目指すはアジアNo.1。eスポーツも手がける映像会社が描く将来像

有限会社クー

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海外では市場規模が年々拡大し、新たな産業として定着しつつあるeスポーツ。日本でも少しずつ注目を集め、今後伸びしろのある分野とされている。そんななか、映像制作を行う有限会社クーは、2017年からeスポーツ事業を手がけている。

同社はこれまで、音楽やアニメ・ゲームなどのエンターテイメントを中心とした、テレビ番組制作、MV、インターネット配信など幅広く手がけてきた。代表を務める河合真一さんは、自社のものづくりに対する姿勢を「派手ではないけど堅実」と表現する。これまで培った知見は、eスポーツ事業にも活かされているという。だが、そもそもなぜクーはeスポーツを始めたのだろう? 疑問を河合さんにぶつけてみた。
  • 取材・文:村上広大:
  • 撮影:有坂政晴(STUH)
  • 編集:服部桃子(CINRA)

「いずれは日本にも波が来る」。時代を先取り、eスポーツ事業を始めた

MVやテレビアニメのPV、舞台のVRコンテンツの制作を手がけるクー。既存のメディアをフィールドに、質の高いコンテンツを生み出し続ける彼らが、いま特に注力しているのがeスポーツ事業だ。日本ではまだ大きな波は来ていないが、海外ではプロリーグが発足されるなど、熱狂の渦を巻き起こしているという。

河合:数年前、会社をどう発展させていくかを考えているなかでeスポーツの存在を知りました。その当時、日本ではまったく普及していなくて、ネットニュースに「eスポーツとは何?」みたいな記事が書かれている程度。その一方で、アメリカや韓国、ヨーロッパなどでは、すでに一大産業になっていたんですね。そういう世界の流れを考えると、いずれは日本にもこの流れがやってくるだろうと思いました。それで自分たちなら何ができるかを考えて、動き出すことにしたんです。

代表 河合真一さん

代表 河合真一さん

とはいえ、一言でeスポーツといってもやることは無限にある。しかも、当時はeスポーツに精通しているスタッフが社内にいるわけでもなかった。そこで、まず何から始めるべきかリサーチを行ったという。

河合:自分たちに何ができるかは、やってみないとわからないということで、最初の1年はとにかくいろんなことに挑戦しました。まずはクーに在籍している韓国人スタッフに協力してもらって、韓国でヒアリングを行いました。それから大会を観戦したり、国内のプロゲーマーに協力してもらって大会に参加したり、逆に大会を主催してみたり。あとはゲーム実況の配信もしましたね。そのなかで、自分たちがeスポーツに関わるのであれば、これまで行ってきた取り組みの延長線上にあることに着手しようと決めました。

たとえば、ゲーム実況の配信であれば、これまで培ってきた映像制作の技術を応用できるし、「むしろクーの得意分野です」と語る。そこで河合さんは、プロゲーマーたちの配信をサポートする体制を徐々に整えていった。

河合:自分たちが配信者になれればよかったのですが、それは別のスキルが必要になってくるので無理だなと諦めました。それよりもゲーム実況を配信したい人たちをサポートするほうが向いていると思ったんです。現在は、映像配信に必要な技術やノウハウの提供をしています。

クーが所有する配信設備を完備した撮影スタジオ「LST -Live Streaming Tokyo-」

クーが所有する配信設備を完備した撮影スタジオ「LST -Live Streaming Tokyo-」

eスポーツは「いまがチャンス」。ゆくゆくは国内リーグ発足を目指したい

クーがeスポーツ事業において取り組んでいるのは、それだけではない。現在はeスポーツの国内リーグ発足に向けて調整を進めているという。

河合:世界ではゲームメーカーが主導で、大小さまざまな大会を開催しているのですが、日本だとそういう動きがまだまだ少ないんですよね。ゲームは家庭で遊ぶものという認識が強く、そこから脱却できていない印象があります。それを変えていきたい。じつはこの秋、大学生たちによる国内リーグを実現しようとしていて、そのために京都大学の大学院生と一緒に「学生eスポーツ連盟」を立ち上げました。

こうした動きを活発に行うことで、日本全国の大学から参加者を集めたいと河合さんは構想を語る。そしてゆくゆくは海外の学生リーグとも連携を取り、ワールドカップを開催したいという。

