Interview 私としごと

アーティストと「一緒に作り上げる」、PV制作の現場とは

有限会社カラーフィールド
岡野裕太(制作・プロダクションマネージャー 映像制作)

ミュージシャン、レコード会社、ライブハウス……、「音楽業界の仕事」とひと口に言っても、いざ挙げはじめるとその種類は多岐にわたる。そして、アーティストのPV制作もその中のひとつだろう。音楽PVを手がける会社に新卒で入社し、現在はプロダクションマネージャーとして多忙な日々をおくる岡野さん。「音楽が好きだっただけで、他の人に比べると映画やPVを多く見てきたわけではない」と話す彼の、新人時代から現在までの軌跡とは?

プロフィール

岡野裕太

昭和58年三重県生まれ。愛知教育大学卒業後、都内にある映像の専門学校へ入学。学生時より、有限会社カラーフィールドで映像制作の手伝いをはじめ、2007年に入社。現在はプロダクションマネージャーとして、ロケの手配から演者の指導まで、幅広い業務に携わっている。

インタビュー・テキスト:栗本千尋+プレスラボ 撮影:丸田武史(2011/11/15)

音楽業界に携わりたい強い気持ち

—岡野さんはどういった経緯で現在のお仕事をされているんですか?

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岡野:大学では教育と情報関係を学んでいました。在学中に教員の採用試験も受けたのですが落ちてしまって。元々音楽が好きだったので、関連する会社へ就職活動もしたんですがそれも全滅。そこで、「普通に就職活動をしてもダメだ!」と思い、都内にある映像の専門学校へ入学したんです。安直ですが、専門学校から音楽業界へのコネクションが作れれば、何とかなるのではないかと考えたんですね(笑)。それから知り合いづてに紹介されたのがきっかけで、今のカラーフィールドで働き始めました。

―音楽の中でも特に映像に興味があったんでしょうか。

岡野:自分は決して映画やPVをたくさん見てきたタイプではないんです。だから、音楽の映像が作りたかったというより、『ROCKIN’ON JAPAN』を読んだり、タワレコに通ったり、そういう単純に「音楽が好き」っていう動機から今の職場のプロデューサーに拾ってもらえたので、すごく感謝してますね。

―実際に音楽業界で働いてみて、ギャップなどは感じましたか?

岡野:「この業界はこういうものだろう」という先入観は持っていなかったので、そんなにギャップはなかったです。ただ、はじめは本当に現場の知識がなかったので、このPVはどういいかとか、色味がどうだとか言われても全然わからなくて(笑)、「自分は本当にやっていけるのか?」とは何度も思いました。

―専門的な感覚を理解するには時間がかかりますよね。

岡野:僕が入社したのがちょうど人が辞めたタイミングだったので、必要に迫られて仕事を覚えたという点では苦労しました。当時は、歳が近い制作の先輩がいなくて、直接プロデューサーとのやりとりだったので、自分で調べることも多かったですね。

沖縄の海でヤドカリと過ごした熱い夜

—ひとつのPVを作るにしても様々な役割のスタッフがいると思いますが、岡野さんは具体的に何を担当されてるんですか?

岡野:PVを作るには、全体を仕切るプロデューサーがいて、作品の監督であるディレクターがいて、あとはカメラマン、照明などがいるんですが、僕はプロデューサーの下に付いているプロダクションマネージャーという立場です。映画などと違って助監督がいないので、小道具を手配したり、演者さんを動かしたりもしなければならないし、ロケ地へお金の交渉やスケジュール管理、車両の手配など、いわゆる何でも屋みたいなものです。

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—やることがたくさんあって大変そうですね…。

岡野:もちろん大変ですけど、作品によって内容も手配するものも変わるので、ルーチンワークと違って飽きることはないですよ。そういう意味で、刺激的な仕事だと思います。ただ、制作スケジュールがかなりタイトで、企画を出した1週間後に撮影なんていうことも稀にあったりするので、他のことを考えている余裕はないですね。

—かなりのスピードですね。

岡野:案件によってスケジュール、予算、キャスト、ロケ地など本当に様々なので、そこは関わった作品それぞれに思い入れがありますよ。

—特に思い出深いエピソードなどはありますか?

岡野:沖縄でやったロケで、水面下に台を作って、海にピアノが浮いているようなシチュエーションで撮影をしたことがあったんですけど、タイミングがうまくいかず、撮影が翌日に持ち越しになったんです。既にピアノや機材を水面にセッティングしてしまっていたので、海岸で見張る人が必要になって……。結局、海岸で一晩過ごしましたが、月明かりしかない暗がりで、浜辺にヤドカリがいっぱい出てきた光景をよく覚えてますね。今ではいい思い出です(笑)。

PVはアーティストと共に作り上げる「作品」

—アーティストのこだわりにはどのように応えていくのですか?

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岡野:PVは映画などとは違い、監督というよりもアーティストの作品。作り手の自己満足な自主制作映像にはならないように気をつけていますね。あとは、アーティストとの距離が近かったりするので、「仕事をしている」というよりも、「一緒に作り上げていく」という意識を持つようにはしています。アーティストの描くイメージを監督が形にしていく。僕はそのサポートに注力をしています。

—チームとして動くことが出来るんですね。

岡野:もちろん、アーティストによってまちまちだったりもしますけどね。それでも、自分より一回りも年下のアイドルや、プロのミュージシャン達が現場で頑張っている姿を見ると、「こっちも頑張らないと!」と刺激を受けます。

—では、普段から心がけている事はありますか?

岡野:休みの日でも、仕事関連のことで勉強することはあります。やっぱりアーティストや監督に「こういったことをしたい」と言われた時に、「こうやったらできると思います」と提案したいので。僕はこれまで映画やPVをたくさん見てきたわけではないぶん、知識を入れることで補ってますね。

—最後に、岡野さんにとってPV制作の面白みはなんでしょうか?

岡野:他の映像の仕事と比べると、PV制作って間に挟まる会社や代理店などが少ないんですね。だから時間とかお金とか、自分の知識とか、そういうところさえ条件が合えば、本当にやりたいことができる。その自由度の高さが面白さだと思っています。さらに僕の場合だと、ありがたいことに常に監督の近くにいるので、演出に近いことだったり、幅広く何でもやらせてもらえるんです。だからこそ、作りたいと思ったことや、やりたいと思った己の欲求に対して、直にアプローチが出来る仕事なんですよね。

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