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姉妹クリエイターRIBBONが唯一無二の「世界観」で切り開こうとする、クリエイティブの新時代

2023年、アートディレクターのAyana Inoue(以下、Ayana)と、ビデオディレクターのMana Inoue(以下、Mana)の姉妹によって設立された株式会社RIBBON。

彼らはグラフィックデザイン、ビジュアルアート、コラージュアートの表現も得意とし、2年の間に数々のインパクトのある仕事を手がけてきた。RIBBONが手がける作品は、独特な配色の世界の中でユニークにモチーフを使い、その印象はどこかシュールでもある。

「かっこいいと思うものを世に出して、時代をつくる存在になっていきたい」といった志を持ち、ますます勢いを加速させているRIBBON。彼らのこれまでの歩みをたどりながら、唯一無二の世界観を生み出す制作スタイルやクリエイティブの強みを紐解いた。

  • 取材・テキスト:宇治田エリ
  • 編集:吉田薫
  • 写真:Haruta
  • スタイリング:大里梨絵
  • アートワーク:RIBBON

好きなことに没頭していた青春時代を経て、クリエイティブの世界へ

―それぞれ、どのようなきっかけでクリエイティブの仕事に興味を持つようになったのでしょうか?

Ayana:小学生の頃からマンガを読むことと絵を描くことが好きで、ノートにマンガを描いていたんです。けれど、ストーリをつなぐ途中のコマを描くのはあまり好きじゃないなと気づいて。1枚でその物語の世界観が伝わるような、完成された絵をつくる方が好きになっていったんです。

クリエイティブの仕事に本格的に興味を持つようになったのは、大学でメディア芸術を学ぶようになってからですね。いろいろなクリエイティブの仕事があることを知ると同時に、自分は何がしたいだろうと考えるようになって。そこで、1枚画でかっこよく伝えることができるグラフィックデザイナーの仕事に可能性を感じたんです。

大学卒業後は、大阪のデザイン専門学校で勉強しました。そのなかで自分が好きなテイストも見えてきて、いわゆるミニマルでカチッとしたデザインよりも、ミクストメディア的なビジュアルアートの表現に魅力を感じるんだなと気づきました。アート要素が強い作品を手がけるフランスのデザインユニット「M/M(Paris)」の仕事が好きでしたね。

卒業後は「とりあえず、働くなら東京だ!」と思って(笑)。東京のデザイン制作会社で働き始めたという感じです。

Mana:私がクリエイティブの仕事に興味を持つようになったのは高校の頃です。軽音楽部でバンドをやっていたので、さまざまなミュージシャンのMVを意識して観るようにしていたんですけど、「MVってこんな遊びがある映像をつくれるんだ。私もつくってみたいな」と思って。

それで、就職先としていろいろな映像制作会社を調べていくなかで、「かっこいいな」と思う会社と出会い、「絶対にここに行こう」と決めました。卒業後、念願かなって入社できることになり、PMから映像の仕事を始めたんです。

広告と映像を一貫した世界観でつくりたい。「RIBBONらしさ」が生まれた背景

―お二人それぞれものづくりに携わるようになったとのことですが、自分の世界観を確立するまでに、どういう経験を積まれたのかが気になりました。就職後はどういったお仕事や制作をされていたのですか?

Ayana:最初に入った会社でベーシックなデザインの仕事の経験を積みました。そこで1年働いたあと、ファッションや音楽系の仕事をしているアートディレクターのもとで、撮影やディレクションの手法を学びながら2年ほど働いて。そのアートディレクターの下で働くことを選んだのは、写真も込みでいいビジュアルをつくれるアートディレクターになりたかったからです。

その後、独立してフリーランスになってからも、積極的にカメラマンやスタイリストとの作品撮りに参加し、失敗もたくさんしながらディレクションの経験を積んでいきました。あと、友達のバンドのCDジャケットのデザインなどもしていましたね。

Ayanaさんがアートディレクターとして参加した作品撮り

Ayana:作品撮りなどを通じて、自分がやりたい表現、やれる表現をストックしていました。当時はいまほど自分の色はそこまで出ていなかったと思うけれど、とにかくいろいろとチャレンジして、自分なりの表現を探していた気がします。

