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WEBクリエイティブの最前線座談会

株式会社イメージソース×株式会社ソニックジャム×株式会社エイド・ディーシーシー

ひとくちに「WEB制作会社」と言っても、色んな会社がある。「ホームページ、10万円でつくります!」と、営業マンがテレアポをしてWEBサイトを量産する企業から、1つのサイトで何千万円という予算をかけてWEBクリエイティブの限界に挑戦し続ける企業まで、ほんとにさまざま。目的も、人も、社風も、仕事の仕方も、まったく違う。それぞれ良し悪しはあるのだろうけど、CINRA.JOBのオープン記念として企画されたこの座談会では、やっぱりWEB制作の頂点を行っている人たちにお話しを聞いてみたかった。 そんなわけでこの座談会に登場するのは、WEBクリエイティブを極めようとするなら必ず目にする3社の経営陣。イメージソースの小池博史氏、ソニックジャムの村田健氏、そしてAID-DCC(エイド・ディーシーシー)の富永勇亮氏だ。それぞれの最近の作品紹介から、現在とこれからの仕事について、語り合っていただいた。

テキスト:杉浦太一 撮影:丸田武史(2011/06/01)

最近の作品を自慢し合おうの会!

イメージソース 『DROW』

『DROW』 http://drow.jp/

『DROW』
http://drow.jp/

―ではまず、みなさんに最近お作りになった作品を大いに自慢していただきたいと思います(笑)。トップバッターはイメージソースさん。小池さん、いかがですか?

小池:最近の作品だと、『DROW』ですかね。インタラクティブなVJができるiPhoneアプリです。先日、『REPUBLIC』というイベントが渋谷のWOMBで開催されたのですが、そのイベントに先駆けて無料配布したiPhoneアプリの開発に関わりました。アプリで絵を描いて、iPhoneを渋谷の方角に向かって投げる仕草をすると、会場のスクリーンにその絵が映し出される、っていう仕組みです。昨年自社で開発した『paparazzi』という、写真をスクリーンに向かって「投げる」ことができるiPhoneアプリをヒントに、クリエイターの川村真司氏、Zach Lieberman氏とイメージソースの清水幹太が企画して進化させました。

―自分のiPhoneで描いた絵を、どこからでも会場に送れるっていうことですか?

小池:そうです。どこからでもよくって、会場である渋谷のWOMBの方角に向かって投げればいいんです。すると絵が会場に受信され、口口口(クチロロ)の音楽にあわせてその絵にエフェクトがかけられて投影される、というものでした。

村田:ぼく、これイベント会場で見てましたけど、すごく面白かったですよ。お客さんも楽しんでた。

小池:今度、この仕組みをパッケージ化して売りたいと思っているんですよ。誰でも自分たちのイベントで使えるようになったらいいな、と思って。

富永:おぉ、それはいいですね!

小池:じゃ、次はソニックジャムさん。

ソニックジャム 『あなたの夢に応援歌』

『あなたの夢に応援歌|JACCS』 http://cm.jaccs.co.jp/jaccs_songs/

『あなたの夢に応援歌|JACCS』

村田:このサイトはジャックスさんがクライアントでつくったブランディングサイトです。曽我部恵一バンドさんやカジヒデキさんを筆頭に、インディーズバンドのミュージックビデオが流れます。映像と共に歌詞が出てきて、自分がいいな、って思ったタイミングでクリックすると、ツイッターやフェイスブックにコメントを投稿できるようになっています。そしてそこで投稿したコメントや自分のアイコンが、サイト上にも掲載されます。

小池:いいですねぇ。最近、こういう暑苦しくて元気なWEBコンテンツって、意外となかったかもしれない。

村田:そうなんですよ。印象的だったのは、このサイトのリリースが3月下旬で、CMも流して展開される予定だったんですけど、震災が起きました。このサイトもどうなるか心配だったんですけど、そもそも若者を応援しようっていうコンセプトだし、むしろ今やるべきじゃないか、ということでリリースできて本当によかったです。

富永:コンテンツが誰かの夢につながるというか、そういう二次発生する仕組みづくりができるのは、作り手としてすごく嬉しいことですよね。

村田:これからも定期的にミュージックビデオがアップされていくので、どんどん広がっていってほしいですね。このサイトに出ているミュージシャンみんなでイベントができたら、なんて思っています。

