
AI PCが後押しする「はじめの一歩」。日本HP・吉川直希に聞く、転職せずに広げるキャリア
- 2026.07.31
- FEATURE
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AIが登場したことで、学びに使える自由な時間が生まれ、新しいことに挑戦するハードルも下がった。学びを日々の仕事に取り入れ、それをキャリアへとつなげていくことが当たり前になりつつあるいま、私たちはあらためて、AIと共にある学びやキャリアのあり方について考える必要があるのではないだろうか。
今回は、ローカル環境で高性能AI処理が可能な「AI PC」を製造・販売する日本HPの吉川直希氏に話を聞いた。吉川氏は、入社以来社内でいくつもの部署を渡り歩きながら職能を広げてきた、特異なキャリアの持ち主だ。
面白いキャリアは、いったいどんなマインドで築かれてきたのか? そしてPCメーカーとしてAIの活況を間近で見つめるなかで、キャリアや学びについてどう考えているのか? じっくりと話を聞いた。
- 取材:原里実
- 撮影:豊島望
- 編集:吉田薫
吉川さんが日本HPに入社したのは2002年。以来、23年間一度も転職することなく、営業、マーケティング、販売促進など複数の職種を経験してきたという。
なかでも大きなキャリアの転機は、営業関連職を9年ほど続けたのち、社内公募で未経験のマーケティング部門へ異動したときのこと。そもそも、なぜ職種を変えようと思ったのだろうか?
吉川:法人営業を担当していた際は、サーバーやストレージといった、企業のIT基盤を扱っていて。規模の大きな提案を1年単位の時間をかけて受注する、社会のインフラを支えるような仕事にやりがいは感じていました。
ただ、正直に言うと、新規開拓の現場でなかなか成績が出ず、モチベーションにつながりにくい時期もあったんです。他社の存在感やブランド力の強さを前に、うちはまだまだだなと感じることも多くて。そういうなかで、HPというブランドを強化する仕事や、消費者に直接届ける仕事がしたいと思うようになりました。

2002年コンパックコンピュータ(現 日本HP)入社。法人営業や営業サポート部門を経て、個人向けPC製品カテゴリーに着任。現在はプレミアムノートPCの製品担当として、主に新製品投入と販売促進業務に従事。日本市場における製品戦略の推進に取り組んでいる。趣味は野球と音楽。休日には学童少年野球のコーチや、パーカッションで参加する「ToyTrain」のバンド活動に勤しんでいる。
吉川:営業として働くなかで、マーケティングチームの製品担当の方たちが、製品に強いプライドを持って働いている姿を見ていたのも大きかったですね。
製品担当は、グローバルで開発されたラインナップのなかから、日本のマーケットにどの製品を投入するかを決め、本社の開発チームとも密にやりとりしながら日本用にカスタマイズして、市場に送り出します。
就職活動でメーカーを志望していたときから、「自社製品に誇りを持って働きたい」と考えていた僕にとっては、マーケティングの仕事をしている人たちはとても輝いて感じられたんです。
営業からマーケティングという、まったく異なる領域へ飛び込むことに不安はなかったのだろうか。
吉川:なかったですね。それよりも、「受かったら楽しみだな」というワクワク感のほうが大きかったです。もしダメだったらまた精進して次のチャンスを待とう、と。
うちの社内公募という制度自体、あまりかしこまったものではなくて、毎週のように空きポジションがメールで送られてくるんです。誰でも気負わずチャレンジできる環境だったことも大きいと思います。

新しいことを学ぶためには、素直さが必要
営業からマーケティングへ。吉川さんはキャリアの節目ごとに、新しい領域へ飛び込んできた。だが、誰もが同じように挑戦できるわけではない。憧れを抱きながらも、一歩を踏み出せずにいる人も少なくないだろう。では、その差はどこにあるのだろうか。
吉川:僕は本当に直球勝負なタイプなので……とりあえず飛び込んで、自分なりにやってみて、行き詰まったら周りに聞く。その繰り返しです。
当時はAIもなかったので、たとえば社内のレガシーなシステムやデータのつながりを理解するのも、人に聞くしか方法がありませんでした。
「自分でちゃんとやらなきゃ」という気持ちももちろんあるんですが、それにとらわれすぎてしまうと、自分の場合は生産性が落ちてしまうことも多かった。なので、一人でやってダメなときはすぐ人に頼るようにしています。

