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ギタリスト / DJから音楽プロデューサーへ。キャリアチェンジをした2人に聞く広告音楽の楽しさ

株式会社ビショップミュージック

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オフィスに入ると、壁一面にCDやレコードがぎっしり。ラインナップは、J-POPがあるかと思えば、すぐ隣にはインド映画のサントラ。壁にはギターが掛かり、インテリアのように飾られているものもよく見れば中南米の民族楽器。

音楽プロデューサーの藤原太郎さんが代表を務め、広告音楽の制作を手がけるBISHOP MUSICで働く人たちは、時代や地域を問わず多様な音楽のインプットをし続けている。そこで仕入れた知識や経験が、CMを彩る音楽に活かされていく。

プロデューサーの鄭弘隆さんと小野岳広さんは、それぞれ異なる音楽の道からBISHOP MUSICに転職。どのようにそのキャリアを築いてきたのかをうかがった。

  • 取材・文:山本梨央
  • 撮影:鈴木渉
  • 編集:吉田薫

BISHOP MUSICの先輩たちの音楽知識は、度肝を抜かれるレベルだった

ーお2人はもともと音楽に関わるお仕事をされていたところから、BISHOP MUSICに転職したとうかがいました。以前はどんなお仕事をされていたのですか?

鄭:私はフリーランスの作曲家として、アーティストの楽曲制作から、舞台やインディペンデント映画の音楽制作まで、幅広く携わってきました。あとは、クラブでDJイベントをオーガナイズすることも多かったですね。私自身もDJとして出演したりもしていました。少しずつ広告音楽の仕事も増えてきたのですが、改めて規模の大きい広告音楽にも触れてみたいと思い、BISHOP MUSICに入社しました。

鄭弘隆さん。関西出身。関西大学経済学部卒業。中学生の頃にギターに触れ、以来約10年間ロックやシューゲイザーなど多様なジャンルのバンドでギタリストとして活動。後にDJ / トラックメイカーとしての活動をスタート。都内のクラブを中心にクロスカルチャーをテーマに掲げたパーティーのオーガナイズを経験。またアーティストの楽曲のミックス、マスタリングなどのサウンドエンジニアリングの領域にも着手。 作曲家として舞台、CM、VP、インディペンデント映画など、映像コンテンツへの楽曲制作をスタート。映像作品に音楽でアプローチする楽しさを知り、2022年にBISHOP MUSICに入社

小野:私は、地元・福岡を拠点に、「Attractions」というロックバンドで作曲家 / ギタリストとしてアーティスト活動を行なってきました。バンドが活動休止することになり、次のキャリアを考えたときにより幅広い分野の音楽に携わることができる広告音楽に興味を持ってBISHOP MUSICに応募しました。

小野岳広さん。福岡県福岡市出身。15歳よりギターをはじめ、今日に至るまで音楽活動を続ける。2016年ロックバンド「Attractions」を結成。ギター、作曲を担当。2018年ビクターエンタテイメントGetting Betterよりメジャーデビュー。「サウス・バイ・サウスウェスト」「SUMMER SONIC FESTIVAL」など国内外の音楽フェスに多数出演。2021年Attractions活動休止後、アーティストへの楽曲提供・プロデュース、サポートギタリストなど個人での活動を行う。2022年にBISHOP MUSICに入社

ーなるほど。実際、入社してみていかがでしたか?

鄭:音楽が好きな人が集まった会社だろうと想像はしていたものの、あまりにも想像以上で、度肝を抜かれました(笑)。しかも、先輩たちは音楽が好きなだけじゃなく知識が豊富なんです。CM音楽のプロデュースをするためには、さまざまなジャンルの音楽を知っていないといけない。ロックもジャズも、クラシックも、民族音楽も、とにかく時代も地域も問わず幅広い音楽に詳しくて驚きました。

小野:広告音楽は、つくる音楽のジャンルも幅広いですし、商品やサービス、企業ブランディングなど、映像の内容によって音楽アプローチもさまざま。これまでやってきた自己表現としての音楽アプローチとはかなり違いましたね。

鄭:たとえば先輩がある曲を聞いたときに「この曲はこういう機材を使ってこうしたら、音像を再現できる」という解像度で分析していました。そういう他のメンバーの姿勢から学ぶことは本当に多いですね。

アシスタントプロデューサーが鍛えるべきは「気配り」

ーお2人は入社後、まずはアシスタントプロデューサーからスタートしたとうかがいました。具体的にはどんな業務からはじめたのですか?