AID-DCC 『エガポン』

『エガポン –パタポン3スペシャルサイト』

『エガポン –パタポン3スペシャルサイト』

富永:それじゃ、ウチはこの流れで素敵じゃない音モノをいきますね(笑)。『パタポン』というPSPの音ゲーがあるんですけど、その拡散キャンペーンでつくったのが、パタポンとは関係ないんですけど……江頭2:50さんで、『エガポン』。ゲームになっているので、ちょっとやってみますね。

一同、画面にくぎづけ

富永:ボタンを押すと、江頭さんが様々なリアクションをします。リアクションの組み合わせで、制限時間内にどれだけコマンドを出せるかを競うゲームです。江頭さんのリアクションや、ゲーム終了後のコメント映像とか、演出面もかなりこだわってつくりました。難易度の高いゲームですが、みなさん何度もチャレンジしてくれて嬉しかったです。

小池:これ、本物のゲームよりインパクトがあって、面白い感じがするね(笑)。

富永:ありがとうございます。実はこのサイトをリリースしてから、ツイッターなどで、『エガポン』も発売して欲しいって声もあがってました(笑)。

広がる、WEB制作会社の役割

昔から「WEB制作会社」という意識はあまりなかったんです。(小池)

―今紹介していただいた作品もそうですが、みなさん、いわゆる「ホームページをつくる会社」という枠組みをすでに越えていますよね。

富永:はじめからこんなに色々できていたわけではなく、最初はそれこそクライアントから素材をもらって、色んな制限がある中でコツコツと制作していましたね。地味なものもたくさんありましたし。それでも続けていくうちに徐々に表現の幅が広がって、最近ではタレントさんの撮影もさせてもらえるし、構成作家さんと企画をつくったり、自由度が増してきている実感はありますね。

株式会社イメージソース/株式会社ノングリッド 代表取締役 小池博史氏 2000年ノングリッド設立。2005年株式会社イメージソースと業務提携、同社代表取締役社長に就任。Web、インスタレーション、イベント演出などインタラクティブな手法を用いて、様々なフィールドで活躍。 http://www.imgsrc.co.jp

株式会社イメージソース/株式会社ノングリッド 代表取締役 小池博史氏
2000年ノングリッド設立。2005年株式会社イメージソースと業務提携、同社代表取締役社長に就任。Web、インスタレーション、イベント演出などインタラクティブな手法を用いて、様々なフィールドで活躍。
http://www.imgsrc.co.jp

小池:ぼくらの場合は、昔からWEB制作会社という意識はあまりなかったんです。自分たちのことをはじめからデザイン会社だと思っているので、紙からWEB、空間からインスタレーションまで、いわゆる「デザイン」というものなら何でもやるっていうスタンスでやってきました。

村田:ウチはわりと時代の変化を感じています。iPhoneやAR(拡張現実)が流行ったことで、そういった依頼がここ1年でかなり増えてきて。最近だと、ツイッターやフェイスブックの使い方をクライアントから相談されるケースも多いです。色んな技術や手段が生まれているので、クライアントも誰に頼めばいいのかわからない状況なんですよね。

小池:今は何をするにしても、ソーシャルメディアの存在を考えないわけにはいきませんよね。ぼくはずっと外堀を埋めていきたいな、って思っていたんです。例えばWEBサイトであれば、サイトはユーザーがアクセスしてくれないと見てもらえないから、色んな形で広告するわけですよね。そういう、サイトに訪れるまでの外堀の部分も埋められるように、自分たちで広告の企画をつくったり、リアルな場所での展開の提案をしたりしています。ソーシャルメディアも新しい外堀の1つとしても有効ですよね。

経営陣だからこそ、現場主義。

自分でつくりたいという思いは強いですよね。(富永)

―従業員数が2、30人というと、WEB制作会社の規模としては大きい方だと思うのですが、経営陣であるみなさんご自身は、どれくらいプロジェクトに参加するんですか?