河合:高校生対抗の大会や、社会人の大会などもありますので、そういったところとの連携も不可能ではないと思っています。特にいまは黎明期なので、さまざまな可能性が考えられる。地域ごとにスポンサーを募ってリーグを発足して、日本チャンピオンの座を競い合うとかも面白いですよね。地方自治体で大会を開催したいけどノウハウがないとなれば、運営のサポートも全面的にバックアップしたいです。

現在は河合さんを含めて3名の社内スタッフと外部クリエイターで動いているが、これからさらに人員を配置して注力していく予定だと語る。

河合:現在はさまざまな映像制作会社があり、飽和状態ともいえます。特に東京の会社のクオリティーはどこもかなり高く、そのなかでNo.1となることは簡単ではありません。でも、日本を中心にアジアから海外に目をむけることで、われわれがeスポーツ事業でトップになれる可能性もあると思っていて。まさにいまがチャンスなんです。将来的には、自社でeスポーツの映像コンテンツを持ちたいし、ゆくゆくは、アジア圏を巻き込んださまざまなリーグもつくりたいと考えています。

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新事業のアイディアも歓迎。「エンタメ業界に新しい風を吹かせてほしい」

新事業のアイディアも歓迎。「エンタメ業界に新しい風を吹かせてほしい」

いまでこそ20名程度のスタッフを抱える会社に成長し、eスポーツ事業においても大きな夢を持つクー。だが、最初期はフリーランスのクリエイターたちの集合体だった。しかし、法人でないと受けられない仕事が増えてきたため、会社化することに。「言葉を選ばずに言うとしたら、起業はなりゆきでした」と河合さんは当時のことを振り返る。

河合:法人化してすぐは、ぼくともう一人くらいしか社員がいなくて、あとは外部クリエイターが案件ごとに携わるかたちでした。期日までにそれぞれが自分のベストを尽くし、納品したら解散する。それはそれで仕事の質を追求できたので良かったのですが、組織の成長という観点で考えると将来性があまり感じられなかった。それで、ともに未来を歩んでいく仲間を増やしていくことにしたんです。

そうして会社のメンバーも規模も大きくなり、いつしか映像にまつわるさまざまな案件を手がけるように。その堅実な仕事ぶりから、案件が途切れることはなかったという。転機が訪れたのは、会社を設立してから5年ほど経った頃。投資や資産運用に関するテレビ番組の制作に携わったことで、会社経営に対する考え方が一気に変わっていったそうだ。

河合:恥ずかしい話、それまでは会社経営について真剣に考えていなかったんです。面白そうな仕事に携わって、クライアントや観た人が「この編集はすごい!」とか「この映像、めちゃくちゃ鳥肌立った!」と喜んでくれるだけで良かった。でも、経営や投資について学ぶと、もっとできることがたくさんあると気づいて。リスクを取ってリターンを得ることの大切さを知ったんです。

それで映像機材を購入したり、スタジオをつくったりと会社にお金を使うようになりました。自社でものづくりができる仕組みをつくれば、制作スケジュールやコスト管理もしやすくなり、クオリティーコントロールもしやすくなりますから。

そして、河合さんは海外に目を向けるように。日本はこれから超高齢化社会に突入し、人口も減少していく。そうすると、自らが携わっているエンターテインメント業界も縮小していくだろうと考えたのだ。

河合:普段からおつき合いのある方々と仕事をしていくのはすごく楽しいのですが、それだけだと尻つぼみになると感じたんです。映像制作は、お金を出してくれるクライアントがいて初めて仕事として成り立つ。裏を返せば、仕事をもらえなくなったら何もできないんです。生き残るには、自分たちから積極的に動く必要がある。

いままで楽しくやっていた音楽やアニメといったエンタテインメントの仕事を今後も続けていくためにも、会社に新しい軸をつくろうと思ったんです。それが、eスポーツや海外事業だったんです。

手始めは中国。Twitterで知り合った友達を頼りに視察に向かいました。「とりあえず行くんで」と伝えて、ほぼ勢いで(笑)。その後、インドネシアやシンガポール、香港や台湾といった東南アジアにも足を運んで可能性を探りました。

海外での独自のビジネスの芽はまだまだ小さいですが、より広い視点で考えるきっかけになったと思います。そしてそのおかげで、海外での映像撮影やイベント中継や配信といった仕事を安定して請け負えるようにはなりました。いまでは、年に複数回海外からの中継などがあります。

