Interview 私としごと

リスナーの心を1グラムでも軽くする

株式会社J-WAVE MUSIC
蛇草 有里子(制作部)

「心が1グラムでも軽くなるような番組を作りたい」------幼い頃からJ-WAVEのラジオを聞いて育ち、さまざまな縁に導かれるようにしてJ-WAVE MUSICへ入社した蛇草さんは、自身のリスナーとしての経験を踏まえて、理想のラジオ像をこのように語る。番組スタッフに女性はひとりだけという環境で行われる蛇草さんの仕事は、屈強な男性陣に負けないパワーが必要に思われがちだが、その実は女性ならではの視点が自然体で活かされている。男性社会のなかをしなやかに羽ばたき、真摯な姿勢でリスナーとの距離感を縮めていく姿は、なんとも魅力的だ。

プロフィール

蛇草 有里子

1983年生まれ。東京都小金井市出身。日本女子大学文学部卒業後、2006年に新卒でJ-WAVE MUSICに入社。制作デスクを経て、ADおよびディレクターとして『J-WAVE ARCHIVES』や『MUSIC PLUS』、『MUSIC WONDERLAND』などを担当し、現在は『HELLO WORLD』のプロデューサーとして番組の統括するかたわら、木曜日の構成作家も兼任。同番組唯一の女性スタッフとして活躍するJ-WAVE MUSIC期待のホープ。

女性の私だからからこそできること

—現在は『HELLO WORLD』のプロデューサーを務められてますが、プロデューサーはいつから?

蛇草:今年の10月からですね。今3年目の番組で、始まった当初はアシスタントプロデューサーとして、プロデューサーを務める先輩の下でやっていたんですけど、ひとりでやるようになってからは、「やっぱり、大変だったんだなぁ」って思いました。

—それはどういったところが?

蛇草 有里子

蛇草:今までは何かあったら先輩に聞けばよかったんですけど、当然だけど今は、最終的な判断は自分でしなければいけない。ちょっと言いにくいこともあるじゃないですか。ナビゲーターに対しても、スタッフに対しても、営業に対しても。みんなキャリアがあって、一線で活躍されてる方なので。
だからみんなが気持ちよく仕事できて、かつ完成品がリスナーに対していいものであるように、うまく連携を取って進めていくことは、簡単ではないなって思いますね。

—現在はプロデューサーに加えて、構成作家も兼任されてますね。ラジオの構成作家といいますと?

蛇草:これは『HELLO WORLD』の場合ですけど、ディレクターは、オンエア曲を決めて、サブ(副調整室)で曲を出したりとか、タイムキープとか、どこでどんなBGMを入れるかとか、演出面を調整する仕事ですね。構成作家は、どういうテーマをピックアップして、どういう流れで紹介していくか、どういうゲストを入れるか、どこに取材に行くかとか、全体の構成を決めて、台本を書いて、ナビゲーターと一緒に番組の中身自体を作っていくっていう棲み分けになってます。

—今の番組スタッフは全部で何人いるんですか?

蛇草:基本は各日、プロデューサー、ディレクター、AD、作家、ナビゲーター、ミキサーの6人ですね。『HELLO WORLD』の木曜は私が二役やってるので5人になります。HELLO WORLDの番組スタッフとしては、女性は私ひとりだけですね。

—そうなんですね。そんな紅一点として番組に反映したいことは?

蛇草:今の番組は男性スタッフが多い分、男性が好きなものに寄りがちなんですけど、そのなかで男性も楽しめるけど、女性のためにもなるような見せ方ができるといいなといつも思っていますね。あと、逆に女性の大変さみたいな部分を男性がおもしろく知れるような企画。以前、「ブラジャー」というテーマを取り上げたんですけど、それは女性からも「すごい勉強になった」とか反響があったし、男性も「ブラって奥深いんだね」みたいな声もいただいて。番組中では生着替えなんかも入れたりして。

—ラジオで生着替えって(笑)。

蛇草:「あ、寄りましたね!」みたいな(笑)。そのブラの回は、スタジオを生中継しているUSTREAMの視聴者数もすごく上がって、かなり反響がありましたね。意外とみんな正しいブラの付け方を知らなくて、だけど普段話すこともないから、ちょっとした共通認識が生まれたんですよね。例えば食い込んで痛いとか、薄着だと段ができちゃうとか、この色の組み合わせは透けにくいとか(笑)。そういう企画は今の環境だからこそ、私にできたことなのかなと思います。

今は与えられていることをまっとうしたい

—では蛇草さんの考えるラジオの魅力は?

