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徹底的なリサーチで、誰かの思いにとことん寄り添う。MEETINGに聞く「本質的な処方箋」の見つけ方

株式会社ミーティング

株式会社ミーティング

たくさんのモノやコトに溢れ、膨大な情報のなかから消費者が商品を選ぶ時代。そんななかで、その物事の背景や意味を物語として見せるストーリーブランディングを得意とし、「本質的な価値」を伝えようとしているのが、MEETINGだ。

「物事に、物語を。」という言葉をステートメントに掲げるMEETING。広告デザイン会社でコピーライターをしていた三村恵三さんが独立し、2016年に立ち上げた。全国の企業や地方自治体の課題に寄り添い、ストーリーブランディングを軸とした戦略構築を武器としながら、ウェブサイトからCM、動画、コミュニケーションツールといった幅広いアウトプットまで手がける。

本記事では、代表の三村さんと執行役員兼クリエイティブディレクターの木下博司さんを取材。各種アワードも受賞したプロジェクトを例にとりながら、同社が考えるストーリーブランディングの本質を紐解く。

  • インタビュー・テキスト:原里実
  • 撮影:西田香織
  • 編集:今川彩香

INDEX

「人や企業には、必ず『物語』がある」。クライアントの悩みの本質にとことん向き合う

—まずは三村さんがMEETINGを起業したきっかけから、おうかがいさせてください。

三村:ぼくはもともと大学を卒業してから、広告デザイン会社に入社してコピーライターとして働いていました。最初の頃はポスターなどのコピーの仕事が多く、『M-1グランプリ』や、NHK朝の連続テレビ小説などのポスターのコピーを書いたこともあります。最終的に1本に決まるまでに、何百本と案をつくることもざらでした。そうした仕事をしながら、「言葉の価値」を実感したんです。

そこから時代が下るとともに、企業からはブランドコンセプト、地方自治体などからは地域の「見せ方」などについて相談を受ける機会が増えてきて。言葉の価値を信じ、言葉でもっと世の中のためになることができるんじゃないかと考えるなかで、自分自身の興味も広告プロモーションからブランディングへと移っていきました。

思いを持って取り組んでいる人や企業には、必ず「物語」があるものです。この仕事をしていると、せっかくよいものづくりや活動をしていても、世の中に十分に価値を伝えることができていない、と感じる企業や自治体がたくさんあります。それを物語の力で可視化することができればという思いで、「物事に、物語を。」という言葉をステートメントとして掲げ、日本全国津々浦々のクライアントのお手伝いをさせていただいています。

三村 恵三。株式会社ミーティング代表取締役。クリエイティブストラテジストとして様々な企業、自治体と多くのプロジェクトを推進する。経営戦略からクリエイティブまで一貫したブランディングの仕組みづくりに携わる機会が多く、新規事業開発のサポートでは、サービスやプロダクトなど、「モノ」や「コト」づくりにこだわらないアプローチで多数実装中。また、新規事業開発のワークショップを踏まえた講師活動や企業の新規事業チームへのコンサルティング、大学での講義なども積極的に行う。MBAホルダー。

—少数精鋭ながら、全国の企業や自治体と付き合いがあるとのことですが、自社が選ばれている決め手はなんだと感じていますか?

三村:クライアントの悩みにとことん寄り添い、それを解決するために伴走する姿勢を評価いただいているのかもしれません。僕自身の肩書きも「クリエイティブストラテジスト」としているのですが、ウェブや映像、キャンペーン施策などといった「戦術」にこだわらず、もう一層上の視点から課題と向き合い、「戦略」を組み立てることに重きを置いています。そのため、戦略から導き出した具体的な施策は、その時々に適した社外のプロとチームを組んで進めることがほとんどです。

最近、医者の知人と話していて思ったのですが、「ディレクター」と「ドクター」って似ているなと。お医者さんって、患者が「風邪だと思います」と訴えてきても、一度固定観念にとらわれず、まっさらな視点で見たほうが、結局は患者のためになるじゃないですか。それと同じで、僕らの仕事もクライアントの課題と真摯に向き合い、本質的な処方箋を見つけていくことが大切なのではないかと思っています。

木下:僕自身がMEETINGにジョインしたのも、まさにこの姿勢に共感したからでした。こちら側の「できること」を押し売りするのではなく、クライアント側の困りごとやあるべき理想を基準として、それを解決するために社外のプロと組んだり、自分自身が勉強して新たなスキルを手に入れたりしながら、できることを拡張していく。これがMEETINGらしさだと考えています。

