日本をリブランディングする。フラクタが企業コンサルで描く未来とは

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情報化社会かつ大量生産経済の現代において、企業にとっては独自のブランディングが一層必要になる。そんななか、WEBサイトの構築と運用、調査分析などをはじめとして、WEB担当者の育成サポートまで行い、数多くの企業のトータルブランディングを手がけてきたのがフラクタだ。同社は企業をブランディングする際、「文化をつくる」ことを大切にしているという。なぜ企業にとって「文化をつくる」ことが必要なのか?
そこには、クライアント企業のブランディングのみにとどまらず「日本を変える」という壮大な野望があるという。代表取締役社長の河野貴伸さんと、コンサルタントの長田真希子さんに話を伺った。
  • 取材・文:萩原雄太
  • 撮影:柏木鈴代
  • 編集:吉田真也(CINRA)

ブランディング=文化をつくること。デジタルでつくる世界観がゴールではない

—「ブランディング」と一口に言ってもさまざまな方法がありますが、フラクタではどのようなことを行っているのでしょうか。

河野:一般的に「ブランディング」というと、ロゴやWEBサイトのデザインをリニューアルしてブランドの「世界観をつくる」ことを指すと思いますが、ぼくらの仕事は、世界観ではなく「文化をつくる」ことです。

代表取締役社長 河野貴伸さん

代表取締役社長 河野貴伸さん

—「文化をつくる」とは?

河野:ぼくらがつくる文化とは、いわばブランドとしての「人格」です。なにを大切にしているのか、どこにこだわりを持っているのか……歴史を積み重ねていくと、ブランドとしての「人格」が生まれます。その人格を企業の「文化」として定義していくことが、ぼくらのブランディングです。

つまり、最初からデジタルテクノロジーを駆使して「世界観をつくり上げること」を目的とするのではなく、企業やブランドとしてどうあるべきかを適切に見極めたうえで、よりよい「文化をつくり上げる」ことを大切にしています。

フラクタはもともとECサイトの構築を手がける事業からスタートしたので、デジタルは得意分野なのですが、文化をつくるうえで必要なければ無理に「デジタルでつくる」ことをゴールにはしません。そのため、いまでは、インナーコミュニケーションや社員育成など、デジタル領域以外の課題解決にも力を入れています。

—なぜ、企業にとって「文化」が必要なのでしょうか。

河野:情報やモノが溢れかえっているいま、似たような商品群からどれかひとつを選ぶことにはあまり楽しみを見出せませんよね。企業側としても、たまたま商品が選ばれたところで、ブランドと人を結びつけているわけではないし、一時的な売上にしかつながりません。

だからこそ、楽しく、かつ選んでよかったと思ってもらうために、本質的な「文化」の部分から消費者の共感を得なければならないんです。

「文化を伝える人」を育て、「自走できるブランド」にする

—コンサルタントとして活躍している長田さんは、どういった経緯でフラクタに入社されたのでしょうか。

長田:以前は、WEB制作会社に勤務していました。その制作会社ではWEBサイトをつくったら終わりという案件が多く、業務をしていくうちに「WEBサイトを公開すること」が目的になっていました。そのなかで次第に、つくったものが世の中でどう役立っているのか、どんな人に喜ばれているのか、までわかる仕事がしたいと思うようになっていきました。

そこで、トータルでブランディングを手がけている会社なら、エンドユーザーやクライアント企業のことを理解しながら「人」に寄り添う仕事ができると思い、4年半前にフラクタに入社しました。

現在は、お客さまと接しながらサイトの運用で困っていることや改善点を一緒に洗い出し、解決する仕事をしています。

コンサルタント 長田真希子さん

コンサルタント 長田真希子さん

—とくに、どのような点に困っている企業が多いのでしょうか?

長田:WEBサイトの運用方法やデザインですね。もともと弊社がデジタルに強いこともあり、WEB周りはとても信頼していただいています。

いまやWEBサイトは、企業やブランドの根幹を伝えていくために必要不可欠なもの。ひとつのパーツの表現が崩れてしまうだけでも、デザインの共通性が保てなくなり、ブランドのコンセプトを伝えられなくなってしまいます。

ただし、WEBに関する相談をすべてこちらで解決してあげていたら、外からのサポートがないと成り立たないブランドになってしまう。自分たちだけで運用していけるブランドになってこそ、本当の意味で「文化」が根づいたといえるのだと思います。だから弊社では、「自走できるブランド」に育てることを意識しているんです。

—フラクタのサポートがなくても成り立つ「自走できるブランド」にするために、具体的にはどういったことに取り組んでいるのでしょうか?