蛇草:やっぱりリスナーさんとの距離が「近い」というのは感じますね。先日も「ツイッタークイズ大会」という企画をやっていたんですけど、こちらが出したクイズに対して、リスナーのみなさんがツイッターですぐに反応してくれて、それをまたすぐに番組で紹介して。テレビも最近そういうことをやってますけど、ラジオのほうが映像がない不完全なメディアな分、より親近感が湧くんじゃないかと思うんです。イベントとかすると、リスナーさんが来てくださって、「あ、〇〇ですー」って、ラジオネームやツイッターのアカウントを言ってきてくれて、「あ〜、いつもありがとうございます!」みたいな。

—今後はどういう番組を作っていきたいですか?

蛇草:今の『HELLO WORLD』は夜の番組なので、リスナーがその日一日、嫌なことがあっても、また明日からがんばってみようかなと思ってもらえるような番組が作りたいなって。私自身がリスナーのとき、そうだったので、なんかホッとしてもらえたりとか、そこまで大きなものじゃなくても、なんとなく心が1グラムでも軽くなるみたいな番組をつくっていきたいですね。

—個人としての目標はあったりしますか?

蛇草:う〜ん。月並みですけど、私自身はまだまだ修行中の身なので、イチ社会人、イチ制作者として、あの人とだったら一緒に仕事してみたいと思ってもらえるようになりたいです。後はやっぱり人とのつながりが大切な業界だなって思うんです。何年も前にお会いした人が、「あー、ここでまたつながりましたね!」みたいなこともしばしばあるので。例えば、就活していたときにOB訪問した編集者の方にお仕事でばったり再会して、すっごく嬉しかったし、本当にそういうことが多いんです。だからひとつひとつの出会いを大切にしつつ、真摯に仕事をしていれば、自ずと進むべき道も出てくるのかなと。

—なるほど。例えば、生涯現役じゃないですけど、ずっと現場に立ち続けたいみたいな願望はあったりしますか?

蛇草 有里子

蛇草:今はいろんな方とお会いして、話を聞いて、少しでもリスナーさんの役に立てることが楽しいので、そういう立場を与えていただけてることに感謝してます。まぁ、大変なときもけっこうあるので、泣き言を言ったりもするんですけど(笑)。でも違う業界で仕事をしてる友達と話したりすると、私の仕事に対して、「なかなかできることじゃないんだよ」ってみんなが言ってくれるんですよ。

—客観的に見た時に、自分の仕事の大きさを感じるというか。

蛇草:そんな時にふと思いますね。だから今は、与えられていることをまっとうしたいなと。長期スパンで考えると今後どうなっていくのかわからないですけど、別に私は出世したいとか、そういうのはないんですよね。もしかしたらそこは男の人と違うところかもしれないし、これからも私は私らしくやっていきたいですね。

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蛇草 有里子
星野 源 / 夢の外へ
星野源さんの『夢の外へ』っていうCDが大好きで。これ、(『HELLO WORLD』の放送作家も務める)寺坂直毅さんの言ったことが発端になって、星野さんが書いた曲なんですけど、本当に素敵な曲なんです。よく企画をどうしようとか、原稿で行き詰まったりしたときに、デスクでこれを3回くらいループで聞いて、元気をもらって、気持ちを切り替えて、「よし、がんばろう!」みたいな感じです。その寺坂さんの言葉が「夢の中で由紀さおりさんと手を繋いだり、デートしたりできる」というものなんですけど(笑)、歌詞もいいし、メロディーもいいし、途中で3拍子が入ったりリズムもおもしろくて、2日に1回は聞いてますね。

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