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グスコーブドリ的働き方? 人や社会の役に立つためのbudoriの5箇条

株式会社budori

「一緒に考え、共につくる」をポリシーに掲げ、ブランディングやデザイン、空間演出など枠に留まらないサービスを展開する株式会社budori。社名の由来は、宮沢賢治作の童話『グスコーブドリの伝記』からきている。主人公の生き方・考え方から受け取った5つのメッセージ──「自然とのあり方」「人の生き方」「思いの実現」「愛」そして「継承」──を実際の働き方の指針として取り入れている。設立から10年。理想論だけでは決して乗り越えられない年月だ。「世のためになる仕事」というテーマは変えず、どのように成長し続けているのか。これまでのbudoriの歩みを、代表の有村正一さん、ディレクターの納谷陽平さん、田中大士さん、そしてデザイナーの坂元沙也可さんに振り返ってもらった。

3.「愛」─“ジブンゴト化”されることで、
素晴らしいクリエイティブを生む

より良い方針を打ち立てるためには、本音を聞くことが大切。上下関係ではなく、フラットな関係でクライアントに接することが多いburoriにとって、理想ともいえる関係を築く秘訣は、「ジブンゴト化」することだという。

有村:人ごとではなく、ジブンゴトにしないと、思いは伝わりません。直接足を運ぶ、クライアントと直接話す、距離が近い関係は「この人のために何かやってみたいな」という気持ちを生みます。おせっかいのような気持ちは、良いものを生む。みんな素直なので、気持ちを汲み取って自分の中に入れるのが早いですね。

「ジブンゴト化」する、ということは時にプレッシャーを生む。ある程度一線を引きがちな仕事の中で、なぜそのような考え方ができるのか。

納谷:以前の職場で、言われたことをただやっていたときは「ジブンゴト化」できていなかったと思います。今なら「正しくないと思うことはやらない」と自分の中できちんと線引きをしているかもしれません。

坂元:お客さんとの距離が圧倒的に近いからできることですよね。私も以前は、営業がワンクッション挟まるので、決められた枠に収まるように仕事をしていました。でも今はより良くするために、提案できる余白がクライアントさんとの関係性の中にあるので、色んなことを考えたくなるんです。

4.「人としての生き方」─自分から創りだし、学び続ける姿勢

取材中、「みんなで」というキーワードが多く挙がった。社員数10名ほどの人数だからこそかもしれないが、全員で取り組もうとする姿勢が非常に強い。

有村:連帯感を生むためではなく、自分のものにしてほしいから全員で取り組もうという選択になっているのだと思います。社名をbudoriに変更する際も、全員で話し合いました。ロゴ、表記、思いなどもすべてです。進捗確認もデザイナーやWEB制作者、全員でするのでお互いの肌感覚の中でプロジェクトが進んでいくのは小集団のメリットですよね。

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全員でアイデアを出し合いカバーし合うことが当たり前、なのかもしれない。働くことへの考え方や姿勢が似ているのもbudoriらしさにつながっている。有村さん自身は様々な仕事の経験をするために、起業まで6度の転職を経験。社会人のスタートはパン屋からだったそうだ。「人生の様々な転換期を、しんどいことも嬉しいことも前向きに解釈し乗り越えてきたスタッフが多い」と有村さんは話す。

有村:坂元は自力で働きながら本気でデザインを勉強してきた人。納谷はポートフォリオに人柄や信念が出ていた。田中は話題が盛り上がり延べ7時間も面接をしました(笑)。最初の1回では話し足りなくて、その次も面接をして。

田中:技術的なことは一切聞かれませんでした。それよりも、今の社会が抱えている課題や環境への疑問をたくさん話したことは覚えています。

当初はネットショッピングをメイン事業としていた。しかし、「ネットショッピングだけが課題解決ではないはず」と考えていた有村さん。そんな中、budoriらしい人たちが様々な特技をもって集まったことで、アイデアさえあれば商品をつくったり、絵本をプロデュースしたり、ゼロから仕事をつくる理想の形ができてきた。

有村:たとえば、フェアトレードで取り扱う商品の魅力を伝えるためにどうしたらいいのか考えた結果、子どもに伝えるための絵本を出版しました。デザインだけではなく、自分たちが発信元になったことは大きな挑戦でしたね。

実はbudoriのコーポレートサイトには明確な事業内容が書かれていない。できることの幅が広がっていく中で、ゼロから発案する起案者集団として、決まりきった枠組みは設けないというポリシーから生まれた姿勢だ。

有村:WEB制作やデザイン、出版など、どれを中心にという事業はなく、できることはどんどん広げていきたい。スキルは時代と共に変わっていくものなので、柔軟に身につけて学び続けてほしいです。

5.「自然とのあり方」と「継承」─次世代に継承される仕事を創る

事業の枠組みがない、という自由さがありながらも、budoriの大切な基盤として「自然とのあり方」と「継承」というメッセージがある。社会が抱えている課題と向き合い、次の世代に継承できる仕事をするという思いについて有村さんは話す。

有村:この事業はどういう使命を帯び、この事業を通じてどのように世の中に役に立てるのか。一生懸命生きたとしても僕らには寿命があります。すりむきながら、あいつ変だなと言われながらも、困りごとを工夫し人に役立つことが大切。次の世代に継承できる仕事をつくり続けたいですね。

さらに現在、「継承」につながる自社事業も準備を進めているという。納谷さんが提案した『キネヅカ』は、シニア向けの仕事情報だけを紹介する画期的なサービスだ。

ディレクター 納谷陽平さん

ディレクター 納谷陽平さん

納谷:ずっと仕事で各地を飛び回っていた父が定年退職し、年金暮らしの姿を見ていたのがきっかけでした。仕事への意欲が高い人だったのに、定年後は家からあまり出ず、年金だけだとお金も少ないので旅行にも行けない。急速に老けているなと。以前の父は働くことに前向きでした。シニアだからこそできる仕事が発掘できれば、それは自分たちの将来のためにもつながるのではないかと思い、提案をしたんです。

働き手が足りない現状と、働きたいというシニアの思いをつなげることが、これからの日本の未来につながっていく。「定年=リタイアという枠組みを取っ払いたい」とプロジェクトへの思いを熱く語る。

有村:『キネヅカ』はbudoriの理念を象徴するプロジェクトです。時代に合わせて役立つ仕事というのは少しずつ変化している。だからこそ仕事をつくることは、これからもずっと変わらないと思います。会社のスタッフは、全員が起案者。デザインよりも前に、相手の気持ちに寄り添い、工夫すべきことをいろんな側面から考えることができる人たちです。これからも自分から仕事をつくりだし、学び続け変化し続けられる集団でありたいと思います。

まとめ

『グスコーブドリの伝記』から受けた5箇条──「自然とのあり方」「人の生き方」「思いの実現」「愛」そして「継承」──これらが理想論ではなく実践として仕事、そして個々のスタッフの働き方にしっかりと浸透している。変化し続ける前向きな姿勢と、変わらない軸。両輪がもう10年、20年先のbudoriを支え続けるのだろうと感じた。