長田:たとえば、WEBスキルを底上げするために、クライアントの社員教育をすることもあります。いま、私は土屋鞄製造所の社員研修を担当しているのですが、研修当初はシステムに触るのが怖く、テキストの修正もできませんでした。WEBの運用に携わったことがなかったので、自分の操作ミスで間違った情報が発信されて、ブランドイメージが崩れてしまうことを恐れていたのです。

しかし、WEBに対する恐怖心を取り除けるよう、一からサポートした結果、いままでわからなかったことも理解していただけるようになりました。すると、「もっと新しい技術を学びたい」と率先して研修に取り組むようになっていったんです。

研修期間が終わる頃には、自ら考えて動けるようになり「自社サイトのヘッダーが使いづらいから変えたい」と、自発的にアイデアが出てくるようになりました。実際、その修正がサイトのアクセスにもいい影響を与えました。研修を通して成長した姿を目の当たりにし、自分のことのように嬉しかったですね。

—社員一人ひとりの自立心や成長が、「自走できるブランド」の文化をつくっていくのですね。しかし、なぜ、フラクタでは「自走できるようにすること」にこだわっているのでしょうか?

河野:ひと昔前の時代の広告やコミュニケーションは、人々の印象に残ることを最優先とし、インパクトだけで勝負していました。しかしそれでは、消費者にブランドイメージがしっかりと伝わっているのか、効果がわかりづらかった。

しかし、WEBが発達したことで、解析ツールを通して訪問者の属性や流入経路などもわかるようになりました。こちらの打ち出しや施策に対して、効果が数値として表れ、ひと目でわかるようになったんです。同時に、きちんと効果を測定し、次のコミュニケーションづくりに活かすことが重視されるようになってきました。

それでも、こうしたPDCAをちゃんと回せている企業は少ないのが現状です。その原因のひとつが、デジタルに苦手意識を持つ担当社員が「ぼくらにはできない」「デジタルは専門領域ではない」と諦めて、サイクルをすぐに止めてしまうこと。

この苦手意識をなくさなければ、人の手を借りずして、自分たちの問題点を見つけていくことはできません。第三者の力に頼らず、当事者が課題と向き合い、改善を繰り返していくことで「自分たちのブランドのあり方」が文化として根づいていきます。

だからこそ、フラクタではクライアントが自らの手でPDCAサイクルを繰り返し回せる環境づくりを構築しているんです。

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やりたいことをやってこそ、人は成長する。社員への投資を惜しまない理由

やりたいことをやってこそ、人は成長する。社員への投資を惜しまない理由

—文化をつくるためにクライアントの社員育成に力を入れていることはよくわかりました。では、フラクタの社内において、社員が成長するために取り組まれていることはありますか?

長田:フラクタには、自分の仕事やキャリアを自ら選べる自由度の高い環境が整っています。やりたいことがあるなら「やってみな」と後押しをしてくれるので、会社からの期待と信頼を実感しながら成長できますね。

私の場合は、「食に関わる仕事」にずっと興味がありました。昔から食べ物や料理が好きで、「料理は人を喜ばせるもの」だと感じていたので。でも、なかなか食の仕事に関わるきっかけはありませんでした。

あるとき「食のプロデュース」に関するセミナーに参加した際、講師の方から新事業構築のサポートメンバーを募集することを聞きました。そこで日本の食文化を伝えていく表現力やプロデュース力を学べれば、ブランディングの仕事にも必ず活かせると感じたんです。早速、「サポートメンバーに応募したいです」と河野に相談してみたところ、「面白そうだからやってみなよ!」と一瞬で快諾してくれました。

業務と同時並行でのチャレンジになるため、まさか即答で承諾してくれるとは思っておらず、驚きました。また、「チャレンジすることに価値がある」という言葉もいただき、河野からの期待も感じられてとても嬉しかったです。

河野:長田からは「食のブランディング」を仕事にしたいと何回も相談を受けていたので、いいチャンスだと思いました。だから、即座にOKを出しましたね。

—熱が伝わったんですね。長田さんが思い描く、「食のブランディング」とはどのようなものでしょうか?

長田:いま考えているのは、料理人、生産者など食に関わるすべての「人」をブランディングすることです。

私たちがいただく料理には、いろんな人の想いが折り重なっています。料理人はもちろん、調理器具や器のメーカーさん、食材の生産者などたくさん人の想いが込められている。また、料理をつくる人が「誰に、どんな想いを届けたいか」によって、調理法も提供方法も異なります。

だけど、「料理を食べる」だけでは、その想いや裏側にあるストーリーには気づけません。だからこそ「つくる側」のストーリーを知っていただくお手伝いをして、「食べる側」の意識を変えていきたいんです。

—「つくる側」のストーリーを知ることで、「食べる側」の意識はどのように変わっていくのでしょうか?

