未経験から映像編集のプロに。レスパスビジョンで若手が「楽しく」育つわけ
- 2019/12/16
- FEATURE
PR
創業30年を超えるレスパスビジョンもまた、高い技術を持つポスプロの一つ。経験豊富な技術者が数多く在籍し、高難度な作業にも対応できることから業界関係者の厚い信頼を得ています。
部署の垣根を超えて技術を学べる風土があり、たとえ未経験でも早い段階で活躍することも可能という同社。今回は現場で活躍する若手スタッフ3名に、仕事の魅力や職場環境についてうかがいました。
- 取材・文:榎並紀行(やじろべえ)
- 撮影:種子貴之
- 編集:服部桃子(CINRA)
「専門学校より100倍学びになる」。成長の理由は、クリエイターによるプロ思考が学べるから
—みなさんは入社して6年以内とうかがいました。現在どのような仕事をしているのですか?
呉:映像関係の専門学校から新卒で入社し、いまは映画やドラマのVFX編集(現実世界では再現できない現象を表現するために用いられる視覚効果技術)を担当しています。企画段階の打ち合わせから、撮影現場でVFXカットを撮る際の立ち合い、撮影後の編集まで、ひととおり行っています。
臼杵:私は現在、オフライン編集と呼ばれる映画やドラマなどの編集作業を担当しています。大学はプログラミング系でいまの仕事とまったく関係なかったんですが、映像に関する仕事がやりたくて入りました。
大西:カラーグレーディングという作業を担当するカラリストとして働いています。監督やカメラマンと相談しながら、映像のトーン、色合いを決めていく仕事ですね。ドラマやミュージックビデオの仕事が多いです。
ぼくも大学で映像の勉強をしていたわけではなく、入社前はワードやエクセルくらいしか使ったことがない状態でした。
—いずれも作品の完成度を左右する重要な役割ですね。大西さん、臼杵さんは映像に関する知識がほぼゼロの状態で入社したことになりますが、どうやって仕事を覚えましたか?
大西:入社後しばらくはメインの担当者にサブとしてつき、仕事を振られます。データのコピーなど細々とした仕事から始まり、できることを少しずつ増やしていった感じですね。
でも、手取り足取りという感じではありませんでした。基本的には先輩たちの仕事を「見て覚える」。ただ、こちらから聞けば応えてくれない人はいないので、積極性さえあれば上達も早いと思います。特に、ぼくが入った頃は部署もなかったので、へんな垣根みたいなものがなくて、誰にでも気軽に相談できる雰囲気でした。
—臼杵さんはいかがでしょう。
臼杵:大西とほぼ一緒ですが、まずはアシスタント業務で基礎的なことを覚えました。先輩が編集した映像を見て、かっこいいと思ったものを真似てみたり、自分が興味を持った技術を取り入れてみたりしながら、わからないことがあればすぐに質問をして。オフライン編集はフリーランスの方も多いのですが、会社員だと一緒の時間を過ごすことが多いため、経験豊富な先輩方にすぐ聞けるのがメリットですね。
—一方、呉さんは専門学校で映像を学んでいたとのことで、お二人よりはアドバンテージがある状態で入社されたわけですよね。
呉:そうですね。ただ、学校で得た知識を実際の制作現場で活かせる機会は少なかったです。会社に入ってからのほうが、100倍くらい学ぶことがありましたね。
というのも、技術自体はソフトの性能によるところが大きいので、それよりも考え方やセンスのほうが重要なんです。頭のなかにゴールがないと、どんなツールを使ってもいい映像にはたどり着かない。それって、実際にプロの作品にたくさん触れることでしか身につかないと思います。
—そういう意味で、高い技術を持った先輩が身近にいるのは大きなメリットですね。
呉:はい。同じ映像作品でも、人によって異なるかっこよさがあります。それに、3Dが得意な人、モーショングラフィックが得意な人と、それぞれに秀でているものがある。さまざまな技法や作品のなかから、自分が目指したい方向性を取捨選択できるのはありがたいです。
—臼杵さんは、先輩たちから教わったことで何が印象に残っていますか?
臼杵:技術よりは、クライアントとの対応の仕方ですね。仮に監督と意見がぶつかったとしても、自分の意図をしっかり伝えるというか。言われたことをそのままやるのではなく、一緒によりよい作品をつくっていく先輩の姿勢はとてもかっこいいと思いました。
—自分なりの意図というのは、どのようなことでしょうか?