Mana:私は1社目がPMの仕事だったので、自主制作をするような時間がほとんどなくて。「このままじゃダメだ、作品を作らないと」と思って、約2年でディレクションの勉強をするために転職し、映像ディレクターの下で働くことにしたんです。そこでようやく自分の作品を制作することができたので、個人的にミュージシャンに連絡したりして、MVを中心に作品をつくるようになっていきました。

とはいえ、当時は実写を撮影する時間まではなかったので、最初は手製でつくれるコラージュの手法で映像をつくっていました。そこから自分らしいコラージュアートのスタイルができていったと思います。

独立してからは、ありがたいことに映像制作のお仕事をたくさんいただくことができて、その流れで映像に使うグラフィックやロゴが必要になったときはAyanaにお願いしていました。

NHKみんなのうた BYE-BYE by 浜崎あゆみ ©︎NHK/イノウエマナ(RIBBON)

―自然な成り行きで一緒に仕事をするようになっていったのですね。

Ayana:そうですね。私もアートディレクションの仕事をしていくなかで、徐々に「広告と映像で一貫した世界観でつくりたい」といった依頼をいただくことが増えていって。

トータルで世界観をつくれることが何よりも大切だと考えていたので、世界観が共有できるような作品はManaに依頼するようになりました。そういった経験の積み重ねが、「映像もグラフィックも、同じ世界観でつくれる」というRIBBONらしい強みになっていったのだと思います。

役割分担は臨機応変に。セッションのように進む、作品づくりのプロセス

―お二人で手がける作品は、どのように連携しながらつくられているのでしょうか?

Ayana:例えば、最近手がけた映画関連の案件は、クリエイティブディレクションとアートディレクションの依頼がきて、映像演出も含めてやってほしいという内容だったので、私が核となる世界観やコンセプトをつくり、映像の演出はManaが手がけました。

Mana:映像を組み立てるにあたって、Ayanaがつくったコンセプトや設定資料をもとに、自分なりにそのコンセプトをさらにブレイクダウンしたり拡張させたりして、絶対に入れたいカットや演出を考えてから、構成を立てていきましたね。

一方でGLAYのCD / DVDのジャケット制作は、実は私がGLAYのファンということもあり、こちらから積極的に営業したことがきっかけでスタートしました。

依頼の内容は、私がつくる映像のコラージュのようなアートワークでCDジャケットをつくりたいというものでした。クリエイティブディレクションやコラージュアートは私、パッケージのアートディレクションとデザインはAyanaにお願いするというかたちで制作しています。

『GLAY HC episode 3 HIGHCOMMUNICATIONS TOUR 2023 -The Ghost Hunter- in Port Messe Nagoya』Creative Director & Collage Art : Mana Inoue (RIBBON)、Art Director & Graphic Designer : Ayana Inoue (RIBBON)

―キャラクターやアーティストが持つコンセプトや世界観と、自分たちが大切にする世界観を融合するときに、どういったことを重視していますか?

Ayana:RIBBONに依頼がきている時点で、私たち特有の世界観をもった作風が求められていると思うので、クライアントと話し合いながら自由につくりたいものを提案して、調整していくようにしています。要するにセッションのような感じで、アーティストやキャラクター、商品が持つ魅力を捉えながら、「こうしたら面白そう」というアイデアをぶつけていくんです。このやり方のほうが楽しみながらつくれるし、クライアントにも喜んでいただけているなと感じます。

くじら『エンドロール』MV

色づかい、コンセプトワーク、拡張性ーーRIBBONの世界観をかたちづくる二人の個性

―お互いのクリエイションを見ていて、どのようなところに魅力を感じていますか?

