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表参道・原宿という「資産」を、次のステージへ。「OMOHARAREAL」が語る、継承と成長の可能性

神宮前・南青山・北青山だけを対象とするローカルメディア「OMOHARAREAL」が、まもなく10周年を迎える。運営するのは不動産会社CityLights Tokyo代表の荒井昌岳氏。本業の収益を原資に、あえて利益を急がず、この街の「今」を記録し続けてきた。

そんな荒井氏が今、「次の10年」の選択肢を模索している。これまで積み上げてきたものを、未来にどうつなげるか? 地域やパートナー企業との連携、M&Aなどさまざまな可能性を探るなか、相談相手となるのが、文化的価値を持つ事業を次世代へつなぐM&Aアドバイザリー、GOZENの布田尚大氏だ。

一見、非合理にも映る「メディアへの投資」は、いかにして「見えない資産」へと育ったのか。ふたりの対話から、新しい継承の形を探る。

※CityLights Tokyoの「OMOHARAREAL」の運営・承継にご興味をもたれた方はこちらのフォームよりお問い合わせください。

  • インタビュー・テキスト:CINRA編集部
  • 撮影:豊島望
  • 編集:吉田薫

INDEX

いつだって「今」が最高の街

―「OMOHARAREAL」がローンチ10周年。「オモハラ」、すなわち表参道や原宿は非常にカルチャー感度の高いエリアだと思いますが、荒井さんにとってこの街はどういう存在ですか。

荒井:僕は現在、自宅もオフィスも原宿なので、最高の街だと思っています。サイトのABOUT欄にも書いてあるんですが、この街の人たちに話を聞くと、みんな接点が濃かったときを振り返りながら、「あの時代は最高だった」と言うんです。世代に関係なく。それはつまり、つねにこの街は「今」が最高、ということなんじゃないかと。

株式会社CityLights Tokyo代表取締役・荒井昌岳さん。

荒井:僕は90年代は買い物にちょこちょこと来ていましたが、2000年ぐらいからこの街によく来るようになって、2015年ぐらいから職住もここに移して本格的にコミットするようになりました。「OMOHARAREAL」をやることで街の変化もよく見えるというか、「今はこういう方向にシフトしようとしてるな」というのがわかってきます。

布田:たとえば、今だと?

荒井:最近だと、ポップアップスペースがすごく増えています。理由はいくつかあるのですが、表参道・原宿というブランドと、SNSからの情報発信の相性が抜群に良いという側面、経済的な側面から言えば、地価が上がりすぎたため、長期では借りにくいと。ただ、企業はプロモーション予算がありますから、結果として期間限定のポップアップが増える。あと、じつはギャラリーもとても多いんです。「アートの街」と呼んでも過言ではないくらい。そのオープニングなども合わさって、イベントの街のイメージは強くなっていると思います。

布田:また、商品にしてもアートにしても、街によっても意味が変わりますよね。例えば、同じスイーツでも、お店が横浜や仙台にあるのと、原宿にあるのとでは違う。

M&Aナレッジカンパニー「GOZEN」代表・布田尚大さん

荒井:ええ、原宿は特にそうですね。スイーツは「味」はもちろんですが、この街では「映え」で流行るじゃないですか。原宿には、映えるように撮らせてしまう、という街の力があると思います。

そういうのも、昔の原宿カルチャーに漬かってきた人からすると「ちょっとチャラい街になっちゃったな」と思うかもしれない。でも、今の子たちにとっては、それこそが最高の瞬間だったりするわけです。

「記憶にしかない店」を残したかった

―荒井さんが「OMOHARAREAL」を始めた原点には、どんな思いがあったんでしょう。

荒井:この街って、知れば知るほど奥が深いんです。それこそ昭和の時代から、世代ごとに何度もピークがあって、それが積み重なって今の街を作っている。でも、その面白さが集約されている場所がなかった。個人レベルで言えば昔よく通っていた店がなくなったら、あとは記憶のなかにしか残らない。どんな店だったかを調べても時間が経ってしまえばネットでも出てこない。そういう時代の流れや、個人の大事な思い出をちゃんとストックしておけば、より深みのある街として認識されるのに、と。

―それを誰かが作るべきだと。

荒井:過去に旅行代理店が母体の大手メディアなど何社かがこの街のサイトを作ったこともあったんです。ただ、全国共通のフォーマットに街の情報を落とし込むだけで、関係ない広告がバンバン入ってきたりする。

すると、この街の感度に合わないし、結局なくなってしまった。この街の空気や温度感をそのまま伝えるメディアがあったらいいのにな、と純粋に思ったのが始まりです。

布田:とはいえ、物件情報サイトならありえますが、不動産屋がメディアを運営するってハードル高そうですよね。

荒井:そうなんですよ、でも、そのとき同時に「不動産屋の仕事とは本来なんなのか」という問いがあったんです。誰かが物件を探すとき、最初のステップは「どの街に住むか」を決めることじゃないですか。

