Interview 私としごと

肩書きにはこだわらない。やりたいことをやってくのみ。

株式会社サーチアンドサーチ・ファロン
荒木 智子(インタラクティブ プランナー & アカウントエグゼクティブ)

外資系広告代理店の株式会社サーチアンドサーチ・ファロンに所属する、荒木智子さん。広告業界で活躍しながらも「広告が好きなわけじゃない」と、まっすぐな瞳で言い切る。高校生のとき、福井県の片田舎からカナダへ単身留学した経験が、奇しくも彼女にとって、壮大なドラマの幕開けとなった。「好きなことしかやりたくない」という意志は、アメリカを生き抜こうとする中で、輪郭をいっそう鮮やかにしていく。両極端の環境を振り子のように激しく行き来しつつも、針路を操る清々しさは、彼女の着飾らない言葉と近しいものだった。

プロフィール

荒木 智子

1986年生まれ。福井県出身。高校からカナダケベックに留学する。大学はParsons the New School for Designでプロダクトデザイン科を専攻し、食器や花瓶などを制作。数多くのデザイン会社でインターンを経験し、デザイナー職から広告業界へ転身。 前職のUltraSuperNewではアシスタント・クリエイティブ・ディレクター、現職のサーチアンドサーチ・ファロンではインタラクティブプランナー&アカウントエグゼクティブとして在籍。プランニング、デザイン、アカウント等、広告という枠にとらわれず幅広く活動している。

やりたいことで、キャリアを積み上げる

—その後、広告代理店に転職したとお聞きしました。それだけたくさんの人に話を聞いた結果、進路の決め手はどんなところに?

荒木:元々、モノを作るのは凄い好きなんですけど、プロダクトだけっていうのは嫌だったんです。グラフィックも好きだし、ファッションも好きだし、建築にも興味がある。新しいものを取り入れたり、コンセプトを紐づけたり、ジャンルに囚われず、いろいろな形でアウトプットができるのって、広告かもしれないと気づいて。だからデザインやアートは大好きだけど、広告が大好きって訳ではないんですよ。

—意外です。転職自体はスムーズに進んだんですか?

荒木 智子

荒木:入社したのは、UltraSuperNewというクリエイティブ・エージェンシーでした。そのとき募集していたのは、プロジェクトマネージメント職。私はほとんどデザイナーの経験しかなかったけれど、入ってしまえばなんとかなると思ってとりあえず面接に行ったんです。入ったときはクリエイティブディレクターと一緒に企画を考えるポジションでした。プレゼン資料を作ったり、クライアントに提案しに行ったり、デザイナーとアイデアを考えたりして。

—実際に入ってみて、広告業界はいかがでしたか?

荒木:私は飽き症で、ずっと同じことを続けるのが苦手なので、「この仕事が合うのかも」と思いました(笑)。クライアントもデジタル部門、イベント部門、マーケ部門などいろいろあって、その人たちから依頼される内容も毎回すべて違う。それに合わせてアウトプットの形が変わってくるのは面白かったですね。たとえば、「Red Bull Circle of Balance」っていうレッドブルのイベントがあったんですが、メディアキットからイベントの会場まで考えました。やっぱり、元々プロダクトをやっていたので、リアルにできるものって感動が大きくて。アスリートが手にしているトロフィーも会場も、私たちが考えたんだよなって、すごい達成感がありましたね。

—お話を聞いていると、特に不満があるわけでもなさそうですが、そこからさらに転職を経験されるんですよね?

荒木:そうですね。でも、転職回数は多いけれど、これまでもずっと会社を嫌になって辞めたのではなく、次にやりたいことが見つかった時に仕事を変えてるだけなんです。前職では自分で企画を考えることができるし、焦りとか悪い意味での緊張感もないし、友達もたくさんいたし、すごく楽しかった。でも、私にとって企画だけを考えるのは仕事じゃないな、と感じたときがあって。あくまでもアシスタントという立場だった、というのも大きいかもしれません。アカウント(営業)からの依頼があっての仕事なので、自分で何かを作り上げてる感が半分しかないような感じなんですね。それで「じゃあこの先、何をしたいんだろう?」って考えたときに、自分にはもっと学ぶベきことがあると思ったんです。ひとりの人がひとつのスキルしか持たないのでは、この先は難しいんじゃないか、と思って。

会社って、新しいことを知るための学校

—もっと自分のスキルを増やしたいと?

荒木:そうですね。そのためには、いろんな経験をして、自分ができることを増やしたほうがいいと思いました。実は、今の会社には一度応募して断られているんですよ。でも、再びチャレンジすることにしたんです。結果無事に入社できて、初めは「インタラクティブ&アカウントエグゼクティブ」っていう、よくわからない職種に就きました(笑)。

—確かに聞き慣れない肩書きですね(笑)。

荒木 智子

荒木:でもこの肩書きには少しこだわりがあって。前職でお世話になったアカウントディレクターの方から、「アカウント(営業)でも絶対にクリエイティブ感が出るような肩書きにしてもらえ」って言われたんです。実際に業務が始まってみたら、本当にクライアントから「まあ、営業の姉ちゃんもそう言ってるからな」って言われたことがあって、肩書きの重要性を強く実感しました。自分の仕事をやり抜くためには、印象も大事なんだな、と。

—今の仕事で大事にしていることはありますか?

荒木:今まで経験してきた仕事とは違って、Googleさんやゴディバさんなど、お客さんも大規模なところが多い。そうなると、エンドユーザーの幅も広がるから、私の偏ったアイデアだけではうまくいかないこともあって(笑)。だから客観的な意見は、より大切にするようにはなりましたね。今はスケジュールとか予算とか数字のことも考えるし、以前よりも色んなことを考えなきゃいけない分、日々勉強の毎日です。それから、外の制作会社とのやりとりの重要さや面白さにも気づきましたね。そういう人に会うと、絶対新しい情報が入って来るし、その分野に専門的なので、質問したら想像以上のレスポンスが返って来る。それが、凄く刺激的なんです。

—まさに、荒木さんが求めていた環境ですね。

荒木:仕事の中で新しいことを知るのが、本当に好きなんですよね。私は、昔から内輪ノリとかは嫌いで、自分自身、常に変化していきたい。ひとつのことをやり続けるよりも、いろんなことをやった方が人のためにもなると思いますし。だから、10年後の自分を考えて行動するというよりは、今の仕事から繋がる2年後の計画を立てていくという方が合っているのかもしれません。

—では最後に、今後の目標を教えてください。

荒木:今は「とりあえずアイツに言ったらなんとかなるだろう」と思われるくらいの知識が欲しいなと思っています。その能力を円グラフにしたら、大きくてきれいな丸が一番バランスがよいので、目標は常に高めにしていて。私は会社って「新しいものを知るきっかけの学校」だと思っているんです。大学院よりもたくさん学べるし、得意不得意科目もある。だから、それぞれの仕事って学校の授業のようなものだと感じているんですよね。そこで学んで、次のレベルに進んでいくと言いますか。いずれは何でもできる「ひとり会社」みたいな感じになれたらいいな、って思っています。

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