木下 博司。株式会社ミーティング 執行役員。クリエイティブディレクター/ワークショップデザイナー。リクルート、H’sを経てMEETINGへ。新しい局面を迎えるクライアントのメッセージ開発やコミュニケーションデザインに従事。クリエイティブディレクターとして大学の新学部・新学科のコンセプト開発、企業の経営理念、パーパスの策定、新製品、新ブランドの立ち上げに多数関わる。主な受賞歴に日本BtoB広告賞、グッドデザイン賞など。

「MEETIGらしさ」とは?箕面ビール「BATON」——つくるプロセスを見せ、ファンを増やす

—MEETIGらしさについて、具体的なプロジェクトを例に、さらに教えてください。

三村:僕たちらしい仕事になったな、と感じているプロジェクトのひとつは、大阪にあるビールメーカー・箕面ビールの「BATON」という商品の仕事です。発端は2020年、コロナ禍によって飲食店が休業に追い込まれ、お酒の発注が減ったこと。そこで箕面ビールは「いままで時間がなくてできなかったことを、この機会にやろう」と、通常のビールづくりのフローに木樽での熟成・瓶内二次発酵などの手間暇を加えた、世界的に見ても珍しいビールをつくりました。

ただ、珍しいゆえに価格も一般的なものと比べると高価で、どのように売り出していったらいいのかわからない……と、僕たちに相談してもらって。商品開発から、コンセプトづくり、ネーミング、パッケージデザインなど、丸ごとお手伝いしました。

「BATON」は、『日本パッケージデザイン大賞2023』アルコール飲料部門で金賞を受賞した。

—依頼を受けて、まずは何からスタートされましたか。

三村:どの案件でも同じですが、まずは徹底的なリサーチからはじめます。箕面ビールが、いまクラフトビールのなかでどんなポジションにいて、どんな特色があるのか。また、クラフトビールに限らずビール全体や、今回の商品と競合しそうなワインなど、ほかの酒類まで広げると、膨大な数の商品が世の中にはあります。

そこまで含めた徹底的なリサーチで、全体像を解像度高くインプットすることをとても大事にしています。そのなかで、発酵アドバイザーや発酵マイスターの資格もとりました。

—すごい徹底ぶりですね。

三村:「BATON」の仕事に関連して倉庫を見せていただく機会もあったのですが、そのときに、全国に配送されていく荷物にいつも同じような製品紹介のパンフレットを入れていることに気づいたんです。それでふと、「これはファンが本当に知りたい情報なのか?」と疑問に思いました。そこから、商品開発の裏話や、工場で働く方々などの隠された「物語」を伝えることを提案し、『読む、箕面ビール』というタブロイド紙の発行につながっていきました。

また、その紙面制作のために継続的なやりとりをしているなかで、ウェブサイトに関する課題もご相談いただき、改修をお手伝いすることに。「BATON」からはじまり、いまはまさに箕面ビールのクリエイティブストラテジー全般を担う立場として、深くお付き合いさせていただいています。

—『読む、箕面ビール』の事例は、まさに先ほどの「物語を可視化する」というお話ですね。

三村:そうですね。最近はアイドルのオーディション番組なども人気を博していますが、世に出るまでのプロセスを見せることでファンがつく。物語の持つ普遍的な力ですよね。

また、ウェブサイトのコピーにも書いているのですが、今後は箕面ビールを「クラフトビール」ではなく「ローカルビール」としてより多くの方に認識してもらえる状態をつくりたいと考えていて。いま、クラフトビールは大変人気ですが、それゆえに大手メーカーも「クラフトビール」を名乗る商品を出すなど、レッドオーシャン化しています。

そんななかで箕面ビールは、地元産の素材にこだわっていたり、特別なときに限らず毎日飲めるビールでありたいという思いを持っていたりしますが、これがまだまだ伝わっていない。そこで、「ローカルビール」という新しい言葉に「人の手によって大切につくられたビール」「毎日飲みたいデイリービール」という意味を込めつつ、レッドオーシャンからブルーオーシャンに漕ぎ出していく。

言葉によって、こうした新たな「文脈づくり」をすることこそ、ストーリーブランディングの本質であり最大の価値だと考えています。

『グッドデザイン賞』受賞。「インクルーシブキャンプ」——全国のバリアフリーにまで影響を広げて

—木下さんが携わったプロジェクトについてもお話を聞かせてください。

木下:僕が担当しているプロジェクトに、2025年に『グッドデザイン賞』を受賞した「インクルーシブキャンプ」というプロジェクトがあります。医療的ケア児(※)と家族が当たり前にキャンプに行ける社会をつくるプロジェクトなのですが、もともとは重度障がいのあるお子さん向けのデイサービスなどを展開する一般社団法人Buranoから、新たな施設をつくるためのクリエイティブディレクションの依頼をしてもらったことからはじまりました。

