Interview 私としごと

大学を中退してでも、私はここで技術を磨きたかった

BASE株式会社
野畑 友紀子(エンジニア)

「誰でも無料でECサイトが持てる」という新たな流れを生み出したネットショップ作成サービス『BASE(ベイス)』。野畑友紀子さんは、その運営会社であるBASE株式会社に勤めるエンジニアだ。社内唯一の女性エンジニアとして、今では第一線で活躍する彼女だが、大学に入学するまではプログラミングは何も知らなかった。なのに、大学2年の頃にはフリーランスのエンジニアとして活動していたという。そこから2度の挫折を経て、BASEと出会った。その過程には一体何があったのだろうか?

プロフィール

野畑 友紀子

愛知県出身。1990年生まれ。立命館大学4年の時に大学院に合格するも、休学。在学中にエンジニアとしてBASEでインターンを開始。その後、大学を中退し、BASEに入社。主にAPIの開発を担当している。

インタビュー・テキスト:村上広大 撮影:すがわら よしみ(2014/10/17)

大学時代、加速度的にハマったプログラミング

―現在、野畑さんはエンジニアとして『BASE』の開発に携わっているそうですが、小さい頃からプログラミングに興味があったのですか?

野畑:いいえ。幼少期からピアノを習っていたこともあって、ずっと音楽が好きで、小・中・高と吹奏楽部に所属していました。私が在籍していた高校はけっこう吹奏楽部が強くて、県代表の選考会まで進出したこともあります。その後、立命館大学の情報理工学部に進学したのですが、それも理系の科目の方が得意だっただけで。プログラミングを経験したのは大学の授業がはじめてです。それまでは知識も技術もゼロでした。そこから技術を磨いて、大学2年生の頃にはフリーランスで仕事を請けるようになっていました。

―1年足らずでフリーランスとして仕事を受諾するまでになるとはすごいですね。

野畑 友紀子

野畑:運もあったと思います。ウェブ制作会社でアルバイトしている友人がいて、繁忙期に仕事が回らなくなったときに声が掛かったんです。そこではアルバイトの時給やシフトを管理するシステムをゼロベースから開発しました。もちろん最初からうまくいったわけではなく、参考となるサイトを閲覧しながら、いろいろ試行錯誤しながらの作業でした。でも学べることが多く、とても良い経験になりましたね。そういう仕事をできたことで、自分の技術力の自信にもなりました。

—そういった経験を活かし、在学中には自分でサイトの立ち上げなども行ったそうですね?

野畑:大学3年生の頃、友人と2人で中小企業向けの求人サイトをオープンしました。ちょうど私自身も就活を始めたタイミングだったんですが、多くの求人サイトは大手企業向けで、費用も高く感じていたんですね。だから、中小企業がもっとリーズナブルに使えるものを目指してリリースしました。起業を考えていたこともあり、就活は結局ほとんどしませんでした。このサイトがうまく軌道に乗っていたら、大学院に通いながら運営をやろうかな、とも思っていて……。でも、2人ともエンジニアだったので、サービスの運営よりもサイトを作る過程の方に、楽しさを見出してしまっていたのかもしれません。SNSで宣伝するくらいで特に営業活動などをしたわけでもなかったので、集客がまったくできず、数ヶ月足らずで諦めてしまいました(笑)。

二度目の起業チャンスを失った挫折と、家入一真氏との出会い

―大学院への進学が決まっていながら休学したそうですが、なにか理由があったのですか?

野畑:もっとも大きかったのは大学が退屈だったことですね。多くの大学がそうだと思うんですけど、理系ってとにかく女性が少ないんですよ。私自身も例に漏れず周りはほぼ男性。しかもサークルにも所属していなかったから、女の子の友だちがほとんどいませんでした。そのうち通学することに張り合いが持てなくなってしまったんです。学校に行っても友人に会う楽しみもないし、つまんないなって。だから、大学院でMOT(Management of Technology)を勉強しようと思っていたのですが、一旦少し考える時間がほしくて休学を選びました。

―休学中には、かつて求人サイトを制作した友人と一緒に起業支援プログラムに挑戦したそうですね。

野畑 友紀子

野畑:はい。2012年の12月のことですね。六本木にある起業支援をする会社のプログラムに応募しました。求人サイトを軌道に乗せられなくて悔しかったこともあるし、新しいことをやりたいという気持ちもあったので、リベンジのつもりで。きちんと支援を受けられたら、自分たちのサービスも上手くいくのではないかと思っていたんです。そのときに応募したのは、アーティストの口コミを集めるサイトです。面接のために滋賀から東京へ向かいました。

―結果はどうだったのですか?

野畑:自分たちが計画しているビジネスモデルについてプレゼンテーションをしたのですが、質疑応答がきちんとできなくてもうボロボロでしたね(笑)。自分たちとしては完璧に近い形で準備していたつもりだったんですが、やはり相手は起業支援のプロ。マネタイズや集客についてかなりシビアな意見を言われました。「どうやって収益化するの?」とか「そんなに利用頻度高くないんじゃない?」とか、想定外の質問に全然答えられなくて……。それで2人ともかなり落ち込んで、東京の雑踏の中で打ちひしがれました。すると、友人が「家入さんに会いたい!」と不意に言い出して、それをツイートして。そしたら偶然、家入さんが反応してくれて、そのまま六本木で会えることになったんです。

―家入さん、かなりフットワークが軽いですね(笑)。

野畑:そうですね(笑)。まさか本当に会えるとは思いませんでした。それで私と友人は、連続起業家の家入さんにアドバイスをもらうつもりで行ったのですが、そのときにBASEを紹介されたんです。当時、BASEはリリースして1ヵ月くらいの時期だったんですけど、すでにネット界隈では大きな話題になっていました。だから私も友人ももちろんサービスのことは知っていましたし、興味津々でしたね。それから1ヵ月後にオフィスを訪問したときには二人の中ではもうBASEに入る気満々で(笑)。関西に帰ってから身支度をして、すぐに東京に戻ってきました。とはいえ、BASEも設立してから間もない状態だったので、メンバーは代表の鶴岡に加え、エンジニア一人、インフラ担当一人、採用担当一人の計4人だけ。でも会社自体に可能性を感じたし、私に足りないものをたくさん学べる気がしたので、BASEに参加させてもらうことになりました。

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大学中退という選択と、スタートアップの可能性に賭けた想い

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