Mana:Ayanaがつくるものは、色づかいに他にはない個性があると思います。それに、グラデーションの使い方もうまい。だから渋い色を使っているのに、鮮やかでかっこよくて、男女問わず受け入れられるようなビジュアルになるんです。それがRIBBONらしさにもなっていると思っていて。

Ayana:そういう意味では、自分が持つオタクとか厨二病っぽい陰の部分と、地元にあったヤンキーっぽさやギャルっぽさといった「派手な文化」が、馴染みながら色づかいとして出てきている気がしています(笑)。

KID PHENOMENON『Wheelie』ジャケット。アートワークとアートディレクションをAyanaさんが手がけた

Mana:あと、ディレクションのスタイルも面白いです。プランを考える時のキーワードが、ふんわりとしたありきたりな言葉じゃなくて、それひとつで目指したいところがわかるようなコンセプトやストーリーをバシッと出してきてくれるんですよね。だからこちらも映像のアイデアを膨らませるのが楽しいですし、どういう映像をつくるべきかも考えやすくなるんです。

Ayana:たしかに、企画を考えるときは設定やストーリーから考えているかもしれない。ワードをバーっと書いて、たとえばコーヒーがテーマだとしたら、そこからお昼の時間、香り……と、連想をつづけていって、それらのキーワードをもとに「こうしたら面白いんじゃないか」と紡いでいく感じで進めていますね。

Manaのすごいところは、作品の持つキーワードやコンセプトを的確に理解してくれて、世界観をぐっと拡張してくれるところです。オタク気質でキャラクターやアーティストに対する理解度も深いので、自分たちが目指す世界観をつくりながら、キャラクターやアーティストの魅力も120%でひきだす映像づくりができるのがいいなと思っています。アーティストやキャラクターのファンの方にも、喜んでいただけているなと感じますね。

あともう1点、映像のなかでも特にMVをつくるうえでは、カット割りのうまさが作品に活かされていると感じます。元々軽音でドラムをやっていたからなのか、気持ちのいいところでカットを入れてくれて。音楽と映像のグルーヴ感が引き出されているのはManaの映像の強みだと思いますね。

水曜日のカンパネラ『幽霊と作家』Lyric video。クリエイティブ / ビデオディレクター / 3DCG / 構成をManaさん、アートディレクション / アートワーク / 3DCGをAyanaさんが担当した

「RIBBONっぽい」を世の中に浸透させていく。今後の目標とは?

―今後、携わる作品が増えるにつれて、チームで仕事をする機会も増えるかと思います。それぞれ、どういった方と働きたいですか?

Ayana:RIBBONがつくる世界観に共感し、どういう風にデザインをつくっているんだろうと興味を持ってくれる人と仕事ができたらいいなと思いますね。

Mana:たしかに。まずはRIBBONのクリエイションが好きで、作ることが好きな人とご一緒できたら嬉しいです。

RIBBONが手がけた『Greedy Greedy feat. imase』MV。Ayanaさんが「#世界クロミ化計画」プロジェクトのアートディレクターとして広告のデザインを手がけており、プロジェクトの一環でMVを制作する際にManaさんもジョインしたとのこと

―RIBBONでは映像からグラフィックまで、メディアを問わず作品を手がけていらっしゃいますが、今後挑戦したいことなどがあれば教えてください。

Ayana:ひとりでやっていた頃、静止画のアートディレクションだけでは限界があるなと感じて、媒体を広げていこう、それならばManaと一緒にやれば面白いことができるんじゃないかと思って、一緒にRIBBONを立ち上げました。

実際にこの2年間で、仕事の幅も大きく広がったと思います。これからも自分達の強みを活かしながら、やりたい仕事にどんどん挑戦していきたいですね。

Mana:これまでも、「RIBBONの仕事を見たことをきっかけに、一歩踏み出すことができました」といったメッセージをいただくことがあって。誰かの人生に関われていることに嬉しさを感じますし、自分達がつくるものが一番かっこいいと思っているからこそ、もっと世の中に影響を与えていけるように「RIBBONっぽさ」を広げていきたいですし、ひとつの時代をつくっていく存在になれたらいいなと思います。

Profile

株式会社RIBBON

株式会社RIBBONは、2023年にアートディレクター / グラフィックデザイナー / ビジュアルアーティストのAyana Inoueと、ビデオディレクター / コラージュアーティストのMana Inoueによる姉妹によって設立された、東京を拠点に活動するクリエイティブチームです。

企業および商品のブランド戦略立案、広告などのアートワーク制作、CMやMV、ファッションのブランドムービーといった映像制作など、各々の表現手法に留まらず、個々の感性と技術を共鳴させることで新たな表現を展開し続けています。

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