鄭:とにかくいろんなプロデューサーに付いて、あらゆる業務で鍛えられました。代表の藤原のアシスタントを担当するときは、たいてい案件の最初の打ち合わせから納品までベタ付きでサポートしますが、他のプロデューサーに「勉強がてら同席してみる?」と声をかけられ、レコーディングだけ同席させてもらったりすることもあります。あとはアイデア出しのみ手伝うということもありましたね。

小野:アイデア出しに参加するだけでも、かなり勉強になるんです。私たちは音楽制作の相談をいただいた際、まずは打ち合わせにて企画内容と映像監督の思い描いている演出イメージをヒアリングし、マッチする楽曲の方向性を探っていきます。

たとえば、「オーケストラで静かに始まり、クライマックスにかけて壮大に盛り上がっていく曲」というテーマが出たとして、社内でアイデア出しをしていくのですが、出てくる音楽は人によってさまざま。選曲センスもそれぞれ違いますし、人数が増えるほどアイデアが広がっていく。
各々のピックアップした楽曲も都度シェアできるので、知識も得られるし、とても刺激になりますね。

鄭:それから、BISHOP MUSICで特に大切にしているのは丁寧な資料づくりです。クライアントに伝わりやすく、どれだけ手間を取らせないか。メールを見てファイルを開いたときに、一目見ただけで何の資料かわかるように心がけています。

楽曲制作のプロデュースに必要な右脳的なセンスだけではなく、ロジカルに進めていく左脳的なセンスも求められる仕事だなと思いましたね。スケジュールの進行管理も大事ですし。これはフリーランスではなかなか学べなかった部分です。

小野:広告音楽は、作曲家、ボーカリスト、楽器の演奏家、レコーディング・ミックスエンジニアさんなど、沢山の方々が完成までに携わります。とにかく1人ではできない仕事なんです。なので関わっていただく方々にリスペクトを持って、みなさんが気持ち良くクリエイティブできるように、気配りや配慮をしながら制作を進行することもアシスタントプロデューサーの役割だと思います。

楽曲制作から選曲、使用許諾代行まで。音楽プロデューサーの醍醐味とは

ー鄭さんがプロデューサーとして手がけられたお仕事のなかで、特に印象に残っているものはありますか?

鄭:ASICSさんの「三年間じゃない、一生だ。」というコピーのCMです。部活に焦点を当てた、高校生が主人公の企画だったのですが、案件が決まる前のプレゼン段階からご一緒して、アーティストさんの候補出しからはじめました。ASICSさんの想いを聞いて、ポニーキャニオン所属の「とた」さんというアーティストをアサインし、映像チームと打ち合わせを重ねて、歌詞や曲調を調整しながら、完成まで辿り着きました。

ー完成を迎えて、どのような手応えを感じましたか?

鄭:とたさんの歌詞は、比喩表現とわかりやすい言葉がとても上手に混ざっていて、自分自身が高校生だった頃のことも思い出すほど。シンプルにいい曲だな、と思いました。そもそも、クライアントからのオーダーはありつつも、アーティストさんの良さを自然に引き出したいという気持ちもあるんです。特にCMの職業作家さんではない場合、オーダーを事細かに伝えすぎると、つくりづらくなってしまう場合もあります。今回は自由に表現していただきながら、クライアントにも喜んでいただけたお仕事になったなと思っています。

「三年間じゃない、一生だ。」ASICS

ー小野さんはいかがでしょう?

小野:私は、地元・福岡の制作会社の方からご相談いただき携わることになった西日本シティ銀行さんの20周年ブランドCMです。楽曲の選曲と、使用許諾代行を担当させていただきました。

ー具体的に、どんな楽曲になったのですか?

小野:企画段階から携わらせていただき、CMのコンセプトに合った楽曲や、福岡にゆかりのあるアーティストによる書き下ろし案など、さまざまな方向性を提案し可能性を探りました。そのなかで提案したのが、Superflyさんの“やさしい気持ちで”という楽曲。歌詞や、楽曲の持つパワーが、CMとして伝えたいメッセージとマッチしていたんです。そこから関係各所と交渉の上、使用許可をいただき、最終的に決定となりました。

CM音楽というと、オリジナル楽曲を制作するイメージが強いかもしれませんが、既存楽曲の使用許諾代行も、CM音楽プロデューサーとしては大きな仕事のひとつ。この西日本シティ銀行さんのCMに携われたことはプロデューサーとして初仕事だったこともあり、自分にとって記憶に残る仕事になりました。

西日本シティ銀行「銀行は、人だ。」(60秒)

「音楽」だけでなく「音」全般をつくり上げるのが、この仕事

ー楽曲制作、使用許諾代行のほかにも、広告音楽制作ならではというお仕事もあるのでしょうか?