異動のたびに経験する大変さを、「便利屋タイプなので(笑)。毎回、成長できるチャンスだと前向きにとらえていました」と笑顔で話してくれた吉川さんだが、苦労したことはなかったのだろうか?
吉川:もちろんたくさんありましたよ。部署ごとにカルチャーも使う言葉も違うので、慣れるのはやはり大変でした。
長くこの会社にいますが、一番大変だったのは、いまの会社に移る前(※)、法人向けのバックオフィス系サポートチームにいた頃です。コスト削減のために、日本で行っていた業務を海外に移管するプロジェクトがありました。
業務の棚卸しをして、引き継ぎ資料を作る必要があったのですが、相手は中国のチームで、現状のシステム整理やマニュアル作り、中国語への翻訳など、作業量が非常に多くて大変だった記憶があります。
物量的にも、知らないことが多いという点でもかなりハードでした。そのときも、やっぱり周りの人に助けられながらなんとか乗り越えていきましたね。
日本HPは企業理念の一つに「良き市民であれ」を掲げています。なので周りをリスペクトする、そして互いにリスペクトしあう環境が醸成されていますし、公平に競争することも大切にしています。こういった会社風土があるからこそ、迷わず仲間に頼れたし困難にも立ち向かっていけたのだと思いますね。本当に人のおかげです。
※2015年日本ヒューレット・パッカード株式会社は、パソコンやプリンターを扱う「株式会社日本HP」と、エンタープライズ事業を担う「日本ヒューレット・パッカード株式会社」に分社化した。
「いまはAIに聞くという選択肢が増えて、立ち止まる時間そのものが減った」
新しい部署に異動するたびに、周囲の人に助けられながら困難を乗り越え知識を身につけてきたという吉川さん。AIが当たり前になったいま、学び方や仕事の仕方はどう変わったのか?
吉川:業務で使用するPCでは、Windows 11に標準搭載されているMicrosoftのAIアシスタント「Copilot」を日常的に使っています。
単純にわからないことがあれば聞ける便利さもありますし、クラウド上に散らばった資料を横断的に検索して、探しているものをすぐに見つけてくれたり、複数の資料を組み合わせて欲しい情報をまとめてくれたり。
いまではもう、使わないと仕事にならないくらい頼りにしていますね。AIのおかげで、ここ数年は新しいことを習得するスピードが格段に上がりました。

吉川:やっぱりAIを活用するようになっての一番大きな変化は、時間が増えたことですね。これまで時間をかけていた情報収集や資料整理をAIが肩代わりしてくれるので、その分、ほかのことに使える時間が生まれる。
生産性が上がった、というよりは「余白」ができた感覚に近いかもしれません。かつては行き詰まったら人に聞くしかありませんでしたが、いまはAIに聞くという選択肢が増えて、立ち止まる時間そのものが減った気がします。
「余白」にできた時間を、学びにあてる
時間という「余白」が生まれたとき、それをどう使うかによって、その後のキャリアは大きく変わってくる。吉川さんは、生まれた時間を意識的に学びにあてるようにしているという。
吉川:以前は「学ぼう」と思って学んでいたわけではなくて、資料作りにしても何にしても、仕事をしながら気づいたら身についていた、というタイプだったんです。
でも、AIのおかげで時間に余裕ができたことで、意識的に学びの時間を確保できるようになった実感があります。年収を上げるためにどんなスキルを身につければいいか、といった分析や提案書づくりもAIに手伝ってもらいながら、空いた時間で自分の勉強をする。
最近は金融や投資について勉強したいと思っています。仕事に直接関係のないことにも手を伸ばせる気持ちになったのは大きな変化だと思います。
学びへの活用にとどまらず、プライベートで取り組んでいるバンド活動でもAIを取り入れているという。仕事と趣味の垣根なく使いこなす姿勢からは、AIとの付き合い方のヒントが見えてくる。
吉川:じつは、これまでぜんぜんジャズを通ってこなかったのに、いま急にジャズバンドでパーカッションを叩いていまして(笑)。
たまたま地元のバンドのライブに行ったときに「パーカッションのメンバーを探している」と声をかけてもらって参加したバンドです。