Burano理事の秋山政明さんは、ご自身のお子さんが医療的ケア児ということもあり、並々ならぬ熱意を持った人なんです。普段は自然のなかで遊ぶ機会が限られた医療的ケア児に、学びやアウトドアの機会を増やしたいという思いから、当初は新しくつくる施設内の庭でキャンプをできないか、といった構想が持ち上がりました。

ただ、「キャンプ場は世の中にたくさんあるのに、医療的ケア児だからといって施設内の庭だけでよいのだろうか」「それなら、どんな人でもキャンプができる世の中をつくる活動をしよう」という話になり、インクルーシブキャンプのプロジェクトへとつながっていったんです。

※医療的ケア児とは、医学の進歩を背景として、NICU(新生児特定集中治療室)などに長期入院した後、引き続き人工呼吸器や胃ろう等を使用し、たんの吸引や経管栄養などの医療的ケアが日常的に必要な児童のこと。

—秋山さんの強い思いに、木下さんが密に伴走してきたのですね。

木下:僕はクリエイティブディレクターとして、秋山さんの思いを伝わりやすい言葉にしたり、仲間集めをしたりするお手伝いをしました。仲間集めでいうと、アウトドアギアを展開するブランドであり全国でキャンプ場を運営するスノーピーク(Snow Peak, Inc.)さんがこのプロジェクトに共感くださり協業できたことが非常に大きかったと思います。

医療的ケア児とその家族に特化したキャンプガイドブックをつくったり、ユーザー同士で体験談やノウハウを共有できるウェブサイトをつくったりと、三者で協働し、さまざまな取り組みを行ってきました。

スノーピークと協働できたことの大きな意義のひとつは、マジョリティ向けにつくられているキャンプギアやキャンプ場に関して、医療的ケア児やその家族がメーカーに直接フィードバックできる関係をつくれたことです。これによって、全国に流通する製品や場がバリアフリーに変わっていく。

その事実だけでなく、医療的ケア児が世の中を進化させてくれる素晴らしい「スーパースター」なんだと、あらためて光を当てることにまでつながっていけば、と考えています。

「丸く収めない」アウトプットをするためには?クライアントとある意味「共犯者」になること

—クライアントの困りごとや思いに寄り添いながら、それを社会に届くものにしていくために、大切にしていることを教えてください。

三村:ひとつには、クライアントから見た当事者目線と、彼らから見えていない消費者目線を行き来しながら、できるだけ多くのアイデアを出すことを大切にしています。そして10個アイデアが出たら、絞り込んでからではなく、10個すべてクライアントに共有する。ある意味、クライアントと「共犯者」にならないと、世の中にインパクトを与えるような「丸く収めない」アウトプットはなかなかできないと思います。

また、「視点・視野・視座」の3つもつねに考えていますね。まずは軸となるアイデアや言葉など、人と違った「視点」がなければ、なかなかブルーオーシャンに漕ぎ出すことはできません。そして広い「視野」を持ち、世の中のさまざまなプロフェッショナルとどう組んで何をやるべきかを考えること。最後の「視座」が、「自分たちのやろうとしていることは、社会にとってどのような意義があるのか」を考えることです。

—プロジェクト内に閉じず、社会との接続まで考えて仕事ができる環境は、働く人にとっても大きなモチベーションになりそうです。

三村:僕たちが仕事を受けるべきか考える際の基準としていることが3つあるのですが、そのうちのひとつにも「『ピース(平和)』かどうか」という観点があります。残りのふたつは、「僕ら自身や消費者を含めた関わる人たちが『ラブ(愛)』を持てるか」、そして「僕らが携わることで『ファン』がつくのか」。「ピース」「ラブ」「ファン」で頭文字をとると「ピラフ」になるので、社名を「ピラフ」にしようかと考えていた時期もありました(笑)。

「人に会い続けたい」。第一に、誰かの思いや悩みに寄り添うことを大切にして

—最後に、どんな人と働きたいか教えてください。

三村:いちばん大切なのは、人が好きであることですね。クリエイティブにおいては自己表現も大事ですが、僕たちが大切にしているのは、第一に誰かの悩みや思いに寄り添うことです。MEETINGという社名も、「会う」を意味する「MEET」に「ING」をつけて、「人に会い続けたい」という思いでつけたものなんです。

大人になってから、誰かと本当に共感し合うって、やっぱり仕事を通じての機会が圧倒的に多いと思うんです。そういう幸せな出会いのために、仕事ができるといいなと。そして仕事がうまくいくときって、共感する人と出会えたときだとも思います。