村田:プロジェクトごとに違うんですけど、「これは自分でやりたい!」っていうのは、企画からプレゼンまで自分でやりますね。現場に立ち会いたいという思いは常にあるので、時間が許す限りやっています。

小池:そうですよね。ぼくも以前よりは減りましたけど、やっぱり現場に近いところにいるようにしています。さすがにすべての仕事には首を突っ込めなくなっていますが、どういう案件があって、どう進行しているのかはすべて把握しています。

株式会社エイド・ディーシーシー COO兼プランナー 富永勇亮氏 1976年生まれ。1999年立命館大学3回生時に休学し、DANP UNION結成、翌年解散。2000年エイド・ディーシーシー設立に参画、2001年復学、卒業、現在に至る。キャンペーンサイト、ブランドサイトを中心にプランニング、プロデュース、制作進行、演出などを行う。 http://www.aid-dcc.com/

株式会社エイド・ディーシーシー COO兼プランナー 富永勇亮氏
1976年生まれ。1999年立命館大学3回生時に休学し、DANP UNION結成、翌年解散。2000年エイド・ディーシーシー設立に参画、2001年復学、卒業、現在に至る。キャンペーンサイト、ブランドサイトを中心にプランニング、プロデュース、制作進行、演出などを行う。
http://www.aid-dcc.com/

富永:ウチの場合は本社の大阪と東京の2拠点あって、ぼくは両方を行き来しているので、やっぱり全ての案件に携わるのは不可能です。でも、サイトがリリースする前に、全社員のメーリングリストで報告するようにしています。クオリティのチェックをそれぞれが行なうという目的もあるんですが、そういう形で、今どういう仕事が動いているのかを全員が把握できるようにしています。きっとみなさんそうだと思うんですけど、結局自分でつくりたいという思いは強いですよね。

―つくるのが好きだから、「経営だけやってます」ということにはならないわけですね。

富永:カリブ海でプカプカ浮かびながら会社がうまく回っていくのも、やぶさかではございませんが(笑)。

WEB制作業界の人間関係ってフラット?

新卒を採用するようになってから、社員教育をきちんとやらないと、って思うようになりました。(村田)

―WEB制作業界って、いわゆるスーツを着て仕事をする会社に比べると、組織自体がフラットなイメージがあるんですが、実際どうなんでしょう?

富永:いや、そんなことはないですよ。ウチはキチンとメリハリつけてますね。

小池:イメージソースは、ちょっとゆるいところがあるかもしれません。新卒で採用するというよりはアルバイトからはじめることが多いからかもしれないけど。でも、ちゃんとやっていきたいところですね。

株式会社ソニックジャム 代表取締役・チーフプロデューサー 村田健氏 フリーランスとして数年web制作に携わった後、2001年9月株式会社ソニックジャム設立。以後、企画、設計、テクニカルディレクション、映像・サウンドディレクションなどさまざまな役割で多くのウェブサイト制作に携わる。 http://www.sonicjam.co.jp/

株式会社ソニックジャム 代表取締役・チーフプロデューサー 村田健氏
フリーランスとして数年web制作に携わった後、2001年9月株式会社ソニックジャム設立。以後、企画、設計、テクニカルディレクション、映像・サウンドディレクションなどさまざまな役割で多くのウェブサイト制作に携わる。
http://www.sonicjam.co.jp/

村田:大事ですよね。やっぱり新卒を採用するようになってから、社員教育をきちんとやらないと、って思うようになりました。やっぱりはじめて入る会社って、間違いなくその人の今後の労働人生に関わると思うんです。中途で入社した人を見ると、前職がどんな会社だったのか、大体見えてきますから。

富永:あぁ、それわかります。親じゃないけど、やっぱり新卒に対する責任感はありますよね。マナー研修とかやってますもん。ぼくは、会議上では、逆にフラットでないと駄目だと思うんですよ。そうじゃないと、いいものは生まれない。だけど、会社の組織上はきちんと上下があって、同時に誰が責任を取るのかも明確にしています。

村田:最近だと、デザインやプログラミングでも、新卒でもバリバリ仕事ができる人もいるんです。だからこそ、いわゆるビジネススキルが疎かになりがちだったりもするので、ないがしろしてはいけないなって思っています。

ズバリ、どんな人が欲しいですか?

WEBをつくる側の人だけじゃなくて、見る側だった人材も必要だと思っています。(富永)

―みなさん最終面接で全員にお会いになるようですが、どんな人を採用しているんですか?