吉川さんが所属するバンド「ToyTrain」練習風景
吉川:ちょうど今週、音源をリリースしたばかりなんです。スタジオで録ったデータをAIに読み込ませて、「もう少しエレクトリックジャズっぽく」とお願いしてアレンジ案を提案してもらうなんてこともしています。
ローカルAI処理に対応した「Copilot」搭載PCなら、こうしたAIサービスをスムーズに使えます。ネットワークを介さずAIサービスが利用できることで、通信遅延や通信コストのストレスもなく、思いついたときにすぐ試せる。この「すぐ試せる」感覚が、学びのハードルを下げてくれている気がします。

日本HPが製作 / 販売する「HP OmniBook X Flip 14 AI PC」。50TOPSのNPUを搭載。ローカルでのLLM(大規模言語モデル)の実行や高度なAI機能が快適に動作する次世代プロセッサの性能水準を持つ。
最後に、この夏「自由研究」のようにチャレンジしたいこと、学びたいことがあれば聞いてみた。
吉川:さっきも少しお話ししましたが、これまでぜんぜんジャズを通ってこなかったので、ジャンルの奥行きをまだあまり知らないんです。だからこの夏は、ジャズの名盤や歴史をちゃんと掘り下げてみたいなと思っていて。そういうインプットの部分でも、AIに教材や参考音源を教えてもらいながら進めてみたいと思います。
取材の終盤、仕事やプライベートに関係なく、軽やかにチャレンジできる秘訣を聞くと、社内異動を重ねながらキャリアを切り拓いてきた吉川さんだからこそ語れる、実感のこもった言葉が返ってきた。
吉川:繰り返しになりますが、結局、新しいことを学ぶには、素直さや愚直さが大事なんだと思います。知らないことを認めて、人に聞いたり試したりするのを恥ずかしがらない。
これは性格の問題というより、準備してからチャレンジするかとにかくチャレンジするか、その順番の問題だと思っていて。まず飛び込んで、詰まったら人に聞く。昔はそれしか方法がありませんでしたが、いまはその「聞く」をAIも引き受けてくれる。最初の一歩のハードルは、確実に下がっています。
だから、才能があるとかないとかではなく、ある種の自信を持って、とにかく一歩を踏み出してみてほしいですね。
▼HPについて

HP Inc.(NYSE: HPQ)は、Future of Workを再定義するグローバルテクノロジーリーダーです。180以上の国と地域で事業を展開し、ビジネス成長とプロフェッショナルとしての充実を支える、革新的でAIを活用したデバイス、ソフトウェア、サービス、サブスクリプションを提供しています。
株式会社 日本HP 公式ホームページ
https://www.hp.com/jp-ja/home.html
▼HP OmniBook X Flip 14 AI PC

NPU性能40TOPS以上を誇る次世代AI PC(Copilot+ PC準拠)。仕事だけでなく創作や娯楽まで幅広く使える、公私兼用のプレミアムノートPCです。
タブレットにも変形できるスタイルフリー設計で、シーンを問わず活躍。最新モジュールによるスピードとパワー、直感的な操作性で作業効率を大きく高めます。さらに高品質なオーディオビジュアルを搭載し、休憩時間のエンタメ視聴も快適にサポート。
Copilot+ PC準拠により、コクリエーター、ライブキャプション、リコールといったマイクロソフトの生成AIサービスも利用可能。クリエイティブで自由なライフスタイルを好み、常に高みを目指す人にふさわしい、公私を支える一台です。
https://jp.ext.hp.com/notebooks/personal/omnibook_x_flip_14_kc/