それから、いろいろなことに興味を持つことも大事だと思います。極端な話、死ぬこと以外の経験は全部やったほうがいいと思っているので(笑)、駅からオフィスに来るときはできるだけ別の道を歩いたほうがいいし、毎日500円の弁当を買うくらいなら自炊に変えてお金を貯めて、3,000円のランチを食べたほうがいい。

そこから得られた経験や知識が、必ず役に立つ仕事だと思っています。このAIの時代、「答え」は簡単に出ますから、「問い」を立てる力が大切。たとえば椅子メーカーから「椅子のデザインを考えてください」といわれたときに、「何のための椅子なのか?」を考えることからはじめられるかどうか。

背もたれのかたちや肘掛けの有無の議論に終始するのではなく、「座ること」が目的なら、「バランスボールでもいいのでは」という発想もありえるかもしれない。さまざまな角度から本質を問い直すためには、知識と経験、それを追い求める好奇心が重要です。

木下:そうした本質を大切にしながら、「欲張りでミーハー」でいることもポイントかもしれないですね。「欲張り」というのは、「こんなことができたらベスト」という理想に対して貪欲に、誰かとチームを組んだり、自分のスキルの幅を広げたりしながら追求していく姿勢。時代に対する「ミーハー」な感度を持ちながら、全員が自分の「いまできること」に対して、つねにプラスアルファを求めているような組織でいられるといいんじゃないかなと思います。

三村:いま在籍している社員も、コピーライターやデザイナー経験者だけではなく、飲食やバックオフィスなどさまざまなバックグラウンドを持つメンバーが集まっています。「チーム医療」じゃないですが、ひとつの物事を異なる視点から見ることで、新たな気づきが得られるはず。クライアントワークはもちろん、自社プロジェクトもいまは僕が立ち上げたひとつだけですが、メンバーそれぞれが新規事業を立ち上げるような活気ある組織にできればいいなと思っています。

Profile

株式会社ミーティング

私たちは、お客さまの事業開発・ブランディングをデザイン視点で支援させていただくブランディングデザインファームです。

広い意味で「もの、こと、気持ち」をデザインしています。

会社名はMEETING。

人と出会い続ける「MEET+ING」の姿勢で、新しい「価値」をつくることをミッションにしています。

私たちは「クリエイティブ・ストラテジー・カンパニー」として、さまざまな分野・領域で課題解決のために汗を流す方々と対峙し、「クリエイティブ × ストラテジー」の力で「ブランディング」を行う会社です。

【プロダクションでもなく、コンサルでもない】
私たちはつねに「ブランディング」という視座で仕事をしています。

ものをつくって終わるのではく、ブランド価値を高めるために必要なものを継続的にお客さまと話し、一緒に走りながらブランドをつくり、強くしていくことを大切にしています。

だから、ものをつくって納品しておしまい! という仕事は、私たちらしい仕事ではありません。

また戦略だけをつくって、実施はできない、というのも私たちらしい仕事のあり方ではありません。

MEETINGの仕事は、企業理念の策定、新規事業の立ち上げのサポート、広告制作、WEB制作、映像制作、イベントの企画・運営、メディア運営、PRに至るまで「そこまで首を突っ込みますか」というくらいあらゆる範囲におよびます。

それらはすべて、人に出会いつづけ、課題と向き合いつづけた結果、ブランディングを行うにあたって自然と増えてきた財産とも言えます。

悪くいえば何者かつかみどころのない会社。

よくいえば、一定の姿に止まらず会うたびに姿を変えながら変化している会社です。

クライアントは具体的には、企業、大学、自治体など。

【MEETING × 地方自治体】
■U30 CITY KOBE / UNDER THIRTY CITY KOBE
夢の実現に向けチャレンジする若者たちの姿をムービーで紹介。神戸市の若者たちを勇気づけ、またその魅力を発信するプロジェクト。ムービーの楽曲は神戸市在住の音楽プロデューサー・tofubeats氏によるオリジナル。このプロジェクトのプロデュース、クリエイティブディレクションを行っています。
http://www.city.kobe.lg.jp/information/public/media/u30citykobe/

【MEETING × スポーツ】
■HARUKAS SKYRUN
世界中で開催されているスカイマラソン(ビルを垂直に登るマラソン)の日本上陸をプロデュース。第一弾を日本で一番高いビル・アベノハルカスで開催。2017年は世界シリーズ本戦に昇格。日本でのライセンスは弊社が持っています。
https://sjc-kaidan.jp/scc/

【そのほかにMEETINGを行っているプロジェクト】
・MEETING × 道具
・MEETING × 地域食材
・MEETING × 自転車
・MEETING × 18歳の夢
・MEETING × 企業ブランディング
・MEETING × 健康づくり
・MEETING × 医療福祉の未来
・MEETING × 地域活性化

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