鄭:案件によりますが、楽曲や歌だけではなく、ナレーションの提案・手配をすることもありますし、SE(サウンドエフェクト=効果音のこと)をつくることもありますね。音楽というよりは、音全般をつくっていくイメージでしょうか。特殊な案件ではあるのですが、イベント用の楽曲を制作し会場の音響設計まで携わった案件などもありました。

鄭さんが楽曲を手がけた JR九州×長崎県のCM「新幹線で世界へ!?NAGASAKI」

小野:幅広い領域における「音」をつくっていくために、BISHOP MUSICではさまざまなコンテンツに足を運んで、体験し、インプットすることを推奨されいてます。そういった姿勢が社風として根付いているんです。定期的に映画やアーティストのライブを見にいきますし、クラブに足を運ぶこともあります。直近ではミュージカルを見に行って、生バンドから学んだ部分もありました。こういう経験を重ねていくと感覚も磨かれますし、使えるアイデアやヒントが増えていく。インプットするチャンスを増やしていくことで、アウトプットの幅も自ずと広がっていきます。

小野さんが手がけたRegenerative Good Series uka IZU ShampooのCM「生き返ろ、uka」

ー今後チャレンジしてみたい仕事はありますか?

鄭:日々、やってみたいというネタは増え続けていますが、いつかは誰もが知っている、みんなに長く愛されるようなコマーシャルソングをつくりたいですね。たとえば「ポリンキー」のCMのような、誰でも口ずさめるほど浸透する楽曲に携われたら、と思っています。

小野:CM音楽プロデューサーとしてまだまだ若手なので、今はどんどん新しいことにチャレンジして、プロデューサーとしての幅を広げたいと思っています。

また、私はライブやレコーディングサポートなど、ギタリストの仕事も受けさせてもらっているんです。現在は、Newspeakというバンドのサポートギタリストをさせていただいており、2024年7月10日にリリースされるメジャー1stアルバムでは、レコーディングに参加しています。こうして自分のスキルを仕事に活かすことができる点もBISHOP MUSICの魅力のひとつ。今後も、型にとらわれず、自分の個性を活かしたプロデュースワークをしていきたいと考えています。

小野さんがギタリストとして参加した:NewspeakのMajor 1st Full Album『Newspeak』

ー柔軟な働き方ができるのですね。最後に、BISHOP MUSICのアシスタントプロデューサーには、どういった素地や素養が必要だと思いますか?

小野:まずは音楽がめちゃめちゃ好きなこと(笑)!
また、案件を進行していくうえで、音楽的センスを担う右脳と、制作をロジカルに進めるための左脳をバランスよく使い分けることが、広告音楽の仕事ではとても大事だと思います。クリエイティブな意見を必要とするシチュエーションもありますし、プロジェクトの進行状況を管理し、円滑に進めるためにロジカルな思考が求められることもあります。

鄭:たくさんの人と話しながら、やり取りを進めるうえで、自分が思っていることを伝えるだけでなく、相手がやりたいことを深く理解しなければなりません。今回募集するアシスタントプロデューサーのポジションでは、そういった気配りやバランス感覚もすごく鍛えることができるはずです。学ぶ姿勢があれば、自分がつくる音楽に必要な情報や知識を先輩から教えてもらうことも可能です。

最終的に、いい音楽をつくることがぼくらの目標です。だから、作品がよくなるためなら惜しみなくメンバー間で協力し合うことができるというのがBISHOP MUSICならではでの働き方だと思っています。なので、音楽が好きで、どんなことでもどんどん吸収していける人なら、この環境を楽しめると思いますね。

Profile

株式会社ビショップミュージック

BISHOP MUSICは2011年に設立された音楽プロダクションです。

主な事業としてテレビ / ラジオCM、WEBサイト用ムービーなどの広告用音楽の企画、制作をはじめ、映画用サウンドトラックやSEの制作や企業サウンドロゴの開発、そのほかにもいろいろなインスタレーションやプラネタリウム、ゲーム用音楽、舞台、VR作品用音源など、アート、エンターテイメントのための音楽クリエイティブ企画、制作を中心に活動しています。

弊社プロデュース作品を実際お聴きになりたい方は下記worksページをご覧ください。
http://www.bishop-music.com/works/

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