他業種からの転職も歓迎。クーの可能性を広げてくれる人に出会いたい

そうして自分たちができることを拡張していき、eスポーツにまで手を伸ばしたクー。現在は、業務拡大を目指して社内ルールづくりにも励んでいる。それは次のフェーズを見据えての取り組みだという。

河合:自分がフリーランスだったので、トップダウンでルールを決めるのではなく、各自が常識の範囲内で責任を持って行動できればいいと考えていました。ただ、社員が増えてくるとなかなかそうもいかない。だらけやすいし、それが結果として不規則な生活にもつながっていきます。特にこの業界はそういう傾向が強いので。

朝は決められた時間に来るとか、ゴミは当番制にして捨てるとか基本的なことから、より細かいところまで、みんなで話し合って決めていきたいと考えています。

クーはいま、映像事業とeスポーツ事業それぞれに新しい出会いを求めている。どのような人と働きたいと考えているのだろうか。

河合:今後の会社の成長を考えると、いろんなことに興味があって物事を積極的に動かしていける人や、エンタメ業界へ新しい風を吹かせたいという意欲のある人に来てほしいと考えています。

というのも、これから会社をさらに拡大していくためには、もっと多様性があるほうが良いと思うんです。いろんな性質の人が集まって協力することで、まだ見ぬ新しいものが生み出せるはずです。

いまいるスタッフは、職人気質で面白いことが大好き。良い意味でクセのある人が多いですね。「アニメの仕事なら率先してやります」とか「外に出るのが苦手なので、室内でずっとパソコンをいじっていたいです」といった要望もありますが(笑)、できるだけ個人のやりたいことは尊重するようにしています。

声優のMVやアニメのPVづくりなどは、世の中にリリースした際、SNSなどで「この編集、すごく良い!」とファンが呟いてくれることもあって。スタッフにとって、それもうちで働くやりがいのひとつだそうです。

河合:もちろん他業種からの転職も歓迎します。映像事業では編集ソフトの基本的な操作スキルは求められますが、それ以上に大切なのはエンタメ業界に興味や関心があること。最初は勉強も兼ねて、さまざまな現場で経験を積んでもらい、スキルを身につけてもらえればと思います。eスポーツ事業に関しては、私と一緒にビジネスを拡大していけるマインドを持ってくれる人がいたら嬉しいです。

小さな会社なので、細かな仕事も多いですが、自由度は高いと思います。もし何か新しくやりたい事業を思いついた場合も、やる気と可能性があるなら会社としても全面的にバックアップしていきたいと考えています。そういった強い志を持つ人と出会いたいですね。

  • Profile

    有限会社クー

    クーは、テレビ、インターネット配信、MV、企業VP、VRなど、映像コンテンツの企画制作を手がける会社です。音楽やアニメ、ゲームなどエンタメ寄りのジャンルが得意。マネジメントやレーベル事業など、受託制作にとどまらない事業展開にも積極的です。

    創業当時から、なるべく外部への発注に頼らず「自分たちでやろう」という心構えで制作を続けてきました。自社でなんでもできるようになれば、制作スケジュールに余裕が生まれたり、コストが削減できたりと、メリットがたくさんあります。自社でものづくりができる環境を目指すうちに、編集室や撮影スタジオも誕生しました。

    アニメのプロモーション映像をつくるときは、「いかに作品の世界観に寄り添い、魅力を引き出せるか」という部分に重点を置いています。同じ素材を用いた編集でも、つくり手の作品に対する理解が乏しければ、ファンにはすぐに見透かされてしまうものです。特にアニメ作品のファンは、熱心に映像をチェックしSNSに感想を投稿してくれることも。「この編集がよかった!」と言ってもらえたときは、大きなやりがいを感じる瞬間です。

    そのほか、eSports事業にも力を入れています。弊社では、国内のみならず、日本以上にeSports市場が発展している韓国や中国、アメリカに注目。音楽案件などで得た映像中継のノウハウを武器に、他社にはないユニークな切り口で国内外に展開しています。弊社に所属している外国出身のメンバーは、現地とのコミュニケーションで大活躍中です!

    まずは何かしら「やりたいこと」を胸に、クーにご連絡ください。入社してからしばらくは、肩書きにとらわれず、プラスアルファのスキルを身につけることを楽しんで欲しいと願っています。クーで働く醍醐味は、好奇心と向上心が満たされることだと考えています。

    時代に合った個性を磨き、成長を続けるクーで、ぜひ一緒に働いてみませんか?

    有限会社クー