臼杵:たとえば、ドラマだと同じ芝居をいろんなアングルで撮影するので、どの素材をチョイスし、どうつなぐかで印象やストーリーの文脈がまるで変わってくるんです。ですから、「この場面はこんな印象を持たせたいから寄りのカットにしたい」ということをしっかり説明できなくてはいけない。私も最初は怖くてぜんぜん言えませんでしたけどね(笑)。
—なるほど。大西さんはいかがですか?
大西:仕事に対する姿勢を学ぶことが多かったと思います。時間ギリギリまで粘ってクオリティーを追い求める人もいれば、きっちり計画を立てて効率的に終わらせる人もいる。人により仕事のスタンスが違うので、それぞれの先輩から学んでいくのがおもしろいです。
ポスプロの仕事は「遠方の家族を喜ばせられる」
—これまでに手掛けた仕事で、印象に残っているものを教えてください。
呉:たくさんありますが、初めて映画の撮影現場に立ち会ったときは楽しかったですね。以来、なるべく時間をつくっては現場へ足を運ぶようになりました。刺激も受けますし、気分転換にもなる。何より、現場で撮影方法について話し合うことで、一緒に作品をつくっている実感を得られますから。
—現場に行くことによって、その後の編集作業にも何か役立つことはありますか?
呉:もちろんです。現場に立ち会うといっても、ただ見学しているだけではなくて、構成やVFXカットの撮影方法について指示を出したりします。また、CGを合成するカットは、持参のカメラでもすべて記録しておくんです。そのデータをもとにあらかじめCGをつくっておくと、実際の映像が届いたときに合成をしやすい。合成が多い映画の現場は、ぼくたちもかなり忙しいですよ。
—臼杵さんはいかがですか。印象深いお仕事は?
臼杵:最初にメインで担当したグルメドラマですね。帰省したときにたまたま親がそれを見ていて、エンドロールで私の名前が出たのでびっくりしていました。普段どんな仕事をしているか絶対に理解していないと思うので、わかりやすく家族を喜ばせられるのも魅力の一つかもしれません。
ゴールデンタイムのドラマを担当したときは周りからの反応もすごかったですし、そういうものが意外とモチベーションになりますね。
—大西さんはどうでしょうか?
大西:2年目の夏に、初めてメインで担当を任された案件はもちろん思い出深いですし、自分のなかでは失敗したと思うような仕事も意外と印象に残っています。たとえば、先輩が担当していたライブビデオの映像で、そのうち何曲かを任せていただいたことがあったんです。でも、当時は下手くそだったのですべて直されました。
カラーグレーディングは特にそうだと思いますが、アシスタントとして先輩の仕事を見ていると、何となく自分にもできちゃうような気がしてしまうんですよ。でも、いざやってみるとまるでダメで、悔しい思いをして初めてスタートラインに立てる。そうした機会を早めに与えていただけたのは、ありがたかったですね。
- Next Page
- 仕事をするなかで見えた先輩との差。めげない理由は「温かな会社の風土」にあった
仕事をするなかで見えた先輩との差。めげない理由は「温かな会社の風土」にあった
—現場で働く人から見た、レスパスビジョンの長所を教えていただけますか?
呉:感覚的な答えになってしまいますが、楽しい会社です。みんな音楽や映画などが好きで話も合いますし、会社全体として一体感がある。先ほど話した仕事でも、もともとその案件に関わっていなかった人たちまで協力してくれて、一緒に頑張ることで乗り切れました。誰かがつまずいたらみんなで助けよう、一緒にいいものをつくろうという風土がある会社だと思います。
—先ほど大西さんが「最近まで部署がなかった」とおっしゃっていました。それもあって、縦割りではなく会社全体で団結しやすい風土が根づいているのでしょうか?
呉:そうかもしれませんね。部署もなければ上司もいなかったので、全員が「同じ会社で仕事をする仲間」という感覚でした。いまは部署が組織され上司もいますが、厳しい上下関係はまったくないですね。気軽に飲みにも行きますし、いい雰囲気だと思います。
臼杵:私も同感です。ほかのポスプロに入った人の話を聞いてみても、レスパスビジョンはすごくフラットな組織なんだなと感じます。話しやすい人が多いのも嬉しいです。室内にこもって編集作業をしていると、たまにすごく孤独を感じるんですが、煮詰まったときに編集室を出て誰かと話すと元気が出ます。
それに、ドラマなどの場合はスタートから納品までの期間が長く、社内チームの関係がより深くなる。いい作品をつくるというゴールへ一緒に向かうことで、絆が芽生えていくのを感じます。
—大西さんはいかがですか?