富永:お、いよいよ来ましたね(笑)。ぼくも聞いてみたいです。

小池:役職にもよるんですけど、例えばデザイナーなら、何か1つ面白いと思う作品がある人を採りますね。逆に「何でもできます」っていう人は少ないかな。そういう人は大企業に行った方が合うと思うし。

富永:レイダーチャートで言うと、均等に能力の高い人ではないんですね。

小池:そうそう。逆にデザイナーじゃなくて、マネージャーの採用だったら、そういう才能をきちんと見極めれる人かな。

村田:ウチの場合は2パターンあるんです。このポジションに欠員が出たからすぐにでも欲しいっていうパターンと、なんだかわからないけど面白そうだから採用っていうパターンです。採用後、はじめは他の社員に変な目で見られますけどね(笑)。

―その採用の仕方もすごいですね(笑)。

村田:今後もっと飛躍するためには、WEB制作会社としてこのまま続けていくだけじゃなくて、今までにない人材が必要だと思っているんですよ。そういう変化のきっかけになる人が必要だと思っていて、だから、他業界の人でも、そこでの経験があるのであれば来てもらいたいですね。実際に、WEBは未経験だったけど編集やっていましたっていう人が活躍していたりしますし。

小池:インタラクティブなものへの興味は大事ですよね。映像の人でも、例えばCM業界にいた人がインタラクティブなものに対する知識がまったくなかったりすると、どうしても難しくなったりする局面もあります。だから、他業種でも大歓迎だけど、色々知っていたり、興味がある人だといいな…って、それみんな欲しい人か(笑)。

富永:そうですね(笑)。もちろんスキルがものすごい人もいいんですけど、WEBをつくる側の人だけじゃなくて、見る側だった人材も必要だと思っています。特にCINRAを見ている人って、色んなフィールドの人がいると思うんですよね。映像とか編集とか、他の業界の人ともどんどん会ってみたいです。

村田:あ、でも第一印象ってありません? ぼくの場合、意外とそれが当たったりするんです、経験上。

小池:あぁ、それ、わかります。もう一度会って話したいなって思えることはすごく重要かも。

3通りの「これから」。

今の日本のインタラクティブな表現を世界に発信していきたいんです。(小池)

―それでは最後に、今後の展望や展開、可能な範囲で教えてもらってもいいですか? ではソニックジャムさんから、いかがでしょう?

村田:今はもう、会社が大きくなれば強くなるっていう単純な状況ではないと思っています。それぞれの会社に適正な規模があるし、色んな働き方がある。実際にウチでも、結婚をして長野に住んでいるデザイナーがいるんです。やりとりはスカイプでやっています。本人が働きたくて、会社としても必要な人材なら、形を変えればいいだけだと思うんです。社員に対してだけでなく、同業他社をライバル視するのではなくて、時には手を組んだり、フリーの人たちと何かをやったり、もっと柔軟な形でクリエイティブ業界を盛り上げていきたいと思っています。欲を言えば、そういう働き方や考え方が、この業界を中心に色んな業界に浸透して、世界規模で広がっていけばいいなと思っています。

―働き方というのは、震災の影響もあって一層注目されるようになってきましたよね。イメージソースさんは今後いかがですか?

小池:ぼくも村田さんの言うように、自分たちが得意とするインタラクティブな表現を主軸にしつつ、プラスアルファで他の会社さんと一緒に色んな分野に挑戦していきたいですね。特にPRやプロモーションは、ぼくらなりの形をつくっていきたいと思っています。あとは、海外展開ですね。実際にすでに動き始めていますが、今の日本のインタラクティブな表現を世界に発信していきたいんです。もちろん発信だけじゃなくて、世界には本当に面白いクリエイターがたくさんいるので、お互いに刺激をし合えるような環境をつくっていきたいと思っています。

富永:海外いいですねぇ。エイドは、受け身ではなく、もっと自分達のやり方を追求していきたいと思っています。WEBっていう狭い業界だけじゃなくて、出版もテレビもCMもみんな巻き込んで、インタラクティブという軸を通して新しい“こと”を世に問えるような会社にしていきたいですね。

―クライアントから仕事を「受ける」だけじゃなく、自分たちで仕事を「つくる」ということですかね?

村田:それいいなぁ。

小池:俺も入社しよ(笑)。

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