でも、たいてい不動産会社の仕事は物件紹介からスタートする。そこにズレがあると思ったんです。しかもネットの時代になって情報の量と間口は広がったけど、「街を案内する力」はますます下がってしまった。ただの物件見学のカギ開け係みたいなケースも少なくありません。

布田:物件の情報は増えたけど、「街に住む」という観点が失われてしまっていると。

荒井:そうなんです。本来、「この街はこんな魅力があるよ」と伝えるのも不動産屋の仕事のはずで、そこと街のメディアの掛け合わせは相性がいい。ただ、どうせメディアをつくるなら不動産屋の枠に収まってはいけないなと思って、運営についてはプロの編集者も加わってもらったんです。

―クリエイティブエージェンシー・かくしごとの黄孟志さんが立ち上げの編集長として参画していますね。

荒井:ええ、構想段階で相談したら意気投合して、それであれば、そこは餅は餅屋でプロに任せて、僕は運営の基盤を作る側に回る。主軸の方の不動産の収益を立てれば、まずは短期的にはメディアの採算は気にせずやりたいことを追求できる。そこが出発点でした。

拡散ではなく、集約するためのメディア

布田:基本的な運営方針はどなたが考えたんですか。

荒井:それは僕です。大枠を作った段階で、初代編集長である黄さんが加わってくれて固めていきました。僕たちは「OMOHARAREAL」というメディアを、情報拡散よりも、どちらかというと情報集約や深掘りするためのものだと捉えています。

「OMOHARAREAL」には、新しいお店のニュースもあれば、街で働く人へのインタビューもある、イベントレポートもある。それぞれ情報は流れていきますが、同時にアーカイブも残っていく。そういう記事が月に40〜50本、積み上がっていきます。

そうやってこの街で起きたことをストックしていくこと自体に価値がある。なので、ちょっとした情報でも丁寧に扱うんです。

布田:しかも、すでにそれが10年分もあるわけですよね。M&Aの仕事をしていると、事業の「蓄積」にも注目するんですが、この質量のアーカイブがあること自体、驚きです。

荒井:メディアをやっていると、街にあるお店との距離感もユニークになっていきます。たとえば私たちの事務所ビルの下に「Sedai Coffee」というコーヒースタンドがあるんですが、こことは、物件を紹介するところから始まって、お店立ち上げ時のPRや求人などにも試験的に協力させてもらっています。いまでも何かあれば声をかけあうという関係がずっと続いています。

―不動産のお客さんが取材相手になったり、また、その逆もあったり。

荒井:そこは自然と情報が集まってきますので。「飲食をやるなら賃料はこれぐらいなので、この通りがいいですよ」とか、「アパレルならメゾンブランドとストリート系で、あそこの通り一本変わるだけでターゲットが全然違いますよ」とか。この街のことを知り尽くしているからこそ、言えることや、できるアドバイスがあります。

布田:しかも、「OMOHARAREAL」はローカルメディアながら、スタイリストの高橋靖子さんのようなレジェンドから、BEAMSの設楽洋社長、最近だとあのちゃんまで登場する。そうした誰もが知るような方たちも、ただのインタビューではなく、この街との関係を踏まえた文脈で登場していることがポイントだと思います。

結果として、メディアの信頼がより高まる循環ができている。

街のブランドを第一にしたからこそ、数字を積み上げられた

ーメディアの収益など「お金」にまつわるリアルもおうかがいできればと思います。業界的にローカルメディアのマネタイズは難しいと言われてきましたが、「OMOHARAREAL」としてはどう向き合ってきましたか?

荒井:表参道・原宿という街は日本でもトップクラスにパワーがある場所だと思っていて、だからこそメディアとしての可能性も十分あるはずだと考えてきました。そのため、収益化についても短期でいろいろと実験をしてきました。

例えば、広告枠を増やすとか数字をとるのが得意な編プロに依頼してみるといった、メディアとして定番型な稼ぎ方です。

そういう施策を打った際は、PVやアクセス数で見るとすごくパフォーマンスは上がったのですが、内容の薄い記事になってしまったりと、メディアブランドとしてはマイナスなことが多くて、その先にある収益と、目指しているメディアの形について改めて考えさせられました。

メディアのブランド=街のブランド=お店のブランドという考えで、これまで関係するお店の人たちに対しても「この街のために」というスタンスでメディアをやってきた以上、そのブランドを毀損するようなことはすべきではないという結論に至りました。

布田:ブランドを大切にしてきたという積み上げは、数字にもちゃんと出ていると思いますよ。

月間200万前後のインプレッションを出せているというのは、ブランド力の証明だと思います。M&Aの世界では「時間を買う」という言い方をしますが、「OMOHARAREAL」はまさにそれで——理想的な街のメディアをゼロから作ろうとしたら、「いい話だけどお金も時間もかかるよね」で終わってしまう。

長い間の蓄積がないと絶対に出現しえない価値が、すでに今目の前にあるんですよね。

荒井:そういう見方をしていただけるのはありがたいですね。なのでこれからは、ブランドを毀損せず、お金を稼げるかたちを探っていけたらと考えているんです。

お金の「地産地消」という発想と、M&Aも含めたビジネスとしての広がり

―収益化に関して試行錯誤してきたとのことですが、荒井さんは現時点で、メディアのブランドと収益の両立についてアイデアはありますか?