大西:いま、会社としては過渡期にあると思います。スタッフが増えたため、去年から部署が設けられて、組織的なルールや制度も固まってきた。そこは会社としてしっかり対応しないといけない部分なのですが、一方で30年近くフラットなチームでやってきた残り香みたいなものもある。それがレスパスビジョンならではの魅力かなと思います。
あとは、社長プレゼンさえ通過すれば、基本的に何でもやらせてくれるところも特徴的だと思います。
呉:普段の仕事さえきちんとやっていれば、映画の制作も可能ですし、最新機材の導入も認めてくれます。ぼく自身、入社当初は別の部署にいたのですが、VFXがやりたいと社長にしつこく伝えていたら異動を認めてもらいました。社員同士だけじゃなく、社長とも距離が近いのはうちの特徴だと思います。
「海外の作品に関わりたい」。技術が身についたからこそ見えてきた目標
—みなさんはすでに一人前の技術を持っていると思いますが、今後挑戦したいことはありますか?
大西:カラーグレーディングはカメラマンの意向に沿って、相談しながら色合いやトーンを決めていくのですが、カラリストによって何となく「その人っぽさ」が出るんです。ぼくもそうした自分の個性を見つけ、磨いていけたらと思います。そして、「こういうテイストだったら大西にお願いしよう」と、指名でお仕事をいただけるようになりたいですね。
あとは、カラーグレーディングだけでなく、なるべくいろんな技術を習得していきたいです。まだ3年目ですし、一つの道に限定せず、自分に本当に合っているものや得意なことを探していけたらと思います。この会社には映像に関する技術はすべてあり、いろいろな道を目指しやすい環境ですから。
—臼杵さんの目標も教えてください。
臼杵:いずれは、海外のコンペで賞を取るような作品に携わりたいと思っています。そのためにも、いまはしっかり技術を磨き、人脈を広げていきたい。新しいお客さんと知り合えるような案件があれば積極的に関わって、一つひとつの仕事をチャンスととらえて頑張りたいと思っています。
—呉さんはいかがですか?
呉:最近、初めてVFXの監督的役割である「VFXスーパーバイザー」の肩書で仕事をして、ようやくその第一歩を踏み出すことができました。なので、目標とは少し違うかもしれませんが、当面はそのポジションで実力を磨いていくことでしょうか。
ただ、そこで自分の力不足を痛感して……。打ち合わせが多く、なかなか自分の作業に集中できないですし、チームのみんなに仕事を割り振る立場の難しさもありました。おまけに納期が短く、関わる人も多かったので苦労しましたが、いい経験になりましたね。
未経験でも、好奇心と柔軟性があれば早い段階で活躍できる
—技術力を身につけたからこそ、自分の可能性ややりたいことが広がっていくんですね。最後に、どんな人と一緒に働きたいと思うか教えてください。
呉:技術はあるに越したことはないですが、自分なりに作品のゴールを描ける人がいいですね。いくら技術があっても、言われたことしかできない人にいい映像はつくれません。頭のなかにしっかりイメージがあって、こちらの想像を超えてきてくれる。そんな人と働きたいです。
臼杵:思いやりのある人がいいですね。私の部署が掲げる十か条の一つにも「ホスピタリティー」があります。編集は一人で黙々と行う作業ですが、最終的には人と人のつながりが重要ですから。あとは、いろんなことに興味を持ち、小さな話題にも反応してくれる人。そういう人は、一緒に仕事をしていて楽しいです。
大西:ぼくも、好奇心を持っている人と一緒に働きたいです。最初は知識や技術がなくても、好奇心があれば自ずと学んでいけると思いますので。それから、物事を柔軟にとらえられる人。入社するとやはり理想と現実の壁はあって、悩むこともあると思うんです。最初は自分のできることが少ないですし、指名で来る案件もない。先輩たちのようになるには、それなりの年月がかかります。
そこで悲観せず、自分なりに目標を細かく設定して一歩ずつ進んでいける。そういう人であれば、未経験であっても早い段階で活躍できるんじゃないでしょうか。
Profile
レスパスビジョンは、1987年にマルチオフラインシステムを開発、コンサートビデオのオフライン編集専門のポストプロダクションとして始まりました。
その後同業他社に先駆け、マルチオフラインシステムを導入(ビデオクリップのオフライン編集)。97年からはノンリニアオンライン編集システムを導入し、総合ポストプロダクション(オフライン~仕上)となり現在に至ります。
また07年にアリスキャン(デジタルフィルムスキャナー)を導入。その後映画のデジタル上映化に合わせ、DCP事業を開始。2013年には映画制作会社『L’espace Film』を設立。映画の企画制作も手がけています。