター集団として、時代の動きに応じたクリエイティブを追求。機動力・行動力を最優先に、課題解決のためのデザインを提案します。

これまでにブランドサイト、コーポレートサイト、プロモーションサイト、採用サイトなど多様なホームページを制作した実績があり、コンテンツ更新が容易にできる CMS の実装にも対応。キャラクターデザインやイラスト制作も行なっています。

2023 年より埼玉県横瀬町に「五感拡張型クリエイティブ制作室 TATELab.(たてラボ)」を開設し、木材加工プロダクトのデザイン販売をはじめました。

コーポレートサイト:https://llschema.com/
TATELab.(たてラボ):https://tate-lab.com/

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