荒井:一つの考え方として行き着いたのは、「お金の地産地消」というイメージです。街のためのメディアだから、この街の企業や、お店からお金をいただいて、街のために使う。そういう循環が作れたら理想的だなと考えました。

その根っこには、「OMOHARAREAL」の本当の資産は何か、という問いがあります。10年間のアーカイブ、人々の体験や思い出、その時代の温度感——そういった蓄積があるからこそ、瞬間的なアクセスを売るモデルではなく、街ぐるみで支え合うかたちがあるといいな、と。

この街が「魅力的な街」であって欲しいという願いは同じだと思うので。

例えばですが、運営メンバーシップ制度。街のお店や企業がメンバーとして参加し、メディアを共同で支える体制です。メンバーには企業・お店の紹介記事の作成や求人掲載・PR記事・不動産仲介の割引といった特典を用意するようなイメージですね。

あとは、ポップアップスペースとメディアの連動モデルも相性がいいと思っています。事前プロモーションから会期中のレポート、終了後のアーカイブ記事まで一気通貫で提供するようなサービスです。ほかにも、エリア限定の求人記事やタイアップ記事を低コストで提供する広告も、街メディアと相互作用がありそうです。

布田:いま、荒井さんの構想を聞いてあらためて「OMOHARAREAL」のビジネスとしての可能性は相当広いと感じています。

表参道・原宿という街のパワー自体がインバウンドも受けてますます増していくなか、明確にセグメントされた年間200万PVを持ち、著名人や文化人に継続して出演していただけるブランドは本当に稀有です。

荒井:ありがとうございます。先ほど僕が話したアイデアは本当に一部で、色々な視点が加わることでもっともっと広がっていけるポテンシャルのあるメディアだと思っているんです。

最近では「これまで積み上げてきた価値をより高められる方法はないか」を真剣に考えるなかで、自社だけで完結するのではなく、M&A、コラボレーションや事業提携など幅広い選択肢を視野に入れてメディアの未来を考えています。

ーなるほど。布田さんは「OMOHARAREAL」のポテンシャルをどう見ていますか?

布田:僕の専門であるM&Aという視点で考えると、複数メディアを保有するメディア運営のプロ企業やアドネットワークの保有企業、広告代理店やマーケティング支援会社、例えばレンタルスペースのプラットフォームなどの若者向けプロダクトを持つ企業など、幅広い可能性があるように思います。

M&Aに限らず、まずは事業提携から、といったかたちもありえると思いますね。

ただ、どちらにせよ人は大事です。編集チームはすでにいいメンバーが揃っていて、「OMOHARAREAL」の志を体現している。そこに、メディアとビジネスを掛け合わせて数字に落とし込めるビジネスプロデューサーのような人が加わると、一気に変わるのではと考えています。そのため、企業さんはもちろん、「OMOHARAREAL」を収益化できるプロデューサー・プロ経営者さんともお話したいですね。

荒井:布田さんが言ってくれたように、M&Aもあるし、パートナーとして一緒にやるかたちもありうる。

僕が望むのは、いずれにせよ「OMOHARAREAL」がより一歩先のステージに進むことなんです。

「OMOHARAREAL」を通して見たい未来

―選択肢が幅広くなることで描く未来も多様になりそうですね。では最後に、お二人が「OMOHARAREAL」を通して見てみたい未来を聞かせてください。

布田:街の情報を直線的に発信するだけでなく、メディアによって街に集まる人が増え、憧れを抱いた人が活動する側に回り、街にコンテンツが溢れ、またメディアがそれを発信して街の魅力がさらに高まる——そういう「文化的なサーキュラーエコノミー」が確立するといいと思っています。

AIでコンテンツが無限に氾濫する時代だからこそ、長期的な視座で文化と経済に貢献する存在になってほしいですね。

荒井:僕としては「OMOHARAREAL」が、表参道・原宿という街において、空気のように当たり前にある「インフラ」になることです。この街で遊びたい、働きたい、歴史を知りたいと思った人が、真っ先に自然にアクセスする場所。単なるメディアの枠を超えて、街の一部と言える存在になることですね。

10年かけて育てた「見えない資産」がここにあるとしたら、この先、どんな景色が描けるか、僕も楽しみにしています。

「OMOHARAREAL」の運営・承継にご興味をもたれた方はこちら

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※本件のファイナンシャルアドバイザリーはCINRA社 / GOZEN社が担っております。掲載事業者への一切の直接連絡は事業者様のご迷惑になりますのでお控えください。

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