長田:たとえば、「つくる側」が「健康的な和食」の素晴らしさを伝えるため、食材から器への盛り付けまでこだわり抜いた日本料理を提供します。そのこだわりや想いを「食べる側」が感じ取ることで、きっと日本の食文化に興味が湧いたり、健康的な食生活に意識が向いたりするはず。さらには、その人にとって、日本食がこだわりの一部になるかもしれません。

「食へのこだわり」は、人の魅力にもつながると思うんです。「つくる側」の想いや隠れたストーリーを伝えることで、「食べる側」に新しい気づきを与える。そんな取り組みを「食のブランディング」で、実現したいと考えています。

河野:食に携わる人をしっかりとブランドとして立たせていくことで、日本の「食」によりよい環境を提供できるのではないか。そんな長田の構想を聞いて、新しいビジネスが生まれそうだし、面白い取り組みだと思いましたね。

—事業構想として興味深かったからこそ、長田さんの念願の夢を素直に応援することができたんですね。

河野:ぼくが社員のやりたいことを許容するのは、「リターンがいちばん大きいのは人への投資だ」と思っているからなんです。よく「寛大な人だ」とか誤解されるのですが、すごく合理的に考えるタイプなだけで、本当は懐が狭い人間なんですよ(笑)。

それに、やりたいことをやっているときに、人はいちばん成長しますから。意欲ある仲間への投資は惜しみません。たとえば、同じ金額を広告に投資しても、投資金額を回収できるという確証はない。それならば、信頼できる仲間にお金を出すほうがはるかに効果的じゃないですか。

—寛大なわけではなく、合理的に投資対効果を考えた結果、やりたいことをやらせていると(笑)。しかし、裁量を任された側には大きな責任がのしかかります。プレッシャーはないのでしょうか?

長田:ありません。これまでずっと思い続けてきたことを、実現できる環境が目の前にある。不安を感じるどころか、日々楽しいですし、充実感がありますね。

ブランディングで日本を変える。土屋鞄製造所のグループ会社になった経緯

—2019年1月より、フラクタは土屋鞄製造所のグループ会社になったそうですね。

河野:もともと土屋鞄製造所とは、7~8年前くらいからつき合いがあったんです。ECサイト制作のお手伝いから始まり、徐々に会社全体のデジタルコミュニケーションを任せてもらうようになりました。

また、土屋社長とは個人的にも仲がよく、海外事業推進の一環で一緒に香港に行った際、お互いのビジョンを話し合いました。

そのなかで、共通していたのが「日本の文化を正しく、楽しく世界に広めたい」という思い。われわれが目指しているのは、クールジャパンのような表現で語られる日本文化ではなく、日本人が自国の商品を、自信と誇りを持って世界に紹介できるようにすること。職人のものづくりにおける独自の価値観や神秘性を武器とし、他国とは一線を画する「日本のブランドビジネス」を推し進めていきます。世界中の人に「日本の本質的な文化」のファンになってほしい。その思いに共感し合った結果、グループ会社として一緒に活動することになりました。

—たしかに土屋鞄製造所は、世界に誇れる、日本の伝統的な職人技を大切にしている印象があります。

河野:土屋鞄製造所は日本のブランディングにおける大成功パターンだと思っています。しかし、土屋鞄製造所だけでは、「日本のブランドを世界に広めていく」という大きな目標は実現できない。

だからこそ、土屋鞄製造所のような国内ブランドをもっと魅力的にするお手伝いをしていきたいんです。国内の企業やブランドが輝けば、日本はさらに世界を魅了する国になれるはず。そのためにはあらゆるデジタルテクノロジーやノウハウを惜しみなくオープンに投入すべきだと考えています。

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    株式会社フラクタは「ブランディングで世界を豊かに。」をミッションに掲げ事業を行うブランディングエージェンシー。クリエイティブとデジタルテクノロジーを駆使した独自の戦略でブランドの潜在能力と、存在意義を導き出す。そこから抽出した「感性」と「ロジック」を最適化することで、ブランドの先にいるお客様の心を豊かにしながら母体となる企業のモチベーションや一体感も醸成する。それが、フラクタの揺るぎないビジョンです。

    世の多くのブランドが、感性や知性に刺激を与え人々の暮らしを彩るポテンシャルを秘めています。その可能性を飛躍させ、人々がブランドとたくさん出会える世界を作るにはブランド自身が「ブランディング」を実行できる体制と、お客様にきちんと伝わる「仕組みづくり」が必要です。

    それらを実現するために、フラクタは3つのミッションを掲げます。

    ・Branding As A Service
    ブランドを理解しやすくし、ブランドと人々が身近で出会える機会を生み出すこと。

    ・Brand Culturetect
    ブランド自身が誇りを持って、魅力的な文化を構築できるように導くこと。

    ・Brand UX Augmented
    ブランドとの出会い・体験を通じて、人々の心が満たされる環境を作ること。

    「ブランディングで、世界を豊かに。」その信念と使命感を胸に、私たちは日々邁進しています。

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